岡山県高梁市松原町松岡 藤田泉(ふじたいずみ)さん
プロフィール
出身:岡山県岡山市
お茶、お米農家さん
農業を始めたきっかけは?
20年あまりサラリーマンをやっていたのですが、もともと“ものづくり”が好きで、自分で何かを作って育てていく仕事をしたい、と思っていました。
最初は家族から反対されましたが、農家になるために会社を退職して、農業大学で2年間勉強しました。卒業後、農地を探したところ高梁市にある妻の実家が空き家になっていたので、ここで農業をはじめようと決心して移住してきました。
紅茶と出合ったきっかけは?
最初はトマト農家として6棟のビニールハウスを建てて、15年ほどやっていました。自信がもてるトマトができるようになると、「トマトマふぁーむ」というロゴを作って直売も始めました。お客様の声を直接聞いていくうちに加工品づくりにも興味が出てきて、市内にある生活交流グループに加わりました。
そこで、運命の「紅茶」と出合ったんです。
最初は生活交流グループの方たちが共同で紅茶を作っていたのを手伝っていました。国産紅茶の生産はおもしろくて、だんだんとのめりこんでいきましたが結局のところ交流グループでの紅茶加工には限界があって続けていくことができなくなりました。
そこで私が中心となって「百姓のわざ伝承グループ」を立ち上げ、紅茶の生産から販売までをやることにしました。
「高梁紅茶」が広く知られるようになるまでの取り組みは?
静岡に行って有名な紅茶の師匠から製造技術を教えてもらいました。そして市内に加工場も作りました。
試行錯誤を繰り返し、高梁紅茶の香りや味など、高品質な商品が安定して作れるようになりました。
知名度も徐々に上がってきて、テレビや新聞の取材を受けるうちに市内外からの発注がたくさん来るようになりました。生産が発注に追いつかないこともあります。高梁市の知名度アップにもかなり貢献できているのかな、と思います。
こだわりやアピールポイントは?
飲んでいただくと分かると思います。
パッケージを見ただけでどれが美味しいのか、どれが自分に合うのかは分からないと思います。まずは飲んでほしいと思いますね。
標高が高く、お茶づくりに適した場所にある茶畑でとれた茶葉なので、渋みが少なくてとても飲みやすい紅茶です。
農業の楽しさや、いいところは?
定年がないことですね。
あとは自分が社長ですから、作り方や値段など自分ですべて決められます。休もうと思えば休めるし、試してみたいことがあれば自由にできます。また、試飲会で高梁紅茶を知らない人や紅茶が苦手な人にも「ちょっとでいいから飲んでみてください」と声を掛けるのですが、実際に飲んでもらって「おいしい!」と言ってもらえるのが嬉しいですね。
苦労や失敗したことは?
ずいぶん昔のことですが、紅茶の加工を始めたばかりのころ、加工場にある機械が古くて部品が混入してしまったことがありました。
その日は県外に出かけており、取引先から連絡があったときは驚きました。とにかく急いで帰りたかったのですが新幹線も飛行機も取れず翌日に帰らざるを得なくなりました。そのため情報がどんどん回ってしまい、新聞社やテレビ局など多くの取材対応に追われました。
これを機に、何かトラブルが発生したらすぐに対応しないといけないことがよくわかりました。それ以降はこうしたトラブルは起きていません。
日々の苦労としては、茶畑が点々とあるので管理が大変です。特に草刈りに苦労しています。茶畑の中に生えた雑草は機械で刈り取ることができず、手作業で除草しないといけないので。
今後やってみたいこと、挑戦してみたいことは?
紅茶はいろんなものに合います。ミルクや砂糖、ジャムを入れてみてもよし。
レモンティーやジンジャーティー、それから柚子の紅茶などを商品化して、ヤマセミシリーズという面白いパッケージも作って販売しています。今後はフレーバーティーをいろいろと試してみようと思っています。
あと、子供たちや若い人たちに紅茶を飲んでもらう機会を増やしたいので、学校との連携や文化祭などのイベントなどをやっていきたいと思います。
これから農業を志す人へ一言!
たとえば、トマトを作るだけでなくて加工もやってみるとか、またトマトと何かを組み合わせてみるとか。農業とビジネスを掛け合わせるとすごく面白いと思います。
生産だけでなく販売することろまで広げてみると、お客さんの反応が直に分かるから張り合いも出ます。福祉や教育などと絡めていくのもいいですね。
あと、丁寧に教えてくれる先輩農家さんを見つけておくといいですよ。そこから色々と広がっていくと思います。
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