【アート解説】大はしあたけの夕立
作品概要
作名 大はしあたけの夕立
作者 歌川広重
年代 1856年
作法 木版画
どこがすごい?
歌川広重作の本作は、隅田川にかかっている橋を描いた作品です。
浮世絵の代表作とも言える作品でしょう。
本作のすごいところは
雨の表現
だと思います。
みなさんは雨の日の絵を描こうと思ったら、
どう描きますか?
今回の『大はしあたけの夕立』と同じく
線を書く方がいれば、
色の表現で雨と感じさせる方法もあるでしょう。
実はこの線で雨と感じさせる方法は日本でよく採られるもので、西洋ではあまり使われていませんでした。
こちらは今回の『大はしあたけの夕立』と同時期に作られたクロード・モネ(フランス)の作品です。
こちらも見ても『雨の日かな?』と分かりますが、線で表してはいません。
この作品では
色使いと筆使いにより雨の表現をしています。
今回の『大はしあたけの夕立』のような表現法は当時の西洋画家たちに強い影響を与えた事でしょう。
そのような点で本作はすごいと言えると思います。
ゴッホがパクった?
本作が有名なのは、もう一つの理由があります。
それはゴッホによる模写です。
左が歌川広重作
右はゴッホによる模写
です。
ゴッホの絵の周りにある緑の囲いは額縁のようなものだったと考えられます。
周りに漢字が書かれ、作品の説明などが綴られていたのかな?と思います。
ですがゴッホは日本語を読めず、それすらも絵として模写してしまったのかな?と私は思います。
さて、なぜゴッホは本作を模写したのでしょうか?
これは先ほどの話に回帰します。
やはり広重の本作が与えたインパクトは大きく、『自分でも描いてみよう!』と思うほどだったのでしょう。
当時の西洋では
ジャポニズム
という流れがありました。
万博参加により日本からさまざまな文化が西洋に訪れ、そのうちの一つに浮世絵がありました。
浮世絵は当時の西洋画家たちに大きなインパクトを残しました。
そのためジャポニズムと検索すると西洋画家が描いた浮世絵を多く見ることができます。
おわりに
今回は歌川広重作『大はしあたけの夕立』を紹介しました。
本作は浮世絵代表作であるうえ、ジャポニズムの代表作としても知られます。
今回は雨の表現方法を中心にお話ししました。
あらためて雨のことを考えてみてください。
雨は線でしょうか?
私は、雨は丸だと思います。
雫💧が落ちてくるのが雨です。
雫は線というより丸の形をしています。
つまり広重の描いた線による雨の表現は、
雫の動きを表しています。
これは漫画表現にもつながるでしょう。
マンガでは急いで走っている時は足がグルグルで表現されます。
これも足の動きを表現しています。
このような
文化の継承、日本らしさが分かる
のもアートの面白いところではないでしょうか。