Web小説発掘記 その302 有限会社異世界転生(エクソダス) ~あなたの異世界転生承ります~ 作者 岩田 コウジ様

本編URL

https://ncode.syosetu.com/n8639il/

前書き

この記事は作品のネタバレを含みますのでご注意。
こちらの記事はあくまでも筆者の個人的意見です。
評価の基準としては200円~700円前後の書籍を購入し、読んだものとして付けさせていただきます。そのため基本的には厳しめとなります。
※こちらは記事を書いた時点での最新話である『第44話  堕ちゆくフ女子は何を願う 7』までを読んでの感想、レビューとなります。

あらすじ

 偶然、異世界転生を叶えてくれる会社の存在を知った主人公、向湊徒(むかえ みなと)がその真偽を確かめるため現地へ向かう決意を固める。
そこで出会った少し変わった従業員たちや、様々な依頼者との交流を描く。
 依頼者の中には勇者に憧れる少年やVtuberから異世界の住人まで様々、その抱える悩みも様々……主人公は素人ながらも彼らの悩みを解決すべく、今日も軽トラで撥ね飛ばす!

ストーリーと見所

以前の記事はこちら↓(甘口記事)

人生上手くいかない主人公。
そんな彼が辿り着いたのは人を異世界へと送る会社。

そこで個性的な女の子達と一緒に人々を異世界送りにする日々を過ごすといった感じの物語で、ストーリーは基本的には一つの話ごとに独立しつつ、物語の謎に迫っていくような形になっている。

キャラクターは個性的で、文章は割と読みやすい。
トラックによる異世界転生を逆手にとったユニークな設定など、光る部分が目立つ作品。

物語の空気もゆるっとしていて、コメディっぽいかと思いきやシリアスな展開も混じったりと読んでいて飽きさせない。

……と、まぁ割と安定した作品と呼べなくもないのだが。

実は読んでいてそれなりに「ん?」と思う部分もあったりもする。
なんと言うか……全体的にごちゃついているというか、地に足がつかないというか……。

手っ取り早く言ってしまうと、主人公の目的が不明瞭。
後々に上手く明かすための伏線なのかはちょっとわからないが、全体的にキャラクターの目的や正体などがわからないまま次々と新設定や新キャラが出てくるので、どうにも読んでいて人物像が定着しない。

それに加えて基本的に場面にはキャラクターが三人以上いて、お互いに個性をアピールするので読んでいて分量の割に話が進まない。

なので正直なところ、読んだ印象としてはトラックやらなんやらよりもひたすらに移動して喋ってを繰り返しているという感じになってしまっている。

この辺りはキャラクターを好きになれるかどうかで評価がわかれる部分もあるだろうし、一概に悪いというわけでもないが……。

キャラクター

向湊徒

物語の主人公。

現状の役割としてはカメラマン的な、女の子達の活躍を映しつつ移動するのが主と言ったところだろうか。

これは彼だけの問題ではないのだが、全体的なノリが軽くどういう目線で見ればいいのか今一つわからない。

城前 理子

一応ヒロイン……なのかな?

おっぱいが大きい。
あんまり詳しいことがわからないので、今後に期待。

総評

評価点

トラックで異世界送りにするというアイデアは面白い。
またキャラクターの台詞や人物像がかなりくっきりとしており、誰がどういった人物であるかは非常にわかりやすい。

文章も割と読みやすいので、話を読み進めやすい。
一話ごとの構成もしっかりしている。

問題点

物語の方向性が今一つわからない。
キャラクターに関しても主人公を含め謎が多すぎて、誰をどのような目で見ればいいのかが今一つ不明瞭。
この辺に関してはここから先、何かしら回収する伏線となっている可能性もあるため悪い話でもないが。

最終評価 52点(普通に楽しめるWeb小説)

全体的に読みやすく、キャラクターは個性的。

お話に関しても一つ一つのエピソードがしっかりと作り込まれており、緩い掛け合いなどが好きな人はかなり楽しめる作品になっている。

緩さからの重めのシーンによる寒暖差もあり、読んでいて意外性のある作品になっている。

所要時間は『第44話  堕ちゆくフ女子は何を願う 7』までで凡そ1時間ほど。

極めて個人的な感想

これは読み手の問題で、コメディで笑うことがあまりないのでそこがノイズになってしまった感はある。

逆にそういった部分でしっかりと面白さを感じ取れる読者なら、かなり楽しめる小説に思える。

キャラクターの個性は出ていたので、その辺りが刺さる人ならかなり楽しめそう。



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