連載小説 奪われし者の強き刃 第2章5話 「稽古開始 悠vsソフィア」
悠とソフィアの組手が開始され、見学していた第3,4師団員は食い入るように見ていた。
第3団員:
「すごい、あれが師団最強の団長の力。」
第4団員:
「あのソフィア団長が攻めあぐねている。」
悠とソフィアの組手は悠の優勢で進んでいた。悠は2本の小太刀を使ってソフィアの動きを次々に制していた。ソフィアは次々と武器を生成、罠の設置など悠の動きに制限をつけようとしていた。
大統領:
「おう、ちょうどいいところで来たな。」
団員:
「ルーカス大統領!どうしてここに。」
大統領:
「あぁ、そんなにかしこまるな。悠坊に大臣のことを話しに来ただけだ。まぁでも、訓練しているなら邪魔するわけにはいかないな。終わるまで俺も見学させてもらうよ。」
組手では悠がソフィアが張った罠を搔い潜り、懐に入った。誰もが終わったと思った時
ソフィア:
「まだまだ!」
ソフィアが合図をすると、悠の足元にあった最後の罠が発動した。
大統領:
「成程な。考えたなソフィア。」
第4団員:
「どういうことですか?大統領。」
大統領:
「ソフィアは罠をうまく使って悠坊をあそこまで誘導したのさ。一見バラバラに配置して苦しまぎれに張ったように見せて実はあの一手のために誘導していたのさ。だがな。」
第3団員:
「?」
ソフィアの最後の罠が悠にクリーンヒットしそうになった瞬間、悠は小太刀の片方を頭上に投げた。小太刀を頭上に投げた瞬間悠はまるで煙のように消えた。
ソフィア:
「!」
第3団員:
「第1の師団長が消えた!」
急に悠が消え、みんなが困惑していると
悠:
『小太刀二刀流』
ソフィアが声を頼りに上を向くとそこにはすでに攻撃モーションに入った悠がいた。
ソフィア:
「防御が間に合わない!」
悠:
『清姫』
悠の小太刀がソフィアの首元に寸前で止められ、悠の勝利の終わった。
ソフィア:
「いやーやっぱり強いね悠は。また負けちゃった。」
悠:
「ソフィアも最後の一手がワンテンポでも遅れていたら俺が負けてたよ。」
スターク:
「そうだぞ、悠をあそこまで追い詰めたんだ。大したものだよ。」
ソフィアが照れくさそうにしていた時にルーカス大統領が訓練場に入っていった。
大統領:
「いやーなかなかいいもの見せてもらったよ。」
ソフィア;
「師匠!」
悠:
「大統領、来てたんですか?」
大統領:
「まぁな、大臣のことでな。その前にソフィア、最後なんで悠坊がお前の罠を抜けれたと思う?」
ソフィアは少し考えて
ソフィア:
「わからないです。一瞬ことで何が何だか。」
大統領:
「それはな、悠坊が持ってる武器が関係してるんだ。」
悠:
「さっき俺が使った『姫』はある一定の距離を離れることができないんだ。一定距離を離れるともう片方に引き付けられるんだ。この小太刀は二刀一対だからね。」
ソフィア:
「成程。だから上に投げたのね。」
悠:
「そういうこと。それより大統領、大臣についてお話があるのですよね。」
ルーカス大統領は思い出したかのように
大統領:
「あっそうそう、大臣だが懲戒処分にした。厳しいかもしれないが流石に悠に対する侮辱と市民を煽ったことが決め手だな。会議での態度も悪かったようだしな。」
悠:
「そうですか。わかりました。」
大統領:
「それと、お前らいつ帰るんだ?」
悠:
「明日にでも帰ろうかと、いつまでも任せっきりも悪いですし。」
大統領:
「そうか、じゃあ総司令殿に1週間後に謝罪に向かいますって伝えといてくれ。」
悠:
「わかりました。必ずお伝えします。」
ソフィア:
「悠、また稽古して!お願い。」
スターク:
「その前に俺だ。お前は一旦休んでろ。だいぶ生成して疲れているだろ。」
ソフィアは少しいじけ気味に下がった。
大統領:
「ソフィアはまだまだ子供だな。負けず嫌いなことはいいことだがな。」
スターク:
「まぁ、悠に続いて若い師団長ですからな。経験ももっと積んだらいいとこまで行けるようになりますよ。」
スターク:
「悠、行けるなら言ってくれ。一応、連戦だからな。」
悠:
「いつでも大丈夫だよ。団員達もこの稽古見ていい刺激になって訓練に励んでくれるといいんだけどな。」
大統領:
「それは大丈夫だろ、さっきソフィアとの戦いは食い入るように見てたぞ。」
悠:
「ならよかったです。さてと、スタークそろそろ始めようか。ソフィアが我慢できなくなる前にな。」
スターク:
「だな、大統領開始の合図お願いできますか?」
大統領:
「あぁ、任せろ。」
悠:
「行くよ。『夜行』」
そして悠は腰に携えていた日本刀を抜いた。」。
大統領:「双方、準備はいいか。」
悠:「はい。」
スターク:「いつでも。」
大統領:「それでは始め!」