Web小説発掘記 その310 救国の英雄、呪われた魔女の恋 作者 実緒屋おみ@忌み子の姫は〜発売中様

本編URL

https://kakuyomu.jp/works/16818093085618423187

前書き

この記事は作品のネタバレを含みますのでご注意。
こちらの記事はあくまでも筆者の個人的意見です。
評価の基準としては200円~700円前後の書籍を購入し、読んだものとして付けさせていただきます。そのため基本的には厳しめとなります。
※甘口記事です。

あらすじ

恋をした。それで充分だとヴィクリアは思った。
だから。
「さようなら、オルニーイさん。次に会ったら殺します」
――笑うこともなく、慕う彼へ最低な別れを告げた。

国に仇する悪竜・ユランの一体を討ち取ったは、とある英雄の一団。
悪竜が倒れ、スヴェノータ王国に平和が訪れてから早七年が経過した。
国の隅にある森で一人暮らす娘・ヴィクリアはある日、一人の男と邂逅する。それこそ悪竜を倒した英雄・オルニーイ。
ひょんなことから彼の元で世話になることになるヴィクリアだが、彼女には悪竜の配下、すなわち魔獣の呪いがかけられており……。

少しずつ心を通わせる英雄と魔女。
でもこれは、してはならない禁断の恋。

ストーリーと見所

森で暮らす無垢な娘である主人公が、悪竜を倒した英雄と出会ってから始まる恋愛物語。

ジャンルとしては女性向けにあたり、二人の心の動きがかなり丁寧に描かれている。

とはいえ丁寧なのは物語全体を通してのことで、情景描写からキャラクターの動き、舞台背景に至るまでかなり鮮明に書きこまれている。
にも関わらず文章がくどくならずにスラスラと読めるのは、作者さんの実力あってのことだろう。

読みやすさのあまり一章でいいといわれているのについつい最後まで読んでしまったい。

色々といいところはあるのだが、特筆したいのは物語の始まり。
鮮明だが決して読者を遠ざけないテンポの描写は読んでいて心地よく、ここから始まる物語への期待をこれでもかといわんばかりに盛り上げてくれている。

そして主人公と相手役の男性キャラクターの出会いで終わるのだが、ここまでの描写が実に秀逸。

台詞回しも相まって、一気に読者を物語へ引き込んでくれるような作りをしている。
そこから展開する物語も、交互に語られるメインキャラクター双方の心理描写が巧みであり、二人の仲の進展を温かく見守ることができる。

そして最後はしっかりと盛り上がり個所を作ったうえで物語を締めてくれると、一気読みしたときの満足感に溢れた作品といえる。

キャラクター

ヴィクリア

物語の主人公。

世間知らずで何処か淡々とした性格。
そんな彼女が恋に目覚めていくのがこの物語の見所の一つとなっている。

なかなかいじらしい場面が多く、応援したくなってくる。

オルニーイ・ローダ・クイーシフル

相手役の男性。もう一人の主人公ともいえる。

救国の英雄というやつで、誰にでも優しく接するナイスな男。

英雄として生きていた彼が主人公と出会い、自分の心に正直になっていく姿は、ヒロインが恋に目覚めていく過程と上手く重なるように描かれていてとても印象的になっている。

総評

評価点

読みやすい文章に、わかりやすく構成されたストーリー。
秀逸なキャラクターの台詞回しと全体を通して非常に出来がいい小説。

上にも書いたが特に物語の始まりはとても印象的で、二人のちょっとした会話からお互いのキャラクター性を一気に読み取ることができる。

情報量の多さもちょうどよく、描写が細かいながらもしっかりと二人の恋愛関係に焦点をあてて読めるのも個人的にはとても良き。

問題点

甘口なのでなし。

最終評価 XX点(甘口なので点数はなし)

読みやすく、物語としての秀逸なファンタジー恋愛小説。

全編を通して引っかかる場所が殆どなく、構成も語ることを語り切ったうえで綺麗にまとまっている。

特に男女二人のメインキャラクターの構図がとても上手く、お互いに心が寄り添いあっていく様子がとても丁寧に描かれているのも個人的には評価が高い。

所要時間は凡そ30分ほど。

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