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温泉は金になる。塩原温泉。栃木県那須塩原市。グーグルマップをゆく #66
グーグルマップ上を適当にタップし、ピンが立った町を空想歴史散策する、グーグルマップをゆく。今回は栃木県那須塩原市。
那須塩原市の南西部にあった離室城は、下総の千葉氏を出自とされる君島信濃守によって1380年に築かれた城である。君島氏は下野国(現在の栃木県)に勢力を誇る宇都宮氏の家臣で、塩原の地頭であった。
14世紀の終わり頃、宇都宮氏が勢力を伸ばして塩原にも進出しようとした。塩原に進出しようとした目的は塩原温泉である。それを察知した君島信濃守は離室城を築城してそれを阻止しようとした。
当時、大量の水を火にかけて湯を沸かすというのが難しかったため、今のように湯船に体をつける習慣はなく、風呂といえば蒸し風呂が一般的なものであった。自然と大量の湯を発生する温泉は、治療を目的として利用され、これを「湯治」といった。特に塩原温泉は平安期の頃より体に良いと有名であった。
当時の温泉は希少価値があり、温泉とその周辺の宿などを押さえることで税を取ることができた。勢力を拡大する宇都宮氏としては資金源として、どうしても欲しかったわけである。
君島信濃守としても唯一とも言える資金源を手放すわけにはいかない。そのために城を築いて見張っておく必要があったのである。現在でも温泉を掘り当てれば儲かると言うが、今も昔も変わらないと言える。
そんな宇都宮氏もその後は衰退の一途をたどり、君島氏も橘伊勢守によって滅ぼされるのである。 温泉は今でも人々に愛されている。もちろん、税金は徴収されている。