「互いに違うこと」を包含できる「調和」の在り方、自分だけの切り口を見つける価値観
日本は
周りを海に囲まれた島国であり、
自然が豊かな国です。
そんな島国である日本の文化の
特徴には、自然に逆らわず、
すべてを自然の流れに重んずる
という思想を持ち合わせる
調和を大切にする協調的な国民、
日本文化は「調和」を求める
傾向があると言われてきました。
1980年代に、時の首相が
「日本は単一民族の国家だ」と
発言して物議をかもし、
その後も同様の発言を繰り返す
政治家が何人もいますが、
そもそも日本の文化とは、
日本人が他国に向けて
「我々は日本人だ」という
主張をするために生まれたと
考えられおり、
主に日本の江戸時代の終わりから
明治時代に浸透しています。
そのときに、
”日本文化とは何か?”
というのを明確にした人が、
福澤諭吉です。
福澤諭吉は、日本の鎖国が
終わった江戸時代に、
学問の研究のためアメリカや
オランダの博覧会に
参加するために渡欧しており、
日本人では数少ない渡欧した一人。
そこで福澤諭吉は、
ヨーロッパ(オランダ)で
実際に目にした光景を見て
唖然とします。
なぜなら、日本はその当時、
まだ江戸時代だったため、
江戸城や日本家屋が並ぶ中、
一方、
オランダではガラス張りの建物や
30万部以上も発行されている
新聞など、全く異なる特徴に
驚きを隠せなかったからです。
そして、
日本固有の文化を守って
継承していくためには、
欧米諸国に認められるものを
発信しなくてはいけないと考え、
帰国してすぐに
慶應義塾大学を創設し、
多くの著書を出版して
明治時代の政治や海外で
実際に体感した知識を広めます。
日本文化は、江戸時代に
福沢諭吉の書籍によって
現代にも残す思想が生まれ、
今でも親しまれている
日本芸術(茶道、日本舞踊、
華道、能楽、陶芸など)は
多く存在しています。
外面的には多様性がなく、
ほぼ日本人だけの単一民族国家に
思われている日本ですが、
日本文化は単一・同質の文化では
ないと思っています。
多様性には
考え方や観点、経験、仕事のレベル、
スキル、経験、ジェンダー、年齢、
身体的能力といった
内面的なものも含まれていて、
同じ日本人であっても、
一人ひとりの内面は多種多様であり、
可視化していない多様性が
確かに存在しています。
これまでは、
「調和」を実現するために
主に「同じであること」を
求めてきたのではないか、
しかし、現状で必要とされるのは、
「互いに違うこと」を包含できる
「調和」の在り方、
つまり、
「違う」ことからも調和は創出できる、
デジタル経済圏の拡大などを背景に、
2050年にかけて個人の働き方は
大きく変化していきます。
AI・ ロボティクスをはじめとする
デジタル技術の浸透は、
ルーティン業務や手仕事的な業務を
代替していくとともに、
労働市場に国境がなくなり、
世界中の就労者が競争相手となる中で
グローバルに強みを発揮できる
国内人材(ハイパフォーマー)は、
プラットフォームを活用しつつ、
積極的に海外に付加価値を
創造することが可能になります。
”同じであること⇄ 調和 ⇄互いに違うこと”
その「価値」を認めることは
変化の速い時代にあって、
ますます重要ではないかと
思っています。
価値「観」とは、
私たち人間一人ひとりが
深く抱いている信念のこと、
つまり、
「何に価値があるとするか」
の考え方、
評価や行動に現れ、
さまざまな”選択”の場面で
活かされるため、
一人ひとりの人生をつくっていく
ものになります。
経験や周囲の人が影響するため、
年齢や育った環境によっても
異なるもの、
「自分らしさ」を最も
象徴するものと言えます。
自分の価値観に沿った
生き方ができるようになると、
やる気が湧水の如くあふれ出て、
傍から見れば苦痛にしか
見えないことも苦でなくなり、
むしろ楽しい、そんな境地に
立つことができます。
ただ、人間関係において
価値観は”重要視”される
部分だと思うのです。
価値観の合うこと→絶対条件
異なる価値観→仲違いの原因になりやすい
最近はSNSの進化や趣味の多様化から、
「気が合う人とだけつきあえばよい」
と考える人が多いと感じますが、
趣味の合う知り合い同士で集まると、
どうしてもある人と意見が合わない、
一方で、
年齢や趣味が全く違うのに、なぜか
意見の合う職場の上司がいるなど、
価値観が合う、合わない基準は
難しいものです。
自分の価値観を理解することは、
自分の人生を自分らしく生きる
ことにつながると思いますし、
一方で、
自分や他人の価値観の違いを
知ることは、コミュニケーション
での理解に役立ちます。
心理学の分野においても、
価値観は研究対象の一つとして
扱われてきました。
価値観を個人の
”パーソナリティ”を形成する
要因の一つと見なし、
具体的な尺度項目によって
測定することで、価値観の研究に
寄与してきたというわけです。
パーソナリティとは、
その人の全体的な特徴のことを指し、
「能力」「性格」「気質」の
3つから構成されます。
なお、性格は生まれた後に
形作られる特徴であるのに対し、
気質は遺伝的影響を受ける
生まれ持った特徴です。
近年の研究では、
「遺伝」や「環境」で
決まっている性格の殻を破り、
性格を変えるための方法や、
性格の上手な利用の仕方まで、
様々な研究が行われています。
目標を達成するために
どうしたらいいのかという
価値観についての研究は、
「類型論」と「特性論」に大別され、
この2つは、性格を扱う
心理学の代表的な考え方です。
「類型論」とは、
性格を比較的少数の典型的な
タイプ(カテゴリー)に分類し、
それらに当てはめていくことで
個人の性格を理解しようとする
考え方、
簡単にいうと、
すべての人類は何らかの
タイプに分類される、
この人は○○タイプ
あの人は✕✕タイプといったように
質的に素早く分類するやり方。
一方、「特性論」とは、
性格をいくつかの要素に分け、
量的にその要素がどの程度
備わっているかという側面から
性格を理解しようという考え方、
つまり、
あるものに当てはまるのではなく、
どのくらいその性質があるのかを
尺度によって測定します。
(明るさが○○%、社交性が○○%
といった感覚です)
「類型論」は、直感的で
わかりやすいのが利点ですが、
「中間の人が分類されない」
「ステレオタイプにつながる」
「その分類になるエビデンスがない」
といったところがデメリット、
実はこの「類型論」を
支持するデータが乏しく、
ほぼ、理論として価値が
なくなっているのが現状、
現在では、類型論の研究は
ほとんど行われておらず、
1950年代には衰退して
しまっているといいます。
反対に「特性論」は、
いろいろな学者が説を作り、
それをもとに特性(因子)の数や
その中身が異なっている
さまざまな性格検査ができています。
たとえば、
「16PF(16因子)」
「アイゼンク性格検査(3因子)」
「YG性格検査(12因子)」など。
人によって
各特性(因子)の値は違っており、
その値の違いこそが、
一人ひとりの性格の個人差を
作り出している、というのが
特性論の考え方。
特性論の利点は、
“パーソナリティ”の差を
量的に記述できること。
「特性論」は長年研究が進められ、
現在ではだんだんと過不足なく
性格を記述できる特性として
明らかになってきました。
それらは、
アメリカの心理学者
「ルイス・R・ゴールドバーグ」氏
が提唱した
「ビッグ・ファイブ(5因子)」
と呼ばれいます。
世界で最も信憑性のある
性格分析と言われており、
”ビッグファイブ(5因子)”を
使った心理テストは世界中で
活用されています。
その
ビッグファイブ(5因子)によると
人の”個性”は5つの因子によって
分類することができるといいます。
「Openness(開放性)」
「Conscientiousness(誠実性)」
「Extraversion(外向性)」
「Agreeableness(協調性)」
「Neuroticism(神経症的傾向)」
この5つの因子の強弱が
人によって違うため、
人の性格や振る舞いに
「違い」が出るのというのが
ビッグファイブの学説の主張。
◎「Openness(開放性)」
(高い人)
新しいものやアイデアを
生み出すことを好む、
想像力豊かで革新的なタイプ。
(低い人)
物事を決められた通りに
進めることを好む、
保守的で慎重なタイプ。
(分析)
この因子が高い人は、
知的好奇心が高く、想像力が豊かで、
芸術的な関心が高いとされています。
◎「Conscientiousness(誠実性)」
(高い人)
責任感の強さから、目的のために
自身をコントロールすることができ、
達成力も高い、こだわりの強い人や
完璧主義が多いタイプ。
(低い人)
計画性というよりは、感情的で
直感的に行動する、気の向いたものは
迅速に行動できるタイプ。
(分析)
この因子が高いと、
真面目で良心があり、達成力がある
とされています。
完璧主義者もこの因子が高くなる
と言われています。
◎「Extraversion(外向性)」
(高い人)
大人数との関わり合いを好み、
押しが強く、リスクやスリルを
好むタイプ。
(低い人)
比較的に一人の時間を好み、
思慮深く、考えて行動するタイプ。
(分析)
この因子の強弱によって、
他者との関わりを好むタイプか、
一人の時間や内省に時間を使う
タイプかが分かれます。
◎「Agreeableness(協調性)」
(高い人)
協力的で他人に親切、
争いや対立を避けるタイプ。
(低い人)
周囲の人に全く関心がない、
他人の気持ちを理解できるが
重要だと感じないタイプ。
(分析)
この因子が高いと、
思いやりがあり、貢献することを好み、
対立を避ける傾向が高くなります。
◎「Neuroticism(神経症的傾向)」
(高い人)
緊張や不安、ストレスの多い環境や
状況に身を置くと、精神や身体の
健康にも影響が出るタイプ。
(低い人)
感情が安定していて、悩むことや
ストレスを感じることが少ないタイプ。
(分析)
この因子が高いと、緊張やストレスの
多い状況で、精神的・身体的に
影響を受けやすいタイプとされています。
それぞれの因子の高低に、
良し悪しはなく、
性格を客観的に捉えることが
できる手段として
「ビッグ・ファイブ」は、
自己理解・他者理解に有効です。
自分を知ることによって、
適した職種や環境を
探しやすくなると思います。
他の文化を理解するためには、
自己の文化を知らなければ
なりませんし、
自分という「軸」がしっかり
していなければ、他の文化を
無秩序に受け入れることにも
なりかねません。
自己の文化の持つ良い点を
相手に分かりやすく伝えるためにも、
自己の文化についての理解を
深めることは必要で、こうした中で、
他の文化に対する寛容や尊敬の
気持ちが育まれるのでは
ないかと考えています。
この5因子は文化を超えて
抽出されるそうで、
ビッグ・ファイブ理論は、
今のところ「特性論」の
最先端の因子といえそうです。
あなたをいつでも応援しています!
ありがとうございます。