Web小説発掘記 その291 HARBINGER〜人類滅亡の世界で蔓延る記憶喪失の謎〜 作者 澄海様

本編URL

https://www.alphapolis.co.jp/novel/782377079/653897455

前書き

この記事は作品のネタバレを含みますのでご注意。
こちらの記事はあくまでも筆者の個人的意見です。
評価の基準としては200円~700円前後の書籍を購入し、読んだものとして付けさせていただきます。そのため基本的には厳しめとなります。
※こちらは『ルヴァンの夢③』までを読んでの感想、レビューとなります。

あらすじ

ここは人類滅亡後の世界。朽ちた建物だけが残るこの場所で犬たちがのんびり暮らしていた。
ある日、犬のルヴァンは自分の影が二つになっていることに気づく。ルヴァンは不思議な影に導かれ、仲間とともに人間滅亡の原因を探る旅に出る。途中ルヴァンは記憶を失った多くの犬たちに出会う。
 なぜ記憶を失う犬たちが増えているのか。そしてなぜ人間は滅亡したのか。
 謎を解く鍵を握るのは人間が犬と会話するために作った一体のロボットだった。ルヴァンはロボットとの会話を通じて、人間滅亡の秘密と犬たちの記憶喪失の真相に迫る。

ストーリーと見所

人間が滅びた世界。

廃墟となった文明を犬達が旅をする物語。

と、これまた珍しい犬が主役の小説となっている。
とはいえ正直なところ、まだ序盤しか読んでいないのであまり語れることは多くないので……。

ある程度、本当に触りの部分の雑感をちょっと語らせていただくことになる。

まず単純に序盤のストーリー。
登場キャラクターが多く、立ち上がりはちょっとごちゃついている。

ある程度各々のキャラクターを立たせるためとはいえ、主人公よりも別のキャラクターが目立っていた辺りも気になるところ。

なのだが。
本編のワクワク感が凄い。

視点が主人公に帰ってからの、犬達の視点で語られる人間がいなくなった廃墟の世界。
そしてそこで人間の痕跡を求め旅に出ようとする主人公と、そこまでの流れがかなり綺麗に構築されている。

分量的にはまだほんの僅かしか読んでいないにも関わらず、これだけ先に期待感を持たせられる作品というだけで高い評価に値する。
勿論、良くも悪くも触りの部分ではあるので。

評価としては先を読むことで変わってくることもあるだろう。
とはいえ、物語においてかなり重要な序盤の引き込みに関しては高いレベルの作品といっていい。

世界観の構築の巧さ、読みやすい文章が光る小説。

キャラクター

ルヴァン

物語の主人公。

とはいえ序盤なのであまり語れることもない。

最初は出番薄目で少し怪しかったが、途中からしっかりとストーリーを動かす肝になってくれている。

イーライ

友人?もう一人の主人公?

最序盤は主に彼の視点で話が進む。
ポジティブで行動的な性格から、コメディリリーフ的な役割も担当している模様。

序盤の時点では一番キャラクターとしてわかりやすい。

総評

評価点

上でも書いたことだが、物語への引き込みはかなり巧い。
犬達の生活から始まり、人間が滅んだあとの文明の描写。

そして主人公ルヴァンが旅立とうとする目的は物語への期待感を高まらせ、読み進めたくなる魅力に満ちている。

また全体的に書き込みが深く、それでも読みにくくはないっていない文章もそれを見事にアシストしている。

問題点

非常に些細なことではあるのだが。

特に最序盤に関しては一度にキャラクターが出てくるので、どうにも全体を把握しきれない。

加えてメインキャラクターの名前が似ているのも若干戸惑いの原因となった。
もっとも一話がキャラクター紹介になっているので、きちんと予習をすればいいだけの話ではあるのだが。
読み進めていくうちに解決していく問題ではある。

最終評価 55点(Web小説としては充分な良作)

一応、序盤だけを読んでの評価ということで。

最序盤だけとはいえ物語に惹き込む力は高く、ここからの展開を期待させてくれるような小説に仕上がっている。

まだ目立った動きが見られないキャラクターなどもいるが、それらに関しても今後の活躍が充分に期待できるものとなっている。

所要時間は『ルヴァンの夢③』までで凡そ15分ほど。

極めて個人的な感想

銀牙とTOKYO JUNGLEというゲームを思い出したのは内緒である。

それはさておき、正直最序盤は「うーん」といった感じではあったが主人公のルヴァンに視点が映ってから一気に引き込まれた物語。

廃墟を旅する犬達ってのはなんかロマンがありますな。

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