電車
電車には多種多様な人が乗っている。それぞれの目的のため皆、移動手段として、はてまた趣味として利用している。
利用している人が多いということは、それだけ色んな人の癖や絶え間ない会話などを見たり聞いたりすることも多く、人間を知るには身近にある場所の1つと言ってもいい。
またそれは同時に自分も見られているという事を少なからず意識し、立ち振る舞いや姿勢などを意識する、社交的な場でもある。
今日は遅めの出社。
朝の満員電車に比べて空席も多く、比較的空いている。
空いているということは一人一人の仕草や会話が満員電車に比べて分かりやすい状態であるということだ。
そんな中、電車で若い夫婦が小綺麗な格好で乗車していた。
旦那さんはスーツでつり革を握って立っている。
奥さんは綺麗なワンピースで旦那さんを見上げるように椅子に座っていた。
(空席なので隣の席が空いているにも拘らず立っているのか?とも思ったが)
これから友人の結婚式なのか、楽しそうに会話している。
特に傍からみて旦那さんは奥様のことがとっても好きなのだろう。
しっかり目を見て、リアクションをし楽しそうに、それでいて好きすぎるオーラを全開に会話していたからだ。
駅につき、奥さんに手を差し伸べ立ち上がらせる。なんと紳士。
更に電車降りるときには腰に手をあて、扉の前に奥さんを少し前に、自身を少し後ろにしエスコートする。
その一挙手一投足がこんな堂々と紳士を発揮することを見かけることもない、まさに私からみても旦那さんは紳士で素敵だなぁと思ってたんだ
そんな素敵な夫婦像全開にに夫婦はエスカレーターに向かう。
私もそれについていく形となり、前方から旦那さん、奥さん、私の順で並んだ。
これからさぞ楽しい1日にするんだろうなぁ、などと私は勝手に想像していた。
しかし私の目には前方をみて違和感があることを察知していた。
何かがおかしい、いや?でも、そんなはず…
私の視界に映った違和感、それは
奥さん背中のジップ全開でインナー…見えてますがな!!!!!!
奥さん背中のワンピース、全開です。
忘れてたのかな?ジップ上げ忘れてます。
そしてここまで華麗なエスコートした旦那よ、そこまでして何故気づかないんだ!!!!!!!!!!!!!!!!
(これは奥さんが後々気づいたら恥ずかしい思いをするやつだ、これは私が言ったほうがいい、でも言ったら変な目で見られる、危うく通報される、それはダメだ!)
そんな脳内会議をしていたらエスカレーターを降り、気づけば夫婦を離れてしまった。
言っとけばよかったかな、あぁどうなんだろ、何が正解だったか。
せめて旦那さん、気づいてくれ。
そんな脳内の後悔の念を思いながら私は会社へと通勤するのであった。
通勤時間に遭遇した電車での少し勿体ないと思った話。