2024年5月23日競争力CA
今日のテーマ
日本でのTikTok規制の是非について
記事
Tom Gerken & Tom Singleton. (2024, April 25). TikTok、米国で成立した禁止法は「違憲」 争う構え. BBCニュース. https://www.bbc.com/japanese/articles/cgxwnn9exl5o
アメリカで24日、TikTokについて事業売却か利用禁止を求める法案が成立し、バイデン大統領はTikTokを運営する中国企業バイトダンスがTikTokのアメリカでの事業を9カ月以内に売却しなければ国内での利用を禁止するとする法案を含む、法案パッケージに署名した。この法案は、TikTokが中国政府とデータを共有する可能性への懸念から整備された。
これを受け、中国企業バイトダンスは法案を「違憲」として法廷で争う意向を示した。TikTokのCEO、周受資氏は動画で法案を非難し、「法廷で権利を守る」と述べた。また、TikTokは「事実と法律」が同社側にあると主張し、アメリカのデータの安全性を確保するために多額の投資をしてきたと説明。さらに、TikTokはこれまで、バイトダンスについて「中国やその他の国のエージェント(代理人)ではない」と説明。株式の6割を世界的な投資会社が所有していることから、中国企業ではないと主張している。一方、米上院情報委員会のルビオ副委員長は、新法が中国の所有者にアプリの売却を求めるのは「アメリカにとって良い動きだ」とコメントした。
アメリカ以外でも、TikTokを巡る問題は存在し、欧州ではTikTokの中毒性が問題になっている。そこでフランスとスペインでは、報酬プログラムを一時停止することで合意した。またEUのティエリー・ブルトン欧州委員は、この機能が子どもに「有毒で中毒性がある」と指摘しており、対策がなければ利用を禁止するとし、EUはこの機能について引き続き調査を行うと表明している。
近年日本でもTIkTokの普及率が上がってきており規制に関する話題が多く挙げられ始めている。一方で現状の日本では欧米と足並みを揃えつつも中立的な目線にある。
そこで今回は「日本でのTikTokの規制の是非」についてCAを行いたい。
立論側は、「規制されるべきである」という賛成の立場から議論を行いますので、皆様は「規制されるべきではない」という反対の立場で議論をお願いいたします。
※ここでのTikTokはTikTokLiteも含めること
言葉の定義
規制: アメリカの規制に基づいて、国内でのTikTokの利用を全面的に禁止するというものとする
前提条件
Q.TikTokとTikTokLiteの違いは
A.TiktokLiteはポイント獲得が可能なアプリ
Q.日本資本になった時のことは考えるのか
A.考えない、あくまで現状のTikTokについて
意見・論点
1. 情報流出の可能性がある
→ 実際に2022年、バイトダンスの社員が、TikTokの取材を担当している複数の記者の位置情報のデータを不正に入手しようとしていたという事件が報道されている。バイトダンス側はこれを認め、関与した社員を解雇した。
また、2022年7月に発表された報告(オーストラリアのサイバーセキュリティ企業Internet 2.0社によるもの)によれば、TikTokは過剰な権限を要求し、アプリが機能するのに必要な量よりも遥かに多くのデータを収集していたことが判明した。具体的には、スマートフォンにインストールされたすべてのアプリに関するデータや保存された連絡先へのアクセスなど。さらに、TikTokのデータ収集は無効化ができず、ユーザーのプライバシーを保護する手段が限られている。
このように常にアプリユーザーにも情報流出のリスクがある。
Q.設定等ユーザー側で対策ができるのでは。
A.ユーザー側に委ねてしまうのは危険であり、アプリ自体の危険性を考える必要がある。
Q.
A.思想、趣味等ユーザー側で対応できない情報が流失する可能性がある。
Q.TikTokは個人情報を登録しなくとも利用することが可能。
A.フェイク動画等ユーザーの判断できないリスクがある。加えて多くのは利用者が個人情報の登録をしてると考えられる。
2. デジタル依存症の問題
→ TikTokへの依存はもちろんのこと、2023年から日本でもリリースされたTikTokLiteへの依存が特に問題である。このアプリにある特徴的機能は、ユーザーがアプリで動画を視聴することでポイントを獲得し、そのポイントを報酬に交換できるというもの。報酬制にすることで外発的動機づけを行うことで依存性を高めさせることができる。一方で外発的動機づけは報酬を受け取ることに慣れやすく、継続的に上昇させていくことも難しいため動機が長続きしづらいためバイトダンスはよりより強い刺激を与えてくる可能性も考えられる。
Q.TikTokLiteはポイントを獲得する手順が煩雑であり、依存は短期的なものなのでは。
A.私自身依存している。ミッションは簡単なもので、報酬は容易に受け取ることができる。
3. TikTokチャレンジの危険性
→ TikTokチャレンジとは動画を見ている人に参加を促し、何らかの行動を起こすよう呼びかけるもの。(又の名をハッシュタグチャレンジ)過去には2021年1月、TikTokで「失神チャレンジ(ブラックアウトチャレンジ)」にトライしたイタリア・パレルモの10歳の女児が、自らの首をベルトで絞めて死亡する事故が起きた。このような危険動画を真似した事故がTikTokチャレンジにて続いており、未成年の死亡事故も多々起きている。
Q.年齢制限を守っていないユーザー・親側の問題ではないか。
A.10歳で利用した事例はその通りである。しかし、TikTok上のチャレンジ自体が危険である。
4. 不透明なTikTokモデレーション
→ TikTokのモデレーションシステムは整合性が欠けており、プラットフォーム全体で検閲が蔓延しているため、一部のコミュニティがさらに疎外されている。具体的には、タグの削除により人種差別に抗議する動画の人気が低下するなどの問題が発生している。しかしながら禁止されている単語やフレーズのリストは公開されておらず、モデレーションがAIによるのか人間によるのかも不明である。 さらに、2020年3月にインターセプトが入手した内部文書には、「あまりにも醜い、貧弱な、または障害のある」ユーザーの投稿を抑制するよう指示があったと記されていた。
予想される反論・再反論
情報流出はTikTokに限られた話ではないのでは
→ TikTokは元会社が中国でありそこに問題点があるのではないか。2017年、中国共産党政権は「国家情報法」を施行されした。この法律により、中国企業は政府からの情報提供要請に応じる義務が生じる。その中で急成長を見せる中国企業のアプリであるTikTokは中国共産党の武器となりうるのでは。
Q.株式の6割を世界的な投資会社が所有、中国が情報流出させる可能性はあるのか。
A.TikTokは中国版アプリと酷似しており、情報流出させることは可能だと考えられる。
2.TikTokでビジネスを拡大する企業もある
→ 他で大替できるSNSは多くある。TikTokに似たようなプラットフォームで言えば、例えば、YouTube Shortsは短い動画を流すアプリとして急速に人気を集めている。企業がビジネスをSNSにて拡大する際には、どこのプラットフォームを使用するかではなく、それぞれの特性やユーザー層を考慮し戦略を構築することが重要なのでは。
Q.TikTokから消費行動に移る人は多い。
A.個人情報等のリスクを抱えてまで経済効果を追及する必要はない。
Q.TikTokからビジネスに参入したいと考える人はどうなるのか。
A.TikTokである必要はない。
Q.現状TikTokで成功した人のプラットフォームを奪ってしまうことにならないか。
A.他のプラットフォームに移行すればよい。
3. 特定のアプリではなくソーシャルメディア業界全体をより効果的に規制すべき
→ TikTokを単独で規制するのではなく、ソーシャルメディア業界全体に対する規制が必要だという主張には一理あるが、TikTokが独自の懸念を引き起こしているとも考えられる。特に国家安全保障やユーザーデータの保護に関連する問題は、他のプラットフォームとは異なる。そのため政府が特定のアプリ(特に国外のアプリ)に焦点を当てることは、国家の安全保障や個人のプライバシーを守る上で重要な役割を果たすのではないか。
Q.特定企業への介入はあまり前例が無く、経済活動の制限になる。競争市場を整備することを優先すべきでは。
A.萎縮効果(例:中国資本の萎縮)を活用すべき。
Q.望まない萎縮(例:反政府的姿勢の萎縮)を生むのでは。
A.
4. この規制は政治的な意図やパフォーマンスに関連するものなのではないか
→ 国家安全保障上の懸念は過剰であり、TikTok禁止は政治的なパフォーマンスであり、実際の問題の解決にはつながらないという主張がある。
他国の政府は過去にも国内外の情報を監視し、制御することを試みており、それがTikTokを介して行われる可能性がある。よって国外のアプリに対するこのような懸念は決して過剰なものではない。
また、国家安全保障や個人のプライバシーを守るための政策決定はそのような脅威に対処するための必要な措置であると言える。
Q.TikTok規制が広く支持され合理的なものであれば野党も規制を支持するのでは。立憲・共産がTikTokを利用している。
A.知りません。支持増加のために利用しているのでは。
参考文献・URL
Tom Gerken & Tom Singleton. . (2024, April 25). TikTok、米国で成立した禁止法は「違憲」 争う構え. BBC ニュース. https://www.bbc.com/japanese/articles/cgxwnn9exl5o
インスタラボライター. (2023, March 20). TikTokの今後はどうなる?日本での規制・禁止はあるか?問題視される懸念点を解説. インスタラボ|インスタグラム・インフルエンサーマーケティング専門メディア【Find Model】. https://find-model.jp/insta-lab/tiktok-problem-regulation/#i-4
日本放送協会. (2024, March 18). なぜダメなの?TikTok 世界に広がる禁止包囲網. NHKニュース. https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230317/k10014011251000.html
昭夫真. (2023, April 14). 次は「TikTokの兄弟アプリ」が若者に人気. . .中華アプリの規制がまるで追いつかない米国の焦り ソフトウェアの競争力は米国を上回っている. PRESIDENT Online(プレジデントオンライン). https://president.jp/articles/-/68553?page=1
佐藤洋平. (2022, October 30). 【保存版】ドーパミンと依存症、報酬系と行動経済学の脳科学15本. 脳科学コンサルティングのオフィスワンダリングマインド. https://what-is-man.me/dopamin-izonnshou/
Price, D. (2023, February 16). 7 reasons TikTok is bad for everyone. MUO. https://www.makeuseof.com/is-tiktok-bad/
TikTokの過剰なデータ収集と子どもたちを守るために知っておくべきこと | サイバーセキュリティ情報局. (2023, August 24). https://eset-info.canon-its.jp/malware_info/special/detail/230824.html
ProCon.org. (2024, April 29). TikTok bans - Top 3 pros and cons | ProCon.org. https://www.procon.org/headlines/tiktok-bans-top-3-pros-and-cons/
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