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自分が自分自身のリーダーシップをとっていく、時代が自分に合ってくる


「探究心」と似た言葉に
「探求心」があります。
探「求」心は、何かの実現や
何かを手に入れることを
ひたすら追い求める性質であり、
子どもの時から自然と持ち合わせて
いるものかもしれない。


人間が
生きていくための原動力であり、
目指すゴールがありません。
研究するというよりは、
好奇心を持って物事を追いかける
イメージでしょうか。


一方、探究心は、
わからないことを追い求め、
その本質をつきとめようとする性質、
つまり、探「究」心は、
未知の物事や自分が疑問に思う
物事について学んだり、調べたりして、
深く掘り下げていこうとする
性質を表しているといえ、
ただ、追い求めるだけでなく、
当事者にとってたどり着きたい
ゴール(本質、結果)があります。


「探究心」は「探求心」から生まれ、
「探求心」が
先天的に備わっているのに対し、
「探究心」は後天的に鍛えるもの
ということのようです。


研究に限らず、実践には、
この「探究心」が非常に重要で
あるように思います。


文部科学省では、
2040年を見据えた大学院教育
のあるべき姿として、
2040年頃の社会変化に対応するため、
「知のプロフェッショナル」が
諸外国と遜色ない水準で
活躍することを必要としています。


知のプロフェッショナルには
研究者に限らず、
「知を活用する人」、
「知をもとに多くの人をつなぐ人」、
「社会課題に知をもって対処する人」
など、様々な姿があると思います。
知との関わり方にもいろんな形が
あってよいのだと思います。


ただ、万物流転する世の中で、
時代を継いで組織や仕事、活動を
永続させるには、何が必要なのか、
何が欠如して滅びていくのか、


自分にとって
意味のあることを見つけ、
それを実現するためには
どうすればいいのか、
自分の時間、
自分の人生をどう使うのか、
「自分はこれで行くと決めたら
それで行く」
と覚悟を決め、行動を起こし、
そしてそれを待たねばならない、


目先の利益の誘惑にとらわれず、
不確実ではあるけれど、
価値のある将来の目標に向かって
努力を続ける「長期の思考」は、
短期の結果をものともしない、
強い意志の力が求められます。


白か黒か、どちらか両極が
答えであるならば、簡単な話に
なりますが、人生における問題で
割り切れる問いなどほとんど
ありません。
居心地が悪いので、早く結論を
出してスッキリしたい、
みんなスッキリしたいので、
マスメディアを含め、どちらか
極論に偏る場合が多いです。


重要な決断をするときも、
過去に経験した出来事の記憶が
現在の決断を惑わせることがあり、
衝動や欲求、目先の利益に
影響を受けてしまいがち、


ではなぜ、
長期的な視点(プロセス)が大事なのか、
人間を理性的な思考にさせるからです。
短期的なことばかりを考えていると、
人は得てして感情的、悲観的になったり、
時に尊大になって自分の力を
過信してしまったり、
ついついバランスを欠く見方に
陥ってしまいます。


私たちは、
今を考える「短期思考」と、
将来世代を視野に入れる
「長期思考」をうまく使って
繁栄してきました。


しかし、
私たちの関心は「今、ここ」に集中し、
少し未来のことですら考える余裕がなく、
短期的に業績を上げることを求められ、
前のめりになった結果、
その先への想像力を失っている、
極端な短期思考といわざるを
得ない現実があります。


未来に何が起こるのか、
知ることはできません。
誰もがそのことを理解しています。
でも「未来は不確実である」と
いう事実をどう取り扱うかは、
国の文化によって異なります。


文化を比べるときに、
”指標(数字)”を使うと便利です。
オランダの社会心理学者
「ヘールト・ホフステード」博士は、
1960年代の後半から「文化」という
曖昧な対象を研究しモデル化した、
文化と経営の研究領域における
世界的なパイオニアです。


そのホフステード博士が提唱した
「ホフステードの文化の6次元モデル」
とは、博士が50年間調査を続け
導き出した異文化理解の指標
「6次元モデル」です。


1965年よりIBMの組織開発のため、
11万6千人のIBM社員を対象に
72か国20言語で意識調査を行い、
国別の特徴を指標化しました。
その結果、意識・行動の違いは、
職種・性別・年齢等よりも、
文化の違いによって生まれることが
判明しました。


この調査結果を原点として、
その後50年をかけて
より精密な調査を進め、

1「権力格差」(上下関係の強さ)
2「個人主義/集団主義」
3「男性性/女性性」(男らしさ)
4「不確実性の回避度」
5「長期志向/短期志向」
6「人生の楽しみ方」(快楽的か抑圧的か)

の6つの指標において
各国を位置づけたものが
”6次元モデル”です。


ホフステードの6次元モデルによる
日本人の文化特性の主な特徴は、

1 .権力格差は平均より強い
2.世界で男性性の傾向が最も強い国の一つ

3.不確実性の回避度が高い 
→  Made In Japanの品質の高さや
     信頼の厚さに繋がっている

4.長期志向の文化 
→ 短期的利益よりも研究開発への
  投資や自然災害への対応を重視

この6次元モデルと数値は、
単に、その国の文化傾向を統計的に
他国との比較で示しているだけで、
それが「正しいか間違っているか」を
表しているわけでは決してありませんが、


長期志向の国は、
未来を見据えた長いスパンで
物事を捉え、目的を目指して
粘り強く進むことができ、
短期志向の国は、
結果が早く出ることを求める
傾向にあるそうです。


長期未来志向を表すLTO指標では、
数値が高いほど長期未来志向が強く、
数値が低いほど長期未来志向が弱く
(短期未来志向が強く)なります。


香港61、インド51、 マレーシア41、
フィリピン27、 シンガポール72、
韓国100、台湾93、タイ32、中国 87、
アメリカ26、イギリス51、ドイツ83、
ロシア 81、オーストラリア 21、
モロッコ14、イラン14、
ナイジェリア13、ガーナ 4、
フランス63、エジプト7など


日本のLTO指標は「88」で、
かなり高い方に入り、
世界では3番目に
長期未来志向な文化です。


ただ、LTOのスコアが高い、
つまり、長期志向の方が
いいかというと必ずしも
そうではなく、
変革を実行するスピード、
必要であれば長期的プランを
ドラスティックに変更できる
変わり身の早さなど、
先入観で物事を見ないことが
重要になります。


今日は昨日と同じ状況が
続いている、という
前提を持たずに、
常に初見であるかのように
物事を見ることができる人は、
小さな差異にも気づくことができ、
それに対応していくことが
できると思うのです。


これからの時代は、
変化のスピードがどんどん
速くなり、
これまでは選択しなくても
「なんとかなった」と言えば、
幸いにも、選択しないでいても、
多くの人は困ったことには
ならなかったと思います。


今後、変化のスピードが
ますます激しくなるという、
誰もが直面する深刻な問題が
存在します。
誰かに選択してもらおうと
思っても、間に合わない、


それぞれ自分自身の頭で考えて
判断したほうが、結果として
いい選択ができるもの、
「こうしよう」と考えて
決めたことを実行していくことで
選択の精度は上がっていくと
思います。


できるだけ速く選択できるように
自分自身を導いていかなければ
なりませんし、
それが、これからの時代を生きる
一人一人に共通することであり、
求められていることではないかと
思っています。


とはいえ、
私たちもひとりの人間です。
自らの経験則に頼りすぎて、
直感的に理解・判断・行動
してしまうことがしばしば
あることも認識しておかなければ
なりません。


時間がない中で何か選択を
求められたとき、
「直感」で答えるということが
あるかもしれない、
その場合であっても、
何の土台もなくして選択することは
できないでしょう。


知性が浅いと、安易な極論に
逃げたくなりますが、
そこに正解はありません。
「知性」の本質は「知恵」、
知恵は経験からしか身につける
ことができません。


早とちりや事実誤認といった
「思考のエラー」は、
誰にでも起こりうること、
だからこそ、
情報をいかに正しく認識し、
答えを出せるか、
新たな環境の変化に対して、
最も適切な対応ができるか
どうか、
ときに自分の考えや行動を
変えることも求められます。


平素から長期的な視野を失わない
習慣を身につけてこそ、
心のバランスが取れ、
いざという時に正しい判断が
できるようになると思うのです。


本当に知性のある人は、
中庸のどこが正解かを忍耐強く
考え続けているようです。


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