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※ネタバレ注意※K2 487話『師弟の湯加減』/真船先生原画展に行ってきました


K2 487話『師弟の湯加減』

モーニングに出張だ!

K2 487話はモーニング本誌に出張掲載。

一人先生と龍太郎の師弟コンビが凛々しく表紙を飾りました。このカッコいい表紙がまさかフリだったとはね……

出張掲載のストーリーは…
久しぶりに登場、T村は不死の湯。219話『フライング』で大騒動を巻き起こしたT村の公共浴場は、コロナ禍中の閉鎖期間を経てまた復活した様子。
外回りの往診後に不死の湯で汗を流すのを密かな楽しみにしていた龍太郎は、不死の湯を作り上げた5人の勇者のうちのひとり正造さんと行きあう。足を引きずり、膝を辛そうにしている正造さん。なんでも膝を縁側にぶつけて以来、痛みが続き、特に同じ姿勢を続けていると痛くてたまらないというのだ。それを聞いた龍太郎は「!」とひらめき、正造さんを診療所に誘うのだった……

全部かわいいかよ

可愛いのかたまりだった

出張掲載のモーニング表紙があまりにかっこよかったので、一人先生&龍太郎師弟のシリアスなストーリーが始まるのか……と思いきや、どこから手を付けて良いのか分からないくらい一人先生可愛い!!!!!!のかたまり回でした。サービスが良すぎる。

龍太郎との距離を縮めようと唐突にお風呂に誘ってみるヘタクソさも可愛いし、「フロハラだったかな」と麻上さんに相談するのも可愛いし、龍太郎にパワハラだ!と騒がれて以来「ハラ」を気にしてフロハラという造語を作り出してしまうのも可愛い。忘れた頃の3ヶ月後、恐らくは正造さんを見舞った後にオフロに入っていたら「圧の強い顔で風呂にまで入ってきてほしくない」と弟子の本音をうっかり聞いてしまってしっかりめのショックを受けているのは可哀想可愛いし、お風呂に肩までしっかり浸かってるのも可愛いし、そのままスイーーと移動してるのも可愛い…そのシーンで濡れた顔が泣いてるように見えるのも可愛い。
ついでに、龍太郎が服を脱いでるシーンで恐らく一人先生が使ってると思われる脱衣カゴが見えて、キチンとマントを畳んで入れてあるのも可愛いですね。幼少期から「マントは丁寧に扱いましょう」と躾けられていたのかもしれない。

龍太郎が不死の湯に入っていると聞いて、「あれはいい風呂だからな」とコメントしてるのもジワジワくる可笑しみがあって好きです。神代一人さんのなかに「いい風呂」の基準があるのが面白くて…。医者だからもちろん清潔には人一倍気を配っているでしょうが、それにしても純粋にお風呂が好きなのかもしれません。
『バディ』回でマイクロオペに臨む中津川くんたちに「深い水に潜るように」とアドバイスもしていた一人先生、水にまつわるものに御縁がある………先生は水属性?

道尾先生と出会った『麻酔』の回で、富永先生と温泉に行ったのが、今も一人先生の中で良き思い出として残っているんでしょうか。関係性を深めたい龍太郎相手に、「人生の中で楽しかったこと」を提案してみるのが拙いながらも愛おしいですね。読んでて天真爛漫すぎてビックリしたけども。普通、若者は上司とお風呂、行かないよ?
一人先生は患者相手には言わずもがな、他者を受けいれる受動的な人間関係はどこまでも懐が深く暖かいのに、能動的に構築していく人間関係は苦手……というか、まだまだ発展途上なのかもしれません。当代ドクターKにも苦手なことがあって、克服しようと頑張っているのが可愛い……可愛いがインフレしてしまいます。だって可愛いは「愛す可(べ)し」と書くのですもの。こんなに愛さざるをえないキャラクターいない。

思えば一人先生の人生は、掟に縛られて育って父母と執事をほとんど同時に失って、ドクターKを襲名して以降も持ち込まれる無茶ブリに応え続けて人生消費して、ついこないだも実父からものすごい提案が持ち込まれたばかり……ですし、己を主語において「自分はなにをしたいのか」で生きるのはつい最近「人を育てたいのかも」と気づいて以降なのかもしれませんね。
龍太郎との師弟関係、これからも頑張ってほしいです。
龍太郎はもうちょっと先生のことを「甘くみる」というか「呑んでかかってみる」と一層上手くいくのかも……。きっと龍太郎が危惧しているより素直だし裏表がない先生だし。今回のお風呂での反応で、師弟の関係がさらに深まると良いのですが笑

それにしても、龍太郎編がはじまって以降、「熊」だったり「圧の強い顔」だったりとなにかと外見がネタにされがちな一人先生はちょっとばかり気の毒です。モノローグでボヤいたり言い訳したり…を許されてないキャラ造形だから、漫画の中で思っていることを伝えるという点では割と不利な一人先生ですね。

外見と言えば、頑なに裸体を晒さなかった一人先生の体が龍太郎の想像の中とはいえ描かれたのは衝撃でした。ちゃんと湯気が大事なところを隠していたのも、ホンモノの一人先生は肩までしか晒してくれなかったのも衝撃…守られている。
明らかにポヨポヨになっていた龍太郎のお腹も衝撃だし心配です。「ハラ」を気にしている先生が龍太郎の外見を指摘することはあるのか……さすがに健康上支障が出てくるなら言うかな……龍太郎くんのダイエット回が待たれる。

原画展に行ってきた!


エスカレーターを上がると一人先生がいる

渋谷で開催中の真船先生原画展Kの系譜に行ってきました!
同展パンフレットの内容に触れた叫びは前回のエントリにまとめました↓

以下は展示物についての感想です。
撮影可能エリアの写真を含みます。









先生愛用の画具と読者返信用のイラスト原画。たぬきがいる!
サイン回で配布されたイラストの原画もありました


原画展描き下ろしのラフ。もう上手い

会場に入ってすぐ、真船先生愛用の画材が展示された場所にはファンレター返信用に描かれたイラストの原画も展示されていました。
例のたぬきが……いる……!!!!
その原画にあのたぬきを発見し、まず興奮で一回時が止まりました。一人先生がひょんなことから手に入れたたぬきぬいぐるみが、T村診療所で愛されていると良い……あわよくばなんらかのなんらかが起きて生命が宿ってたりすると良いな……と思っていたら、本当に! たぬきが生きてる!! 一人先生の肩に乗ったり、宮坂さん一也くん龍太郎と仲良くしてる!!!!

感無量です。

たぬきが封筒を也くん&宮坂さんに渡してるのは先生からのメッセージでしょうか。いまだにスマホを持っていない一人先生ですが、これからはたぬきがいるから安心です。

たぬきを見に行ったのか?
というくらいここで一回満足してしまいましたが、展示された原画の美しさはもう……すごかった。

ど迫力のスーパードクターK初期からK2の直近に至るまで、どんどん繊細に洗練されていく描線もキャラクターの生き生きとした描写も、素人目にはどうやって描いているのかさえ分からない集中線やウニフラベタフラも、髪の毛のツヤベタも本当に綺麗。ほとんど修正ホワイトが入っていない反面、カラーイラストの瞳に本当に僅かに入れられたハイライトホワイトの美しいこと!
エアブラシが多用された初期カラーイラストからアクリルガッシュの中期、細かなストロークが印象的な最近の透明水彩…とメイン画材が変遷していくカラーイラストも素晴らしかったです。
カラーイラストでいえば、単行本表紙のキャラクターたちは基本別々の紙に描いてデザイナーさんが組み合わせているようですが、直近48巻の表紙は一人先生-海ちゃん-龍太郎が一枚の紙に描かれていてなんだか嬉しかったです。一人先生がみんなと同じ地面にいてくれて。

DoctorKの最終盤、KAZUYAが高品をドイツへと送り出す回が掲載されたマガジン誌面が真船先生の寄贈で展示されており、その直後にKAZUYAさんの最期を描き切ったDoctorK最終回原稿が展示されている構成には涙が出そうになりました。

究極にはKAZUYAというひとりの英雄を描いたスーパードクターKとDoctorK展示が終わったあと、K2の展示が始まります。一人先生と一也くんだけでなく、群像劇であるK2の展示エリアはそれだけ描かれたキャラクターの種類も多く、ドクターKを巡る状況が開けて自由になっていくような明るさを感じました。

一つ、とても好きな……というにはちょっと重いシーンなんですけど……の原画が展示されていて、実物を見られて嬉しかったです。
『命の番人』で麻純さんの命を奪った爆弾が爆発した瞬間の原画です。
漫画の華と言うべきキャラクターの顔は描かれていないのに、マントで弟子たちを咄嗟に庇う一人先生、立ち位置で受傷度合いに差が出たビクトルとバレリ、全ての矢面に立った麻純さん……スクリーントーンと真っ白で大胆に2分割された画面の中にそれらが配置されて、読者にスッと「なぜこのあと、あの悲劇が避けられず、また彼らは助かったのか」を理解させる力が凄まじくて。
巧すぎる………と思ったこの原画を見られて感動しました。こういう伝わる絵を自分も描きたい…と、遠すぎる目標を見上げたり。

色紙にもたぬき!

開催記念の色紙のオールキャラぶりも最高でした。たぬきもいるし、氷室さんもいる!

素晴らしい展示、素晴らしい原画展でした。今回の企画を進めてくださった真船先生、ナタリー、出版社、関係者の皆々さまに心からの感謝を……
ありがとうございます!
会期中にあと何回か行けたら良いなぁ。

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