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ゴルフカートのおじさんとドライブデートした話

あれは留学中の初ホリデーを使った一人旅。
行き先は北部ウェールズ🏴󠁧󠁢󠁷󠁬󠁳󠁿地方。
ラピュタのパズーの故郷やムスカによって幽閉されてしまうお城のモデルとなったと言われている地域である。

小娘は北部のお城たちを巡る旅に出た。
これが実際の地図だ🗺

実際のルートマップ

今回はbangorという都市のpenrhyn castleを訪れた時のお話しだ。

出発地点のチェスターから全て路線バスを乗り継いで旅を進めた。なかなかに冒険的な旅に出た😂

penrhyn castleは街のはずれに位置し、歩くと40分くらいかかるところにあった。貧乏旅だった小娘は、市内から仕方なく歩くことにした。

penrhyn castleの周りは大きなガーデンに囲まれており、見どころの一つとなっていた。しかし、小娘はこのガーデンに左右されてしまうのである。

というのも正規の車道を歩いていくとなると、相当な遠回りになり、歩道がないためとても危険だった。

小娘はガーデン側の野原道を歩くことにした。
これは後で知ったのだが、イギリスは、野原や道も誰かによって所有されており、所有者が厳しい方だと、警察に通報されてしまうこともあるんだそうだ。

※ジョブズの好きなyoutuberが、「絶対に曲がらずに横断(または縦断)チャレンジ」をアップしているのだが、よく所有者に通報されたり、警察に職質をされるシーンがある😂

今考えると本当にラッキーだった。

当時小娘の携帯はSIMロックがかかっており、iphoneはwifi環境のみ使用でき、超格安で購入した携帯で地図を使用していた。もちろん質は良くないので、途中で固まったり、GPSが上手いこといかなかったりと、結構弄ばれた。

道中は本当にのどかで、一面を草原や平野の景色で埋め尽くされていた。そんな美しい景色に途中何度も足が止まり、やっとのことで目的地に付近までたどり着いた。

さてここからが小娘が翻弄された箇所になる。
車道側からしか入ることができないのだ。ガーデンの周りには木の柵が張り巡らされていた… 構造的にもガーデンの周りを歩けるようになっておらず、元来た道を戻るか、柵を乗り越えるかの2択…

柵の向こうには、ゴルフカートを運転しているおじさんがこちらの様子を伺っている。小娘はどうしていいのかオロオロして、その場を行ったり来たり。結局ゴルフカートのおじさんの目を盗んで、柵を乗り越えた😂立派な不法侵入だ。

その後、何食わぬ顔でガーデンの中を歩いていると、おじさんの運転するゴルフカートと鉢合わせてしまった。怒られる!と身構えた瞬間、おじさんは手招きし、隣に座れと座席をポンポンと叩いている。

小娘も身構えながらもちょこんと隣に座る。

するとおじさんが、訛りのキツイ英語で
「今日は暑いなぁ!どこから歩いてきたんだ?」と聞いてきた。

「bangor市内から歩いて来ました。40分くらいかかりましたよ。」

「ねぇちゃんやるね〜」

と言いながらニタっと笑った。前歯のないおじさんの笑みはどこか可愛らしく見えた👴🏻

続けておじさんは
「ここのガーデンはとても広いんだ。penrhyn castleに行きたいんだろう?歩いたら日が暮れちまうから、乗せていってあげるよ。」
と、小娘が不法侵入したことには触れず、しかも入口まで連れて行ってくれると言う。

ゴルフカートに乗っている間、私たちは他愛もない話をした。小娘が日本出身であること。留学をしていて、Bristolから高速バスと路線バスを乗り継いで来たこと。ウェールズのお城が美しいこと。おじさんは海外に行ったことがなく、ずっとウェールズにいること。

そんなこんな話をしていたら、あっという間に入口まで辿り着いてしまった。

そしておじさんが、「着いたよ。短いドライブだったけど、ねぇちゃんのおかげで楽しかったよ。お城の中も素敵だから、楽しんできてね。」と言い、ない歯を見せながらニタっと笑う。

おじさんと別れるのが、少し名残惜しかった。

お礼を伝えて中に向かおうと歩き出した後に、一度後ろを振り返ると、おじさんはまたニタっと笑いながら手を振って、私を見届けてくれた。

あれからおじさんがウェールズの外に出る日は来たのだろうか。いつかまた、日本でもウェールズでもいいからまたあのゴルフカートでドライブデートをしたい。あの居心地の良さを、私は一生忘れることはないだろう。


見出し写真は帰りにガーデンから出る時に撮った一枚である。

私が訪れたpenrhyn castleはこちら💁🏻‍♀️

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