Web小説発掘記 その305 拾って猫っかわいがりしてしまったなら、最後までキチンと面倒みるべきなんだろうか? 作者 雲丹屋様
本編URL
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前書き
この記事は作品のネタバレを含みますのでご注意。
こちらの記事はあくまでも筆者の個人的意見です。
評価の基準としては200円~700円前後の書籍を購入し、読んだものとして付けさせていただきます。そのため基本的には厳しめとなります。
あらすじ
余分な”記憶”のせいで、出世街道をドロップアウトした転生者のおっさんが、魔が差して拾った仔猫ちゃんをついつい猫っかわいがりしてしまった話。
寂しい独身男が、猫吸って生き返ります。
すみません。
この主人公、かなり変わり者です。
恋愛カテゴリでこんなもん書いてて大丈夫か?猫っかわいがりは溺愛に含まれ……ちょっと怪しいですが、大目に見てください。
ハッピーエンドです。
全6話
おまけがちょっとあります。
ストーリーと見所
ファンタジー世界を舞台にした、中編恋愛小説。
物語は主人公視点で進み、細かな情報の開示がないまま進んでいく。
これが演出としてはいい味を出しており、この小説自体のコンセプトにも上手く噛み合っていて独特の味が出ている。
ストーリーとしてはそこまで複雑なものではなく、主人公が猫を拾い。最初は気が進まないながらも世話をして次第に心を通わせるといった感じ。
その猫にこそ秘密があり、それは後々に明かされていく。
一人称視点で文章は基本的に読みやすい。
また世界観としては所謂異世界転生をモデルにしている。
主人公や猫周りの描写も、伏線となっていて、それが明かされるとなかなかに驚かされるものとなっている。
基本的には軽く読めて、短い時間で楽しめる異世界恋愛小説といった感じ。
反面、ある程度曖昧な情報がストーリーの味となっているので、読んでいると結局何の話なのかと見失いがちにもなる。
まあこの辺りに関しては中編小説ということもあって、割とすぐに種明かしもされるのでさしたる問題ではないだろう。
ジャンル的に興味があるから読んでおいて損はないといっていいだろう。
キャラクター
主人公
物語の主人公。
ぶっきらぼうな態度で猫に接するが、次第に絆されていく。
彼のキャラクター性を重要視し過ぎたか、読んでいると猫云々よりもこっちばかりが印象に残ってしまう。
猫
猫である。
にゃーん。
それなりの秘密があるのだが、ネタバレになるので控えておく。
中編小説だし、読んでみて確かめてほしい。
総評
評価点
一人称視点で淡々と書かれる物語は、各キャラクターの味を上手く出せている。
ストーリー全体で見ても適度な優しさがみられて、読んでいて心地よい作風。
物語の仕掛けも中々面白く、特に主人公周りの設定を読むと疑問が解消されて気持ちがいい。
問題点
主人公と猫パートがもっと多くてもよかったのかも知れない。
これはこれで味があるとみるかは人によりけり。
また猫周りの設定はちょっと詰め込み過ぎ感もあった。
最終評価 54点(Web小説としては普通に良作)
文章も割と読みやすく、長さも短めなので手軽に読める中編小説。
ストーリーもわかりやすく、おまけまで読んで二度美味しいと色々な楽しみ方ができるのも魅力。
異世界小説や恋愛小説が好きなら、手に取って損はないだろう。
所要時間は凡そ20分ほど。