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認知症の始まり
いつも母の話ばかりになってしまうのがここを読む方に申し訳ないなって思うのです。でも
一方ではとても参考になりますという方もいらしゃって書けるだけ書くかなと思ってもいます。
母の認知症は突然でした。
聡明で洞察力がするどい母でしたが、父が亡くなってからというもののすごい勢いでモノが分からなくなりました。
父が亡くなったのは、今から7年前。
母がおそらくショックだっただろうと思うのは、同じ部屋にいて隣のベットで寝ていて、朝5時に母が起きて、一人でリビングで起きてテレビをみてても、気が付いていなく、9時過ぎになっても起きてこないのを不思議に思い寝室に見に行って朝だよと体をゆすぶって、初めて気が付いた事だったのです。
きっと驚いたことでしょう。
人間はショックなことがあると、自分を防衛しようと認知機能に異常が始まりますが、自己防衛だったのでしょうか?
亡くなったと電話で一報を受け、北区の実家に車で駆け付け冷たくなっている父を見て母は、ごめんねごめんねと繰り返すだけでした。
ごめんねは何に対して謝ったことだったのか。今だわかりませんが、それしかいう言葉が見つからなかったのでしょう。
警察に呼ばれ調書をとり、過去のいろいろな親子の関係をお話しして事件性の無い事はわかってもらえましたが、あくまで解剖所見で事件性がでればあなたも容疑者となりますので、ご承知くださいと言われ、親が亡くなってこちらは失意のどん底なのに、その言い方は考えてください!と思わず言ってしまっていました。
葬儀が終わり、四十九日が終わっていつもの日常に戻り、そうして母の認知が始まるのです。
始まりは些細な事です。
冷蔵庫に、卵のパックが5つも並び、牛乳のパックも4本。
買い物にいき、買ってあるのにまた買うということを繰り返します。
冷蔵庫の中の腐りきったものを処分することもせず、冷蔵庫はもはや腐ったものの宝庫となり、
気が付いたときには、数か月前の納豆や、半年前の豆腐がさらにアオカビが沸いているような状況になっていきます。
このあたりでもう、これはおかしいと気が付くのですが、気のせいだと自分を自分で思ってしまうという
おかしな事も同時に起こります。
僕もおかしくなって言ってるのです。
医療者なのに、子供は親のことを適正には見れないのです。