Web小説発掘記　その293　好きです。騎士団長様の愛人にしてください!!〜公認ストーカー令嬢は、強面騎士団長様に執着される〜　作者　うり北 うりこ様

本編URL

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前書き

この記事は作品のネタバレを含みますのでご注意。
こちらの記事はあくまでも筆者の個人的意見です。
評価の基準としては200円～700円前後の書籍を購入し、読んだものとして付けさせていただきます。そのため基本的には厳しめとなります。

あらすじ

　伯爵令嬢のアディルは第三騎士団長のカイザーに恋をしている。本人からの了承をもらい、公認ストーカーを堂々と行う日々。
　だが、アディルもそろそろ婚約者を決めなければならない年頃となった。カイザーは公爵家の次男で第三騎士団の団長。アディルは、ただ領地が広いだけの伯爵家の三女。
　諦めなくては……そう思うのに、諦められない。

「私をカイザー様の愛人にしてください」

　その言葉が執着への始まりだった。


『強面過ぎて結婚を諦めていた騎士団長×合法ロリのカイザー大好き暴走令嬢』による甘々両片思い、ラブコメディー

ストーリーと見所

身長2メートルを超える強面の男性と、逆に身長150センチ未満の小柄なヒロインとの恋愛小説。

恋愛といっても作品の内容としてはかなりコメディ……というかラブコメ寄りとなっており、言っちゃああれだが細かな心情の変化とかをメインにしているわけではない。

キャラクターの独自性や、カップリングの妙、周りの人達の反応などを楽しむ小説となっている。
全体的な傾向としてとにかく極端というか濃いというか（恋だけに）各登場人物のキャラクター付けが物凄くわかりやすい色付けをされている。

周囲の人々の反応からエピソードまで、とにかく「この人はこういうきゃたクターです！」というのが全力でアピールされており、その辺りはどう楽しめばいいかの導線がしっかりと引かれている。

少しばかり押し付け感が強くも感じたが、物語自体が中編程度の長さでありあくまでも楽しさの本題は二人の関係性ややり取りであることを思えば、その辺りを割り切ったのはなかなかの英断といえるだろう。

事実、それによって割と短い時間で二人のキャラクター性を理解することができて、物語にすんなりと入り込むことができる。

また全体的に台詞や（）内での心情描写が多く、読んでいて各登場人物の気持ちを理解しやすい。

これは物語全体が基本的に明るく楽しいものであるため、むしろ安心して読むことができるといってもいいのかも知れない。

全体的な印象としてはとにかく明るく、楽しい作品。
タイトルにある執着に関しては心の中で思うだけで、それがエピソードに繋がっていないのが気になるところではあるが……。

キャラクター

アディル・フラスティア

物語のヒロイン。

合法ロリということで、とても小柄な体躯をしている。
恐らく美少女なのだろうが、小柄なだけでストーカーが大量発生するというのはなんだかその国の将来が心配になるところではある。

その件に限った話ではないが、良くも悪くも全体的に「コメディだから」のノリで流す部分が多い作品ではある。

カイザー

相手役の男性。

身長2メートルを超える大男で、非常に強面らしい。
その辺りは相棒的なキャラクターからかなり極端な説明をされる。

ヤンデレ（？）気質で、途中から彼の視点でヒロインに対する危なげな妄想が語られたりはするが、特に行動の移りしたりはしない。
タイトル含めその辺りを適度なフレーバーと取るか、物足りないと取るかは人によるといったところではある。

総評

評価点

物語の導線やお話の流れが非常にわかりやすく楽しみやすい。

このジャンルが好きであろう人に的確に刺さるような書き方がされており、読んでいて道を外れることもなく一本道で話が完結していくのはありがたいところ。

全体的なストーリーもメインとなる二人の関係性にしっかりと焦点が当たっており、そういった意味はとても読みやすかった。

問題点

地の文→台詞→（）での心理描写が続くと、話が大分ごちゃついて誰が喋っているのかがわかりにくい部分がある。

特に漫画的に描いているというか、何となく絵を前提とした書き方がされていると思える場面があり、文章だけだと前後の繋がりが把握しきれないところがあった。

また全体的にストーリーの流れに関しては、エピソードを優先したかった感が否めず少しばかり雑な印象を受ける。
とはいえ上にも書いた通り、焦点自体はわかりやすいのでその辺りは些事と思うかは人によるところではあるが。

最終評価　52点（Web小説としては普通に良作）

一風変わった二人の関係を描いた、親しみやすさのある小説。

女性向けのラブコメとしては結構な質を誇っており、長さ的にいい塩梅なのも相まって大分読みやすい小説に仕上がっている。

なによりも勢いが凄まじく、作者さんの書きたいものがかなりくっきりとしているのは読んでいてとても好印象。
全体的にスピード感もあるので、分量の割にサクサク読めてしまう。

所要時間は凡そ30分ほど。

極めて個人的な感想

身長差カップル……いいよね……。

個人的には物語の細かな部分の補強があれば、更に楽しめた気がしないでもない。