【新説提唱】なぜ日本馬は凱旋門賞を勝てないのか(その1) Q.馬場が違うという事はどういう事ですか? A.馬場が違うという事です。【連載企画】


そもそもなんで日本の馬場は時計が出るの?

シンプルなようでかなり━━━“深い“疑問だと思う。凱旋門賞がなぜ時計が掛かるのか(今年は速かったけど)?そして馬場が違うとはどういうことなのか?を説明するためには、まずここから考察する必要がある。

簡単に言ってしまえば、僕は日本の芝は最も摩擦係数の高い馬場のうちの1つだからだと思ってます。
19年の皐月賞(サートゥルナーリア)の時に馬場を見学した事があって、その時に内側の芝がまあまあ剥げてたんだよね。
でその下の路盤がどうなってたかって言うと硬めの土になってて今振り返るとまあまあ滑るだろうなと思える。

つまり何が言いたいかってーと
馬場が良い=カーペットで
馬場が悪い=フローリングなんじゃないかって事
フローリングよりカーペットのが速く走れそうなのはわかるよね?

今の僕は馬場の高速化というのは芝の繊維による競走馬の蹄と路面の間の動摩擦力の向上によるものなんじゃないの?っていう仮定を立ててるんだ。
芝が剥げれば路面がフローリングになって摩擦係数が減って時計が出なくなる、結果として馬場が悪くなるのだと。
もっと言うとここ30年の日本競馬の高速化はオーバーシードによって馬場表面の繊維密度が増加したから、と説明できなくもないよね。

じゃあ欧州の洋芝ってどう遅いのよ?

欧州の芝も基本的にはカーペットだろうと思ってて実際速いときはめっちゃ速い。今年の凱旋門賞はエースインパクトが公称値上がり33.06秒でブチ抜いてしまっているし、日本馬スルーセブンシーズが上がり33.30秒で走れているのも相まってこれはもはや日本のレースと遜色ないよね。

僕は欧州芝が速いのなんて5年前からわかってたけど、問題は雨が降ったときだ。
別に雨が降ったからと言って芝が剥げる訳じゃないけど、その下の土の層に問題があるというのが僕の見解だな。

欧州の洋芝は日本の野芝と違って匍匐茎を持たない(はず)。それと元々湿原ベースなのも相まって粘土質で排水性の劣悪なの土の層が日本の路盤より緩みやすいんじゃないかって思うんだ。
20年の凱旋門賞の際に騎手が口を揃えて馬場がグチャクチャになっていたと言ってたよね。蹄が芝の表面を捉えても、その下のドロドロのグチャグチャになった土の層で滑ってしまうというのは十分考えられる。

つまり欧州の重馬場ってカーペットの下の部分が滑ってしまっている、そういう事なんじゃないかってのがここまでのまとめだね。

ちなみに日本の重馬場も程度の差はあれど似たような事が起こってると考えられる。あるいは単純に芝の表面が濡れて摩擦係数が落ちているのも考えられるね。

ちなみに、札幌や函館の芝は地下匍匐茎を持つブルーグラスも植えられていて、最初から排水設備を持たされているのも相まって欧州の競馬場よりは低速化しにくいよね。それでも雨が降ったら主要4場よりは遅くなるけどね。


結局、日本馬と欧州馬の違いって何なのさ?

空転とブレーキロックは危険が危ない!

さて、いきなり鉄道と自動車の専門用語を持ち出してきて何が言いたいんだい?と思われる人もいるでしょう!

鉄道の空転と自動車のブレーキロックは似たような現象で、どちらも車輪と路面との摩擦力をブレーキ(モーター)と車輪との摩擦力が上回って失効させる事によって起きる現象だね。鉄道のそれは雨の日の加減速でよく見られるし、自動車のそれは雪道でのブレーキングで最も注意する必要がある。
これらの何が問題かってーと、車輪と路面の間でエネルギーの伝達がうまくいかなくなって電車がなかなか加速しなかったりブレーキが効かなかったり、自動車がスリップ状態になってハンドル操作やブレーキが効かなくなってしまうんだ!
ま、今の時代はどちらも電子制御で対策されてるからパンピーがあんま気にする事でもないけどね!


衝撃の新説提唱! 日本馬は空転していた!!!

で、ここまで長々と雑談して何が言いたいかってーと重馬場を走行する競走馬にも同じような現象が起きてるんじゃないかってこと!
新説キター♪───O(≧∇≦)O────♪

難しく言うと競走馬の蹄と路面の間の摩擦係数が下がりすぎた場合にスリップが発生、エネルギーの伝達が阻害され競走馬のエネルギーである体力を推進力に変換しにくくなったり変換効率が落ちる結果を引き起こしてると考えている。
欧州では「不正接地」なる言葉を聞いた事があったような……キノセイ?

競馬界秋の風物詩となっている毎年のように凱旋門賞の直線でズルズル後退していく日本馬ってーのはだね、スリップする際に発生するエネルギーのロスが、日本馬と欧州馬では差があるからなんじゃないかな?というのが僕の仮説。
つまりね、日本馬のがスリップ時のエネルギーのロスが大きいぶん欧州馬より早く疲れてしまっているんじゃないかって話だと言えばわかりやすいかな?


新要素登場! その名は「走行効率」

じゃあそのエネルギーのロスの差ってどこでつくのかっていう部分、みんな気になるよね!もちろん僕の考察、用意しております!
ヤッター!٩( ᐛ )وウレシイ!

さっき話した空転とブレーキロックにはもちろん対策があって、それはマスコン(加速)やブレーキ(減速)操作を緩めるって事。
あれらの現象は、とどのつまり加減速の度合いが大きすぎて車輪と路面の摩擦力をキャパオーバーしてしまう事で発生するので、それを一度解除してあげる必要がある。空転防止装置やアンチブレーキロックシステムもこういう操作を電子制御で行うものだ。

つまりだよ?エネルギーロスの少ない馬は踏み込む時のパワーが最小限で、蹄と路面との接地圧が低くて、つまり大きな摩擦力を必要としないでしなやかに推進力を生み出せる馬なんじゃないかって考えに僕は至った。

この考察をしたのってここ1ヶ月くらいの話で、そのとき僕はこの能力に対して「走行効率」と名づける事にした。


ロンシャンは坂とかクッション値とかも違うっていうじゃん?

これに関しては現時点では影響はあんまり無いと考えてる。
ぶっちゃけ「走行効率仮説」では坂の影響を考慮できないんだ。強いていうなら上り坂は蹄と路面との摩擦力が増えるだろうから走行効率の影響がより出やすいのかな、とかならば馬体重は軽いほうがいいかな、とかその程度の事しか言えない。
坂での有利不利に関する仮説が全く組めてないというか構想すら全然練れてないから、坂の影響は無視していいよ、日本馬と欧州馬で差が出ないです!ってのが2023/10現在の僕の結論です。
そもそも、普段から坂路ばっかり追ってる日本馬が上り坂苦手とか冷静に考えて意味わからんし。

クッション値はJRAの馬場データ追ってる人なら馬場の速さに影響しないのわかるでしょ?
これはたぶん故障率とかに影響する数値で競走馬の単純なパフォーマンスへの影響度合いは無理できる程度だと思うね。
ちなみにこれは死体蹴りになっちゃうけど、今は亡き札幌ドームのグラウンドはコンクリートにペラペラの人工芝マットを敷いているだけなせいで、他の球場より路盤が硬く選手が故障しやすいと言われていたよね。


したらばダート馬ってどうなのよ?

むかしむかしあるところにクリンチャーって馬がいてだね……

結論から申すと論外かな〜と思っております。
そもそもダート馬の凱旋門賞挑戦自体があんまりないから何とも言えない部分はあるけど、凱旋門賞後にダート転向した例はあるっちゃある。
それが去年まで走ってたクリンチャー(18’京都記念、20’みやこS、21’佐賀記念、21’・22’名古屋大賞典)で芝のGIIを1勝とダートの交流GⅢを4勝。GⅠ実績では17年菊花賞2着と18年の春天3着と21年の帝王賞3着から同年の東京大賞典2着で芝ダート両方とも結構つよい。
芝を走ってた頃に18年の凱旋門賞に挑戦してフォワ賞6着、凱旋門賞本番は17着。みんなクリンチャーがフランス行ったの頭のメモリーから消去してたでしょ!

クリンチャーがダート馬として最強格には及ばなかったとはいえ、このレベルのダート馬が行ってあのざまだったっていうのも、あんまり良くないと言えるよね。


ダートでの推進力と「駆動力」

実は僕の考えではダート馬が芝の道悪に合わない理由ってのがちゃんとあって、それが「駆動力仮説」。
これは日本のダートで推進力を生み出すためには駆動力が必要だよ!って考え方ね。

その駆動力ってーのは、高い接地圧を掛けた強い踏み込みで路面の砂を深くまで掻き分けるパワーで、日本のダートでは路面深くまで脚を差し込まないと砂の上層部分で脚が滑って空回りしてしまって効率良く推進力を生み出せないんじゃないか、僕はそう考えてるんだよね。

日本のダートは単純な路面の摩擦係数がどうとかって話でもなくって、どんくらい路面に脚を深く沈み込めるかの勝負だよ、っていうのが僕の「駆動力仮説」の概要だね。
日本ダートはシンプルに摩擦係数が出ないのと、純粋な前方向への推進力とは別のベクトルにエネルギーを使ってしまっているから芝よりも時計が掛かってしまうのだ、という説明もできる。


欧州馬のパワーはみんなが想像してる「パワー」じゃないよ!

つまりだよ?ダートで効率良く推進力を生み出すための高い接地圧での強い踏み込みと、欧州の道悪で推進力を生み出すための低い接地圧でのしなやかな踏み込みは全くの別物どころか、真逆の能力と言ってもいいんじゃないかなと僕は提唱したい。

ダート馬のパワーと欧州馬のパワーって呼ばれてる概念を混同してしまっている人がああいう意見を持ってるんだろうけど、僕は「欧州馬のパワー」なんて言い回しをしてしまっているから頭がこんがらがってるんだと思うよ。
僕は日本馬に足りないものは「欧州馬のパワー」ではなく「欧州馬の走行効率」であると強く主張したい。
ダート的価値観での欧州馬ってむしろものすごく非力なんだよ、きっとね。

ちなみに、「駆動力仮説」については実は1年以上前から温めてたんだけど発表する場所がなかったんだよね。


次回予告

その2では「走行効率仮説」と「駆動力仮説」をベースにして、なぜ日本馬に走行効率が足りないのかについて掘り下げていきたいね。
今回は連載第一回という事もあってちょっと気合いが入りすぎて4000文字以上の大作になってしまったけど、流石にしんどかったので次回以降はもうちょっとライトになっていくと思います!
ここまでは一息にやっておきたかったからね!
それにしても、僕が昔見てたnoteの人って毎日のようにこんな分量の記事書いてんのかよ……

オウエンヨロシク-( ^_^)/~~~


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