Web小説発掘記 その313 無敵な脳筋美少女と王殺しの魔法使い 作者 くれは様
本編URL
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前書き
この記事は作品のネタバレを含みますのでご注意。
こちらの記事はあくまでも筆者の個人的意見です。
評価の基準としては200円~700円前後の書籍を購入し、読んだものとして付けさせていただきます。そのため基本的には厳しめとなります。
※こちらは『二章』までを読んでの感想、レビューになります。
あらすじ
「22時以降は出歩くな」呪文のように囁かれる2024年の現代日本。
家の事情で休学して、バイトに明け暮れる平凡な大学1年生の光永雪璃(みつながせつり)は、帰り際『あるモノ』と遭遇してしまった。
それは、幾年前に突然姿を現した『あやかし』と呼ばれる存在。
死が間近に迫るとき、ヒーローのように颯爽と現れたのは、セーラー服姿の美少女。柏野彩(かしのあや)
ハンターと呼ばれる、あやかし国際協会で密かに活躍する身体能力者(ホルダー)。人間の希望と囁かれる『魔法使い』
あやかしの王を殺せるのは、魔法使いだけだから。
彩に守られながら、協会の新人として彩が率いる区間の仲間と共に、あやかしを葬っていく。
チャラ男に言い寄られたり、美女に冷めた目で見られたり、優しいお兄さんに憧れたり!
まさかの美少女は、後輩で?変態だった。
非日常に巻き込まれた雪璃は、彩との出会いを通して成長していく。
謎の美少女高校生×平凡な大学生が織り成す、あやかし現代ファンタジー
ストーリーと見所
令和の現代を舞台にしたラブコメ(?)ファンタジー小説。
能力に目覚めた主人公があやかしと呼ばれる存在と人知れず戦ったりするような、そんなお話。
そこにインパクトの強いヒロイン要素をプラスしているのがこの作品の個性的な部分で、少なくとも二章までの展開は場面の殆どにヒロインが映り込んでいる。
お話としては割と王道といってもいい。
組織に所属し、ヒロインや個性的な仲間達と親交を深めながら強力な力を秘めた主人公がその使い方を覚えていく。
ここから先の展開は断定できないが、恐らくはそういった王道的な流れが予想できるストーリーラインとなっている。
勿論それに関してはその通りに進んでもいいし、裏切ってくれても全く構わないだろう。
で、全体的な感想というか印象なのだが……。
性急過ぎる+雑さがある。
というのが正直なところ。
作者さんのやりたい展開や、恐らくこういう物語にしたいであろう形はとてもよく伝わってくる。
なのだが一刻も早くそういった流れを作りたいあまり、読者側に情報がないままに物語が進んでいってしまい、置いてけぼりにされている感が凄い。
特に主人公の情緒に関してはもう少し序盤で語ってほしかったところ。
とはいえ読んだのはまだ二章までなので、ここから怒涛の展開で盛り上がる可能性は充分にある。
非常に先が楽しみな物語といっていいだろう。
キャラクター
光永雪璃
物語の主人公。男性。
取り敢えず二章までの印象としては流されているだけといった感じではある。
そういった理由もあってか情緒も読み切れず、どうにも物語の軸になり切れていない感があるのは否めない。
この辺りは今後に期待といったろころだろうか。
柏野彩
ヒロインの美少女。
二章までの時点で読んでいる限りでは、こっちが主人公のような扱いでもある。
かなり力が入って書かれているのは確かなのだが、ちょっと空回りしている感が否めない。とはいえ好みの問題もあるので一概には……といったところではあるが。
色々と書きたいことが多い人物なのだろうが、どうにも物語と合わせて先走っている感が強いキャラクター。
総評
評価点
作者さんのやりたいことは強く伝わってくる。
また個性的なキャラクターを描こうとする意思も感じ取れる。
文章に関してはそれほど崩れている部分はなく、そこそこに読みやすい。
また読んでいて書きたい場面や人物像などはある程度はっきりしているため、そういった部分が刺さる人には刺さる作品であるともいえる。
問題点
全体的に雑というか、焦点が合わないままキャラクターだけが先走っている感が強い。
後半に明かされるのかはわからないが、こちらの方で頭に疑問符を浮かべたままに物語が進行していってしまっている。
キャラクターに関しても個性的な人物を書こうとしている姿勢は読み取れるが、押し付けられている感が強い。
とはいえこの辺りは好みの問題というか、読み手の感性次第なところもあるだろうが。
最終評価 46点(普通に楽しめるWeb小説)
全体的な粗っぽさは見られるものの、作者さんの描きたいキャラクターや描きたい場面がしっかりと書かれており確かなパワーを感じる作品。
特にキャラクターに関しては上では否定的な意見こそ書いたものの、個性を発揮しつつ物語の中で生き生きとしているのもまた事実。
ストーリーもわかりやすく、ヒロインにも力が入っている。
現代ファンタジーやちょっとしたラブコメを楽しみたい人にお勧めの小説。
所要時間は『二章』までで凡そ30分ほど。