※ネタバレ注意※K2 489話『最前線(後編)』/年末年始いろいろ
K2 489話『最前線(後半)』
本物は最後に来る
救急搬送が増える年末年始を控え、研修医たちに救急科ヘルプのローテを組ませた高品総合病院。斉藤由貴ちゃんと大関ちゃんがローテに当たった夜、引き継ぎを終えて帰宅する白石室長は
「気をつけろ、本物は最後に来る」
と不吉な戒めを残していった。
果たして、夜が更けるに従い重篤な患者が訪れ、ついに……?
光に灼かれた後で
白石室長の予言通り、由貴ちゃん&大関ちゃんの救急科当直が順調に終わろうという頃に大腸憩室穿孔という一刻を争う患者が運び込まれました。折悪しく、直前の搬送患者で消化器科が埋まってる…という事態の中、救急室開腹に踏み切った由貴ちゃんカッコよかった…!!
研修医のピンチに駆けつける白石室長もカッコいい…!!
救急室開腹といえば、深見くんのお父さんがやってたな(K2 390話〜391話『畏敬』)とか、サポートはしても「これはお前のオペだ」というやり取りは富永父の脳腫瘍オペのときに一人先生と富永先生もやっていたな…(K2 46話〜48話『家督』)とか、過去の名シーンもオーバーラップしてきます。違う人が違う場所でかける言葉、起こした行動がいつのまにか似ている…というのも大河ストーリーであるK2の大きな魅力です。
それにしても、白石室長の言う通り救急初日に「内視鏡異物摘出、脳外への適切なコンサル、外傷縫合、急性アルコール中毒の対処、憩室穿孔のオペ」までやってしまう由貴ちゃんが
「一点突破できないなら、何もできないのと一緒だ」
という悩みを抱えていた。
まぎれもない富永の系譜……!!!!
と思いました。
どっかで聞いた話だ!通常なら4〜5時間掛かる切断指の縫合を2時間でやったあと落ち込んでいた富永先生と同じ匂いを感じます。
考えてみれば由貴ちゃんは一也くんの手腕を身近に見て、それぞれに特技や進路を見いだした帝都セブンの姿も見て、そもそも大学時代には短い時間ながら一人先生のオペに立ち会って大きな感銘を受けています。初手でK(とそれに連なる人)に理想値を跳ね上げられたあと、そこに至る道でもがいている…という意味では、富永先生と似たところがあるのかもしれません。
その由貴ちゃんが富永先生の「光」にあてられ、人生を変えられた白石室長に師事する。一人先生→富永先生→白石室長→由貴ちゃんと繋がっていくリレーですね。リレーを担う人たちの面識がバラバラの濃度なのも良い。
白石室長に衝撃を与えた富永が、光が強すぎてもはや逆光でなにも見えない……!!!状態になってる(16P)の、すごかったですね。目が眩むほどの光…。
「あの人のように生命を救いたい!」という理想だけが空回って、なにも手につかない「おかしくなっていた」白石室長にジェネラリストというスペシャリスト…救急科という道を指し示した高品院長、素晴らしい。
高品院長はKAZUYAさんを喪ったあと、総合病院というスーパードクターを作るために高品総合病院の設立に着手した…と高品親子和解編で語られました。
本編には現れないけれど、一人先生や富永先生や高品院長当人に遭遇して「おかしくなった」あと、目指す道を見失って袋小路に入ってしまったバッドエンド医者もいたのかもしれない。「理想」に灼かれた人たちを、Kではないものたちがたどれる道へと導くのも、KAZUYAと長い時を過ごして彼を追いかけた高品の大切な仕事なのかもしれません。
そして一也くんの選ぶ道が気になります。
宮坂さんに贈った誕生日プレゼントと関係ありますよね……?
一也くんの進路にまつわるストーリーが、おそらくK2単行本50巻に収録されそう…熱いです。
一也くんの選択は分かりませんが、高品総合病院に在籍し続けるのでも、村に戻るのでも、宮坂さんと二人で診療所を設立するのでも…彼が一番心地よくいられる道を選んでほしいと思います。
そうそう、白石室長の「本物は最後に来る」がただのジンクスではなく救急の特性に由来した根拠あっての経験則だったのがなんか良かったです。科学のこころ…
年末年始いろいろ
2024年はトークショーあり、サイン会あり、原画展あり……とK2関連の嬉しいことが目白押しでした。リアルタイムで追わせていただけて本当に幸せでした。原画展はまだロスが続いています…あの渋谷の無印良品の上に今でもどデカい一人先生がいるような気がする…。エスカレーターを登っていくとだんだん一人先生が現れる演出(演出?)は一生忘れません。
最終日には真船先生とお話することもできました! できるだけ来場者と直接挨拶がしたいのだと、気さくに話しかけてくださいました。開催の御礼や、488話の素晴らしさを申し上げることが出来て最高の思い出になりました。先生、ありがとうございます。
そして2025年は一人先生は年男! 48歳になられるんですね…。一堡さんの享年が46歳だったかと思うので、現役ドクターKとしてはもしかしたら歴代最高齢かもしれません。龍太郎を迎えて、素の人格の柔らかいところがどんどん表に出てきた一人先生。これからも元気で、健やかに年を取っていってほしいです。
SNSに写真を上げてらっしゃる方もいるし、ここでは画像は載せませんが真船先生から年賀状をいただきました。
年末進行のお忙しいなか、原画展に2度も在廊してくださって、原画展のスタッフさんにお渡ししたお手紙の内容を踏まえたコメントまで添えてくださって……感謝に堪えません。
今年も真船先生がお元気で、心のままに漫画世界を広げていかれることを願っております。微力ながらずっと応援しております。
2025年はK2の50巻到達と500話到達、Kシリーズ通算1000話到達まで行きそうな年ですしね!
年賀状のイラストもすごかった…
あんな寛いだ一人先生初めて見ました。龍太郎くんとたぬきちゃんとの距離感もうれしい。
年末年始ずっとK2で充実していました。今年も感想noteは細々続けてまいります。よろしくお願いいたします。