ニャーが日本語に変わる日
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ミキはその朝、いつもより四十分ほど寝坊してしまった。つい昨夜、仕事を持ち帰って資料を読み込んでいるうちに、気づかぬうちに机に突っ伏していたのだ。焦りながらシャワーを浴び、コーヒーを流し込んでスーツを引っかける。アパートを飛び出すと、近所の野良猫が塀の上からこちらをじっと眺めていた。
「おい、人間。そんなに慌てたら転ぶぞ」
まるでそう言われたかのように思え、ミキは足を止めた。猫が鳴いたはずなのに、それが自然な日本語に聞こえたのだ。もちろん驚いて振り返ったが、猫はただ首をかしげるように見えるだけ。
「気のせいだよね……」と思い直し、急ぎ足で駅へ向かう。
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