Web小説発掘記 その288 姉妻と潜るダンジョン 作者 XX様
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前書き
この記事は作品のネタバレを含みますのでご注意。
こちらの記事はあくまでも筆者の個人的意見です。
評価の基準としては200円~700円前後の書籍を購入し、読んだものとして付けさせていただきます。そのため基本的には厳しめとなります。
※こちらは『第4章 川上兄妹と』までを読んでの感想、レビューとなります。
あらすじ
ある日突然、姉以外の人間が街から消えた。
なのに、水道と電気、ガスはそのまま使える。
スーパーに行くと、何故か食糧も腐らずに存在し続けている。
そのまま数週間生活した後、姉が言った。
「私と夫婦になって、子供を作りましょう」
常軌を逸した提案だ。
だけど……
姉は言った。
ひょっとしたらずっとこのままかもしれない。
そしてもし、何十年も後に私たちと同様に生き残った人に出会ったら。
そのときに、私たちがただの老人だったら助け損になってしまう。
それはダメだ。人類の保存に何も貢献できない。
だから……
幸い普通に生きていくための環境はあるわけで。
ならば若いうちに子供を産んでおいて、次世代を作らないといけない気がする。
主人公は悩むが、最終的に決断。
姉を抱き、姉を妊娠させ、1年後1児の父になる。
そして父親になって1年。
生まれた子供は妙に成長が早く、1年で発語があった。
そしてある日、姉弟夫婦は息子に「クラス」というものを与えられる。
同時に出現するダンジョン。
ダンジョンからは魔物が出現してくる。
家族を守るために主人公は逃げようかと考えるが、息子の導きにより、ダンジョン攻略は使命であることを知り、最終的に挑むことになる。
ストーリーと見所
誰もいなくなった世界で、実の姉弟がエロいことをしながらダンジョンに潜るといった感じの小説。
なんだかとんでもない舞台設定だが、その辺りに関しては割と序盤で神様的なものの力によるものと説明がされるのでそこまで大きな違和感はない。
こういっちゃあなんだが、アダルト系の小説なのだからその辺りの説明にそれほど疑問は抱かないものなのだ。
内容に関しては大方あらすじで説明されている通り。
ダンジョンに潜る冒険部分はかなりゲーム的、というか作中でも語られている通りウィザードリィシリーズが元になっていると思われる。
(筆者はちょっと動画を見た程度の知識しかないが、宝箱に罠が仕掛けて合ってそれを解除するとかはそんな感じだった気がする)
作品の特徴としては作者さんの作風なのか、何処か淡々とした文章表現が独特の味を出している。
それに関してはどんな場面でもあっさりと、次々読み進められる魅力に繋がっている部分がある反面、場面によっては物足りなさを覚えるところもあったりする。
特に個人的に顕著なのが濡れ場、所謂エロシーンで。ちょっとだけ物足りなさがあったりする。
エロに関してはフェティシズムを感じられる描写が多く、そもそもの内容が実の姉との近親相姦となかなかにインモラルなことも相まって題材としてはとてもいい。
とてもいいだけにもう少し粘着力のある描写が欲しかったところではある。
もっとも実際に読んでみると、エロシーン自体はあっさりだがそれ以外のシーンもこざっぱりとしているので手抜きには感じられない。
あくまでも全体的な作風がそういう方向性という話なのだろう。
そこに関してはこれはこれでいい味になっている感もあるので、一概に悪い点にも思えない。
また戦闘描写、ダンジョンの探索描写もそれ自体はさくさく進んでいくので、テンポがよく、割と読んでいてその小気味よさを楽しむことができる。
その上でアクセントになっている部分がエロシーンと考えれば、作品としてはしっかり成り立っているといえるだろう。
キャラクター
山本拓斗
物語の主人公。
自分と姉以外の人間が消える事態に巻き込まれ、その姉から子作りをしようといわれても受け入れるナイスな男。
戦闘では基本的に攻撃職を担当している。
最初は戸惑っていたが、一度行為を経験すればのめり込んでいくのが実に若者らしくていい。
山本紗耶香
物語のヒロイン。
色々と考えた末に弟に子作りを提案する姉ちゃん。
勿論美人でスタイルもいい。
エロ小説のヒロインらしく、エロいことに積極的なのもとてもよし。
なのだが最初の子作りのくだりは唐突感がありつつも「まぁ、エロ小説だしいいかぁ……」と複雑な気持ちを抱かせてくれる。
ちなみに物語の開始時点で非処女である。やったぜ。
総評
評価点
独特の作風、何処か淡々と進む作品の空気感は不思議な楽しさがある。
なによりテンポがいいので、気がつけば次々と読み進めてしまうのもとてもいい。
エロシーンに関しては作者さんのこだわりが要所に詰め込まれていて、細かい部分の描写が光る。
冒険ものとしても様々なオマージュネタがあり、知っていればニヤリとできるものも……。
個人的にはスキルの付け替えをパソコンで行うというところに妙に感心させられた。
問題点
全体的にあっさりし過ぎている感があるのは否めない。
エロシーンに関してもそうなのだが、冒険や戦闘も盛り上がりに欠ける部分はある。
作中で所謂『孕ませ』的な部分重要視されていて、別にそれ自体はエロいからいいのだが、生まれてきた子供がシステム的な役割しかなかったりと。
元ネタも含めて全体的に地続きの小説というよりはゲームのイベントが起こっている感がある。そこに関してはそういう作風と取るかどうかは意見が分かれそうである。
最終評価 52点(Web小説としては問題なく良作)
近親相姦を始めとするインモラルとフェティシズム。
それに冒険や探索など様々な要素が組み合わさった独特な小説。
淡々とした文章やあっさりした空気感は間違いなく作品の個性に繋がっており、次々と読み進めたくなる楽しさも秘めている。
若干マニアックなアダルト要素が受け入れらるなら、充分に楽しめる小説といっていいだろう。
所要時間は『第4章 川上兄妹と』までで凡そ30分ほど。
極めて個人的な感想
『犬・コボルト抜刀牙』のセンスは嫌いではないし何なら好きだよ。
姉の非処女宣言はもっと早い方が個人的には嬉しかったです。
(本当に極めて個人的な感想)