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放射性リガンド医薬品について

今日は放射性リガンド医薬品(RIL)についてのまとめです。
元記事は1番下にリンクを貼ってあります。

ペプチドリームのパイプライン変更
- ペプチドリームのパイプラインが特殊環状ペプチドからRI-PDC(放射性同位元素結合ペプチド薬剤複合体)に注力する方向に大きく転換。
- RI-PDCは「ポスト抗体薬物複合体(ADC)」として注目されている。

放射性医薬品の進化と背景
- 従来、放射性医薬品は画像診断用が主流だったが、治療薬への転換が進む。
- 初の治療用放射性医薬品:「ゾフィーゴ」(骨転移がん治療薬)。
- 日本初のRIL医薬品:「ルタテラ」(神経内分泌腫瘍治療薬)。

業界の競争と再編
- ペプチドリーム、Novartis社、Bayer社が主要なプレイヤー。
- 放射性医薬品製造企業の買収が活発化し、業界再編が進行中。

RILの優位性と課題
- ADCが抱える細胞内取り込みの必要性という課題を克服。
- RILは標的細胞表面に結合するだけで効果を発揮。
- 課題としては放射性同位元素の半減期の短さが挙げられ、世界各地での製造拠点の展開が必要。

ペプチドリームの戦略と展望
- 特殊環状ペプチドに放射性同位元素を結合させることで、新たな医薬品開発に挑戦。
- 放射性医薬品部門「PDRファーマ」の黒字化を2029年までに達成予定。

RIL市場の現状と将来性
- 現在上市されているRILは2製品(「ルタテラ」「Pluvicto」)。
- フェーズ3治験が4件、フェーズ2治験が3件、フェーズ1治験が7件進行中。
- ADCがカバーできないがん種へのRIL市場拡大が期待され、多品種生産が求められる。

放射性医薬品の新技術と核種
- 新たな核種(例:放射性銅64、アスタチン211)の開発が進行。
- 技術突破の余地があり、さらなる進展が期待される。

この記事は、放射性医薬品(RIL)の可能性と、ペプチドリームを中心とした業界の動向を包括的に分析しています。

Q1)ADCは細胞内に取り込まれないといけないのにRILは細胞表面に結合するだけで良いのは何故でしょう?

ADC(抗体薬物複合体)とRIL(放射性リガンド)には、作用機序の違いがあり、それが治療効果の発揮方法に影響を及ぼします。

ADCの特性
細胞内取り込みが必要な理由:
 1. 薬物の活性化: ADCは、抗体が特定の細胞表面抗原に結合した後、細胞内に取り込まれ(エンドサイトーシス)、リソソーム内で分解されることで薬剤(細胞毒性化合物)が放出されます。
 2. 標的特異性: 薬剤が細胞外で放出されると正常細胞にも影響を及ぼす可能性があるため、細胞内での薬剤放出が必要です。
 3. 制限点: 細胞内に取り込む抗原は限られているため、治療可能なターゲットが限定される。
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RILの特性
細胞表面に結合するだけで良い理由:
1. 放射線の特性:
    - RILに結合した放射性同位元素(例: ルテシウム177やアクチニウム225)は、崩壊する際にα線やβ線を放出。
    - これらの放射線は、細胞膜を透過せずとも、近接する細胞のDNAを直接傷害し、がん細胞を死滅させる。
 2. 広範な効果:
    - 放射線は、結合した細胞だけでなく、数ミクロン以内の周辺細胞にも影響を与える(バイスタンダー効果)。
    - これにより、がん組織の広範囲をカバー可能。

結論
RILは、細胞内取り込みのプロセスを必要とせず、放射線の物理的なエネルギーでがん細胞を破壊します。このため、ADCのように「取り込む抗原」という制限がなく、より幅広いがん治療が可能です。

元の記事のリンクを貼っておきます。


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