大人のWeb小説発掘記 その9 空色のダイアモンド 作者 海辺 広多様
本編URL(リンク先R18注意)
https://novel18.syosetu.com/n9103io/
前書き
この記事は作品のネタバレを含みますのでご注意。
こちらの記事はあくまでも筆者の個人的意見です。
評価の基準としては200円~700円前後の書籍を購入し、読んだものとして付けさせていただきます。そのため基本的には厳しめとなります。
あらすじ
「ダイヤモンドは硬くて、強くて、だけど500度以上の炎の中では燃えちゃうんだ」
「私が燃えても永遠に。私を忘れないで」
ストーリーと見所
女の子同士の儚い恋愛……というか友情の延長線上にある性を描いた百合短編小説。
百合というかGL?まぁとにかく女の子同士がアレコレしてこれそれするような話だよ!
ストーリー自体はかなりシリアスで、片方の女の子は病を患っている。本当に低確率でその病を発症した彼女は、同じく生存確率が極めて低い手術に挑まなければならない。
そのことを知らされた主人公の少女は、彼女がとあるクリスマスプレゼントを頼まれる。
そして来たるクリスマスの日、二人は――。
といった感じのストーリーである。この話が泣けるかどうかは個人の感性によるところだろう。
筆者はそこまで感動することはできなかったが、これは別に作品が悪いわけではなく、本当に読み手の問題だ。
文章や演出、台詞回しなどはちゃんと読み手に対して悲壮感を与えるようにはできていたと思うし、何よりも二人の間にある微妙な関係が目前に迫る『何かの終わり』によって一歩進んでいく感じはよくできていた。
で、本題はここから。そこには崇高なテーマや、深い物語性があるのもいいだろう。それ自体は素晴らしいことだ。
だが、そこはR18の世界。読み手としてはエロを期待してしまうというものだ。
ストーリーの演出?世界観的に必要?好きに言うがいい。
ここはエロが全ての世界だ。
少なくとも、筆者の判断はそこに比重を置かせてもらっている。
合格!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
勝ち、優勝!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
というのは些か褒めすぎではあるが、その悲壮感溢れる情緒的な始まりからは想像できないほど……いや、それがあったからこそより深く読者を誘えるほどのエロスがそこには待ち構えていた。
女の子同士の幼馴染。
しかも本来ならお互いに恋愛感情などはない。その二人が病によって死ぬかも知れない片方の頼みで一線を越えて、戸惑いながらもそこは確かに存在している愛情と愛欲を受け止めるその姿。
前振りがあってこその二人の関係。そして何よりも恋愛感情のなさというのが、それでも快感を得ていく二人の背徳感をより増強させているのである。
しかも攻守逆転もあるぞ!!!!!!!!!!!!!
三話目で何となくしんみりして終わるかと思ったら、そこでもまだやってやがる!!!!!!!!!!!!!
ってな感じで分量も充分、サービス精神も旺盛な良作となっている。
キャラクター
智子
病気で可能性の低い手術に挑む女の子。
何処か諦観したような性格であり、そんな状況にも関わらず淡々としている。
そんな彼女が乱れる姿といったらもう……!!
理紗
智子の友人。
彼女の最期の願いを聞くような形で抱くことになる。
最初の戸惑いから行為の最中の心情の変化がとてもよし。
総評
評価点
前振りから行為のシーンまでが綺麗で、その辺りの情緒が上手く噛み合うように書かれているその手腕は実にお見事。
最初の雰囲気からして行為のシーンはおまけぐらいに思っていたのだが、予想以上に多かったのも嬉しい誤算ではある。
文章力に関してもかなり高めで、心情描写も絡ませたしっとりとしたエロスを味わうことができる。
問題点
特にないかな。
敢えて言うなら理沙の心情描写がもっと欲しかったところではあるが、短編だしまぁ、こんなものだろうといった感じ。
最終評価 75エロ(素晴らしいエロ)
切なさとか尊さとかそういったものと一緒にエロスまで大量摂取できる良作小説。
女の子同士の友人っぽいやり取りと、いざ行為の及んだ時のコントラストが素晴らしく、彼女達の乱れる姿はなかなかに良きものに仕上がっている。
ストーリーとしても綺麗にまとまっているし、読後感もいい。
GLのエロとしても、少し感動できるお話としても両方楽しめる非常にお得な小説となっている。
所要時間は凡そ15分ほど。