私の好きな写真家
好きな写真をスクラップブックに
私が写真を始めた大学生時代、カメラ雑誌を毎月買っては、気に入った写真を切り抜いてスクラップブックに貼り付けていた。そうして自分の理想とする写真のイメージを固めて行ったように思う。
好きな写真家1 木原和人さん
好きな写真家の1人目は、上の切り抜きにもある自然写真家、木原和人さんだ。存在を知ったのは大学時代。
風景写真なのだが、視点が他の写真家とは違い、風景を「自分の感じたイメージ」として捉えて表現しているように感じる。いわゆる「心象風景」と言うのだろうか?
具体的に物がどうなっているとかではなく、色と形が織り成す「絵」として捉えているように感じる。言わば、自の中に見付けた「デザイン」だ。
いわゆる風景写真ともネイチャーフォトとも一線を画していて、その感性が大好きだったが、若くして急逝されてしまったのがとても残念だった。
写真集は1984年発売の以下の1冊、もう1冊「光のパレット」の2冊しか恐らく残されていない。
接写のガイドブックは何冊か書かれています。
ランドクルーザーで野山を駆け巡り被写体を探し、その車の屋根に乗って撮影する姿に憧れたものだった。
好きな写真家2 長倉洋海さん
長倉さんと出会ったのは、オリバー・ストーン監督の映画「サルバドル」を見て何年か経った頃だ。
どうして出会ったか記憶がはっきりしないが、恐らく同じタイトルの写真集「サルバドル」に引き寄せられたのだと思う。
この写真集で、長倉さんの子どもに対する視線の優しさに私と共通するものを感じた。
その後、たまたま地元のレストランで時々開催された、オリジナルプリントの展示即売会に何度か行って、2枚の写真を買った。
その売り上げを次の渡航費用にするとのことだった。
その後の写真集にはあまり惹かれなかった。
最近では子どもの写真集や子ども向けの本ばかりを出されているようで、やはり子どもを大好きなんだなと分かった。
好きな写真家3 植田正治さん
こちらは世界的に有名な写真家さんだ。
鳥取砂丘で撮った、芝居掛かった不思議な写真が有名だ。
カメラ好きの福山雅治さんが師と仰いでいるそうだ。
植田さんはリアリティーを求めるのではなく、何とも独特な世界観でシンプルな造形を作り出す。私の好きな画家、マグリットやダリを何となく思い出してしまう不思議な感じを持った写真だ。
決して感動する写真ではないが、なぜか心がくすぐられるような何とも言い難い魅力がある。
以前、私が勤めていたオリンパスの社報の表紙の写真を植田さんにお願いしていた時期があり、ある号の表紙写真のオリジナルプリントをプレゼントするという企画があり、当選して送ってもらったことをよく覚えている。それは何体かの白いマネキンが並んだ、実にシンプルな写真だった。
好きな写真家4 野村誠一さん
こちらはアイドルや女優さんのセクシー写真が専門のカメラマンだ。
私がこの手の写真集を買っていたのは30年近く前までなので、今は状況が変わっていると思うが、当時の状況を書くと、このジャンルには競争相手が山ほどいて、渡辺達夫さんも好きなカメラマンだったが、芸術性の観点で野村誠一さんが頭一つ抜けていると思う。
最近亡くなった篠山紀信さんは若者向け男性誌「GORO」に「激写」を連載していて、随分とお世話になったが、篠山紀信さんはどちらかと言うと色気よりも芸術寄りで、私には好みからすると少し物足りなかった。ただ、「激写」の写真は雑誌の性格に合わせて、色気に寄せていたようには思う。
野村誠一さんの写真集の中で一番好きなのがこれ。本田理沙さんを撮った「INVEST」。
本田理沙さんはアイドルとしては今一つだったが、モデルとしては抜群の魅力を発揮していた。
その理沙さんを上手に料理したのが野村誠一さんだ。
単に画面を切り取るだけでなく、色を付けて、独特の世界を作り出している。
撮る前に自分のイメージする世界を持っていて、そこに理沙さんの個性が絶妙にマッチして、この写真集ができたと思う。
セクシーであって芸術性も高い野村誠一さんは、アイドル・女優カメラマンの中で一番のお気に入りだ。
好きな写真家5 ハービー山口さん
私は人物写真が好きだ。
それも子どもや女性の物が特に好きだ。
子どもを撮る写真家は何人か知っているが、私の好きな写真を撮る人は中々いない。その中で、私の好きなタイプの写真を撮る数少ない写真家がハービー山口さんだ。
この方の写真はとにかく暖かい。
私が持っている写真集はこれ1冊で、ハービー山口さんについてはあまり知らず、これ以上書けないので、この写真集の中の写真を何枚か載せるだけで終わりにする。
私は20代から30代前半に掛けて、写真家に憧れていた。
それは、好きでもない仕事をせずに、好きな写真だけ撮っていたかったからだ。今にして思えば、別に写真を仕事にしたかった訳ではない。写真は趣味のままで、嫌いな仕事をしなくて済むのであればそれで良かった。だから他に好きな仕事で生活が成り立つのであれば、写真は趣味で良かった。
今は本の印税がほぼ唯一の収入源で、本を書いて食っているとは言えない状態だが、写真は趣味の位置付けで、楽しみながら上手くなって行けたらいいと思う。
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