向日葵のような女性とゴッホの『ひまわり』を見た話
あれは初めてパートナーと旅をしたときのこと。
ジョブズ(仮名)はルクセンブルクに出張予定で、その前の土日にアムステルダムで待ち合わせをしてオランダを旅した。
※なぜパートナーにジョブズという呼称を使っているのかは、別の記事で明らかになります😂乞うご期待!
ジョブズの方が先にルクセンブルクに向かう関係で、最後の半日は一人でアムステルダムをプラプラした。
アムステルダムにゴッホ美術館があることを思い出した小娘は、そこで飛行機までの時間を潰そうと思っていた。
チケットを買おうと列に並ぶと、とても陽気なラテン系の女性に話しかけられた。その女性も一人で旅しているようで、私たちは意気投合し、二人で美術館を回ることにした。
その女性の名前はアンジェリカ。コロンビア出身で、なんと教員をしているという。「教員でも旅ができるのか。」と、当時学生だった私は、日本の教員事情を叩き込まれていたので、結構びっくりした覚えがある。
終始ニコニコ微笑んでいる、素敵な女性だった。
小娘は留学中、コロンビア出身の友達がたくさんできた。彼女たちの陽気で、ゆったりと流れる時間が心地よかった。また、こんなところでコロンビアーナに巡り合えるとは!
「私はゴッホの絵がとても好きなの!」と終始語っていたアンジェリカ。中に入ってからも彼女はテンションMAX。私たちは、美術館をぐるぐるしながら、色んな話をした。そして話はコロンビアの教員事情へ…
彼女いわく、コロンビアの教員は、夏休みや冬休みは、完全に仕事がないらしい。学校が開かないのだそうだ。だから教員の多くは、その間にセカンドジョブをしたり、旅をしたりするんだそうだ。
アンジェリカは旅好きで、旅するためにベストな職業だと思い、教員になったという。彼女のようなよく笑顔が似合う、そしてシャキシャキとした女性は、きっと学校でも人気が高いのだろうなと、ふと思った。
その後も周りながら他愛もない話をしていた。
そしていよいよ、あの有名な『ひまわり』の絵に来た。すると、あんなにずっと話していたアンジェリカが急に静かになった。そして「私この絵が一番好きなの。」と落ち着いた様子で静かに言った。お話好きのアンジェリカを唸らせる『ひまわり』の影響力は確かなものだ。
『ひまわり』に見惚れる向日葵のような女性は、とても美しく、今までの彼女と異なる一面を見せた。私は彼女のあの表情が忘れられない。
その後、ゴッホ美術館を後にし、私たちはその後も一緒に市内をぐるぐると回った。数時間前に初めて会った人と、こんなにも一緒に時間を過ごすだなんて、だから旅は面白い。一生交わることのないような人と、時を共にできることも、旅の醍醐味だ。
私のフライトの時間も近づき、最後にfacebookを交換して、別れを告げた。
後日facebookでアンジェリカに写真を送った。
「コロンビアに来る時はいつでも言ってね。あなたは私の友達だから、私の家に招待するわ!」と言ってくれた。
それからも私がfacebookの更新をする度に、コメントをくれて、「いつコロンビアにくる?」と連絡をくれるのであった。
ふと最近facebookでアンジェリカはどうしているだろうと連絡をとってみようとすると、彼女のアカウントが無くなっていることに気がついた。
アンジェリカに「私も教員になったよ!」と伝えたかった。いつか、コロンビアでアンジェリカと教育について熱く語れる日を信じて。
写真はゴッホ美術館の後に2人で市内をプラプラした時のものだ。右下に写っている女性がアンジェリカだ。
私たちが訪れたヴァンゴッホミュージアムはこちら💁🏻♀️
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