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はるきGRAD感想『1年間の集大成!いつかの自分への贈り物』

シャニマスにまた新たな傑作シナリオが生まれました。

enza版に実装されまもなく1年となる郁田はるき。
王道なのにどこか新しいWING編や【連綿と、桜】、【桜花拾】を始めとしたSSRなど、主にコミュ面で高い評価を得ていました。


まもなく実装から1年となるタイミングで今回追加となった「GRAD編」はまさにこれまでのはるきコミュの集大成という言葉が相応しい傑作だったと思います。


というのも「GRAD編」読了後にWING編からのコミュを一通り読み直すとGRAD編にリンクする内容が非常に多く、今回のコミュはかなり綿密な構想の上になりたっているのではないかと思ったからです。

今回は気になった点を振り返りながら今までのコミュと関連している点を探していきたいと思います。


※以下郁田はるき「WING編」「GRAD編」の大幅なネタバレ、pSSR【連綿と、桜】、【桜花拾】、sSR【猫と犬みたいな雨】の一部ネタバレあります。未読の方はご注意ください。




GRAD編は、はるきのコミュ特有の独特な表現が多く、若干のわかりづらさもあると思うのですが、ストーリーライン自体は比較的単純で、一言で言うなら

「はるきがアイドルとしても表現者としても壁にぶつかるも、幼いころ描いた絵をきっかけに自身のルーツを思い出して表現者として更に成長をする話」

だと思います。


はるきがぶつかる壁については、「no/ode」などでも示唆されており、感謝祭でも自身のやりたいことにたいして実力がついてきていないことなども描写されていたのでGRADでつまずくこと自体はあるかもしれないな?とは思っていたのですが、正直なところ内容は自分が考えていたよりはるかに深刻でした。

「no/odeプロローグ きっとこの先も」より

と言うのも今回は、はるきがこれまでのコミュでみせていた積極性や明るさがほとんど見られなくなっており、いままではどちらかといえば主体的に話を動かしていたはるきが逆に周りに流されるような形で話が進んでいくからです。


序盤で気になった部分は「線」という言葉がよく使われていたことです。

アートスクールでの指導ではるきは「線がないところに線を引いている」ことを講師から指摘されているのですが、個人的にはこの部分は、はるきが自身のアイドル活動にも、「こうしたほうが良い」「自分が求められている役割はこれだ」という見えない線を無意識に引いてしまっていることを示唆しているように思います。


出演したトーク番組では、「ストイック真面目キャラ」という自身の性格から少しずれたオーダーを制作側からされているのですが、はるきは違和感を感じならも特に意見を出すこともなく、先方のオーダーしたキャラ内容のまま番組に出演します。


その結果無難にまとまったものの特に印象に残る仕事も出来ず、共演者の女性からも「もっとうまく出来る」と言われてしまいます。

WING編では同じような打ち合わせ場面で自分から提案をしていましたが、今回はそれが全くできておらず仕事の規模が大きくなったり、自身も様々な経験してしまったことから「自分に求められている役割はこれだ」「アイドルの仕事としてはこうするべきだ」という線引きを無意識にしてしまっているのかなと感じました。

WING編「熱にはじかれて」より

はるきはこれまでのコミュではその独創性や感性を長所として描かれることが多かったのですが、今回はまるで正反対に小さくまとまってしまっている印象を受けます。


またレッスンで基礎からやり直すことになったことや、スタッフに「純粋」と言われた言葉をネガティブな方向でとらえてしまう姿もあり、上手くいかなくてもポジティブに頑張るというこれまでのお話で出来ていたことが出来なくなっている様子が強調されています。

その後プロデューサーの計らいでかつての自分が描いた絵を見たことで絵を描き始めたきっかけを思い出し、

プロデューサーを意識してパフォーマンスをしたことで自身が「描く」まえに「見る」ことが好きだったということを思い出すのですが、

ここまでの話をみて、私は今回のGRAD編はWING編のシーズン3コミュ「心のむかう先」をより深く描きなおした話ではないか?と思いました。

WING編では仕事やレッスンをする中ではるきがそれらに対し次第に「楽しさ」を感じることが出来なくなりモチベーションが落ちてしまっていることをプロデューサーに相談します。

WING編「心のむかう先」より

その際はプロデューサーから「上手くなることを意識せず、自分が楽しいと思う気持ちを大切にしよう」というアドバイスを貰い、心を切り替えることで解決するのですが、この話の流れは問題の大きさ以外はGRAD編とかなり似ているような気がします。

WING編「心のむかう先」より
シャニP渾身のポエム

大きく違う点はWING編では悩みをすぐプロデューサーに相談できていたはるきが、今回は自身の中に抱えてしまった点です。

悩んでいるが直接は相談出来ない…


はるきが自身の心に気づいたとき第一声でプロデューサーに謝った理由を考えたのですが、
線に囚われず自由にパフォーマンスをした結果、プロデューサーの心を大きく動かすことが出来て、そのことでWING編でプロデューサーから言われた「はるきが楽しいと思う気持ちを大切に、心を手に乗せて自由に描いていってほしい」という言葉を思い出したからではないでしょうか。

ここからの一転攻勢は本当に気持ち良い

GRAD編に限らずずっと自身の活動を見守り、助言をしてくれていたプロデューサーがいたのに、問題を抱え込んでしまい一人相撲を続けてしまった。

かつてプロデューサーからの言葉で理解をしていたはずの自由に描いていって欲しいという言葉も、はるきが無意識に引いてしまっていた線で隠されてしまい、いつの間にか忘れてしまっていた。

そのことに気づいたからこそ「ずっと一緒にいてくれたのに、見ていてくれたのに」という言葉につながったと思います。

個人的に今回一番印象に残ったセリフです…

つまりGRAD編は自身の芸術家としてのルーツに立ち返る話であり、かつ自身のアイドルとしてのルーツであるWING編にも立ち返る話でもあると思うのです。

WING編「色づいていく」より
ホーム画面でもお馴染みなはるきを象徴する言葉
ここの小澤さんの演技がとても好き

またWING編では心が燃えるようなものに出会えるかということへの不安をはるきが話していたこともあったのですが、
今回プロデューサーがはるきのパフォーマンスを「静かな炎」と表現したことは彼女がアイドルとしてより成長したことをあらわしているようにも思えます。

WING編「色づいていく」より
はるきの復活と共にシャニPのポエムも復活

はるきのアイドルとしての「芯」の部分がこの「静かな炎」という部分な気もするので今後のコミュでも重要な要素になる予感がします。

話が脱線するのですが、私はこの選択肢で「見ていることしか」というものを選んだのですが、ここのプロデューサーの言葉がたまらなく好きです。

初見時ダンスを上げていたので左を選ぶべきだったのですが、
迷わず右をチョイス

プロデューサーもはるきが悩んでいることに明らかに気づいている様子ですが、的確にアドバイスをしていたこれまでと異なりあえて助言を避けているようにも見えました。

ちゃんとはるきを見ていることはわかる

今回の壁ははるきが自身の力で乗り越えなければならないものであり、
もちろんそれははるきならこの壁を自分の力で乗り越えることが出来ると信じてのことだと思うのですが、
プロデューサーにとってもそれはとても苦しいことだったのではないかと思います。


ここなど必要最低限の助言に留めていた気がします

正直なところ自分も序盤のコミュでは苦しむはるきの姿をみるのが少し辛かったのですが、

そのもどかしさをプロデューサーが「見ていることしか、できなくて」という絞り出したような言葉であらわしてくれたことで、コミュを読んでいた時の苦しい自分の気持ちとシンクロしとても心が動かされました。


ともあれ、プロデューサーの言葉で自分が最も好きだった「見る」ということを思い出した訳ですが、

この部分はWING編や「猫と犬みたいな雨」などのコミュでも描かれていた部分ですね。

プロデューサーの言葉を「波」と表現したのも、同コミュでルカのパフォーマンスを「うみのなか」と表現していたことにもつながっているような気がします。

WING編「見つめる先にあるもの」より
出会いの時から一貫していました
「猫と犬みたいな雨」の「雨に貫かれて」より
はるきコミュらしい独特な表現が印象に残る

この後のカットでもある「桜」もPSSRで描かれていた部分につながる感じがしますね。

はるきPは桜のスチルだけでW桜pSSRを思い出します(多分)

その後「わたしの輪郭なんてなくなるくらい」という言葉がありますが、これが今まではるきがとらわれていた「」から解放され自由に描いていく心を思い出した描写なのかなと思います。


その後の敗者復活戦前のコミュでは、はるきは自身の状況を「崖っぷち」と表現しながらも、それを「崖ということは眺めがよさそう、手をつかんでくれている人がいるから大丈夫」とはるき節全開で表現をしてくれて、すっかりいつものポジティブな調子を取り戻しています。

本当に凄いコミュだと思います
何があっても放さないよ…

それはシーズン4のコミュで既に自身にとって大切なことをはるきは取り戻していて、GRADの勝ち負けはただの結果でしかないので敗北を恐れて縮こまることもなく自由に表現することを恐れなくなっているのかなと思います。

実際敗北コミュでもはるきは全く暗さが無く、その結果も前向きにとらえている様子でした。


敗北コミュとは思えない爽やかな結末

これは初見の時正直驚いたことで、私はこれまでGRADの敗北コミュは初回プレイ時にみてしまった果穂のものぐらいしか知らず、それがとてもつらい内容だったので基本的に「GRAD敗北コミュ=暗い、辛いもの」という印象がありました。

なので今回の敗北コミュは「こういうのもありなんだ!」と驚きましたが、こうして後から考えてみるとむしろここで負けたことで暗くなるほうがおかしいので、本当に考えつくされている内容だなと思います。


GRAD優勝後自身がたくさんの人に応援されていたことに気づくシーンがありますが、私はこのシーンもすごく好きです。


限界な時って本当に周り見えなくなるんですよね…

アドバイスしてくれた共演者さんも、はるきがどうでも良い存在だったらきっと適当に愛想を振りまいていたでしょう。

なのに自身の経験も踏まえて厳しい言葉ながらもアドバイスをしたのは、はるきの姿勢や悩んでいる姿をみて心が少しでも動かされたからかもしれません。

純粋と表現したスタッフさんもひたむきに頑張る若さ、自分にない活力を眩しく思ったことから出た賞賛の言葉かもしれません。

また敗者復活後コミュでも触れられていたレッスンを基礎からやり直すことになったのも、振り出しに戻ることではなく、より自身のパフォーマンスを進化させる為の「急がば回れ」の言葉でした。

しかしどの言葉も勝手な線引きをし、視野が狭まっていた状態のはるきは受け取る余裕がなかった。

そのことに気づいたことで自分がたくさんの人に支えられていたことを改めて実感したはるきはプロデューサーのいう通りこれからもっと強くなるでしょう。

その後の「ああいうのが見たくて生きているのかもしれません」というセリフも大好きです。


これだけ苦しんだ後にこの言葉が言えるはるきの心の強さは本当に凄いと思います。

WING編で見たいと語っていた「今までの自分が全部変わっていくような瞬間」がまさに今回感じた波のような場面だったのかもしれませんね。

WING編「色づいていく」より


最後のコミュでは、はるきが美術館の方に電話するシーンから始まります。

初心を思い出すきっかけになった場所に対して「もう少しだけわたしだけの場所でいてください」というセリフで思いを語りますが、私はこの言葉がめっっっちゃくちゃ好きです。

何と言いますか芸術家ならではのエゴもあるような気がして本当に印象に残りました。


はるきは基本的にめっちゃいい子なんですが、「猫と犬みたいな雨」や千雪さんとのホーム画面での会話、WING編「色づいていく」などのコミュからもわかるように意外と頑固で、自分はこうしたい!という思いが強く、個人的にはそういったこだわりの強い部分がいかにも芸術家といった感じですごく好きなんです。

「猫と犬みたいな雨」の「海、吹き去ったから」より
ここのはるき、末っ子味を感じて好きです



千雪さんとのホーム会話より
はるきのホーム会話は彼女のコミュ強っぷりが
いかんなく発揮されているので必見


WING編「色づいていく」より
ここではっきり言うところが好きです

あえてプロデューサーに聞こえるように話すのもなんかいいですよね。

「わたしだけの場所」って言葉をプロデューサーに聞いてもらうのってすごく意味深だと思うのは私だけでしょうか?

策士なポメラニアン


プロデューサーとの会話に関してはあまりにも美しすぎるので、正直文章で感想を書くことすらも無粋なような気がするんですが、折角なので自分の感じたままに書いてしまいます。
(正直読んだ人には読んだ人の数だけ解釈がある話だと思っているので違うと思ったら「こんなふうに捉えた人もいるんだな」程度で流してもらえると幸いです)


はるきが幼いころ描いた絵は「心を動かされた花の美しさを枯れる前に描き残したい」という思いが純粋に表されたもので、はるきはそれを見たことで自身の「見たもの」を「表現したい」という自身の芸術家としてのルーツを思い出したのだと思います。


予告では不穏な使い方でしたが、本編では全然違いましたね


この一連のセリフ主人公感が凄いと思います

今回はアイドルとして活動をした時に忘れかけていたその原点を思い出し、その思いを番組卒業時に貰った花束の絵に託す形で新たに描く。


はるきがいうようにこの絵がいつかの遠い未来の自分を助ける道しるべになるのかもしれません。

それはきっと「連綿と、桜」でプロデューサーが見せてくれた桜のように、追い求めていたことを忘れてしまうほどがむしゃらに走っていったその先に現れる光景なのかもしれません。

「連綿と、桜」の「幾つもの春をかけて」より
走ったその先にあった光景…


幼いはるきから渡された創作への原点・情熱という花束を受け取って、また新たな形にして繋いでいく。
本当に綺麗なお話だと思います。

ここでいう「あなた」は話の流れとしては幼いはるきのことだと思います。

でもわたしはここでいうあなたは「プロデューサー」も含んでいると思います。

はるきはプロデューサーと出会い、それまで考えてもいなかったアイドルの世界に飛び込みます。

運命の出会い(はるき曰く売り込み)

「桜花拾」で描かれていたように、はるきはこの出会いでそれまでのはるきから大きく違う存在となりました。

しかしアイドルはずっと続けることは不可能な職業です。

いつかはるきはアイドルを辞めなければならないし、もしかしたらその過程でプロデューサーと別れることもあるかもしれません。

でも仮にそうなったとしてもたくさんの経験をしたはるきがプロデューサーと出会う前のはるきに戻ることはなく、永遠に元に戻ることはありません。

「桜花拾」の「それでも時間は連なって」より
必修コミュを限定にしないでください…

ずっと見守ってくれた、自分の見たい世界を一番理解してくれたプロデューサーへの信愛とも、尊敬とも言えない言葉で言い表すことができない感情も今回描いた絵に描かれていて、それもはるきの一生の財産として彼女の歩む道をこれからも照らしていく。

私の願望も入ってるんですが、そういうことを表現しているんじゃないかなと思います。

(シャニPとはるきのコンビ、パートナー感が大好きマンなのでかなり私情が入ってると思います…)

意味深にシャニPのセリフが挟まるから
そこまで的外れではないと信じたい…


最後に一つGRADと全く関係のないコミュを一つ紹介したいと思います。

それは「6th anniversary当日コミュ コメティック」です。

まずは何も言わず内容をみてください。


…これ明らかにGRAD編後の話ですよね?

勿論実装順だと逆なんですけど偶然にしては内容がリンクしすぎててびっくりしました。

もしこれが計算づくだとしたら…はるきコミュ恐ろしい子…



長々と書いてしまいましたが、一言でいえば今回のGRADは本当に最高のシナリオで、

まもなく一周年となるはるきのお話の集大成としてふさわしい傑作だったと思います。

前提知識もあまり必要なく、最悪WING編だけ読んでいれば理解できる内容でありながら、

はるき関係のコミュを読んでいるとその分だけ読み取れる情報が増えていくのはもうなんといえばいいかわかりません…。

これからもはるきの歩む道のパートナーとしていられる幸せに感謝しつつ、今後のコメティックのイベコミュ、新規カード、LPを楽しみにしていきたいと思います!





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