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連載小説 奪われし者の強き刃     第3章3話 「調査開始 背きたくなる真実」

元陸王領地へ調査に行った悠たち一行。3時間ほど船に揺られていると、陸地が見えてきた。

 大和:
 「師団長、あれが多分陸王の領地っすよ。ようやくつきましたね。」

 悠:
 「あぁ、みんな大丈夫か?もう着くからな。」

 愛奈:
 「はい・・・、大丈夫です。」

愛奈をはじめ団員数名が船酔いしており、船の上でぐったりしていた。そうこうしているうちに大陸に到着した。船を海岸に止め、悠たちは大陸に上陸した。

 悠:
 「よしついたな。少し休憩してから調査を始めようか。」

 愛奈:
 「そうしましょう。まだ少し酔いが。」

上陸してから30分ほど休憩をはさみ、悠たちは調査を始めた。

 悠:
 「始めようか。愛奈、機械類に調子はどう?」

 愛奈:
 「観測器も連絡ツールの今のところ問題ありません。正常に動いています。」

 悠:
 「よし、今離れるのは得策ではないからまとまって調査するぞ。愛奈は生物反応があったら教えて。」

 愛奈:
 「かしこまりました。」

調査を開始した一行はしばらく荒野を歩き続けた。荒野には建物はおろか草木が全くなく整備された一本の道路があるだけであった。

 大和:
 「なんにもないっすね。それになんか空気が重いような気がします。」

 悠:
 「だな、霧が晴れたばかりだからかもな。それでも、魔物おろか動物もいないなんてな。霧が晴れても残ってるのもだと思ってた。」

しばらく歩いていると、小さな町が見えてきた。悠たちは町に立ち寄ったがそこでも人一人もおらずゴーストタウンになっていた。なにかわかるかもしれないと悠たちは手分けして町を調べることにした。

 悠:
 「1時間後にここに集合で。なにか発見があったら随時報告ってことで頼む。もし、連絡ツールがつかえなくなっら戻ってから報告ってことで。」
 
 団員:
 「はい。」

それから4手に分かれて調査を開始した。悠と愛奈は集合場所のすぐ近くにあったレストランへと入っていった。

 愛奈:
 「師団長なんでレストランに?」

 悠:
 「とりあえず、電気と水道の確認。数日はいる予定だしこの2つが通ってなかったらやばいからね。」

悠はお店の電気のスイッチを入れ、水道の蛇口をひねった。すると、店の電気はつき蛇口から水も出た。

 悠:
 「よかった。とりあえずは大丈夫だけど、愛奈水質を調べてくれ。その間、色々と調べてくる。」
 
 愛奈:
 「わかりました。」

愛奈が水質を調べている間、悠は店の中を調べて回った。調べているうちに悠はあることに気づいた。その時、大和の班から報告の連絡が入った。
 
 大和:
 「師団長、報告します。先ほど近くの市場に入ったんっすけど、どうやらここに暮らしていたのは人ではなくて魔物のようっす。」

 悠:
 「そうか。」

 大和:
 「ですが、魔物が人間と似たような生活を送るほどの知能があるとは思えないっす。物は使えても言語は理解できなのに。」

 悠:
 「大和、こっちも報告したいことがある。いったん集合場所に集まるように言ってくれないか。」

 大和:
 「了解っす。」

大和との通信を終え、悠は愛奈のもとに向かった。

 悠:
 「愛奈、水質はどうだった。」

 愛奈:
 「だめです。とても飲めた状態じゃありません。恐らく、下水道自体が停止しています。」

 悠:
 「そうか、いったんみんなに報告するために集合場所に戻るぞ。」

 愛奈:
 「わかりました。」

悠たちが集合場所に行くとすでに大和の隊が集合していた。

 悠:
 「悪い、待たせたな。」

 大和:
 「いえ、自分たちもさっき来たばっかっすから大丈夫っす。」

 悠:
 「それじゃあ、それぞれ報告しあおうか。大和から頼む。」

 大和:
 「はい、自分たちが 行ったのは市場のような場所っす。そこにも、人影どころか生物もいませんでした。ですが、その市場、普通の市場じゃなかっす。」

 愛奈:
 「どういうこと?」

 大和:
 「もちろん食材を売っているのは変わりないんすけど、どうやら人間も売っていたようっす。主に奴隷として。」

 愛奈:
 「なんですって。」

 大和:
 「少し詳しく説明するっす。」

数十分前、大和と隊員2名は西の方へ進んでいった。数分歩くと、市場が見えたがその市場は普通の市場とは明らかに違う点があった。

 隊員:
 「大和さんこの市場何か変じゃないですか?奥に行けば行くほど檻のようなものがいっぱいありますし、何やら競り場があります。港もないのに。」

 隊員:
 「そうだな、動物でも売ってたのか?って大和さん?どうかしました?」

大和は檻の中を見て驚愕した。隊員たちの予想が最悪の方向で外れていたことと檻の中の無残な光景に。

 大和:
 「いや、ここで売っていたのは動物なんかじゃない。人間だ。」

 隊員:
 「!どういうことですか。」

 大和:
 「檻の中を見てみろ。」

隊員2名が恐る恐る檻の中を覗くと、そこにはいくつもの白骨化した遺体と壁には血で書いたであろう『助けて』と『もうやめて』の文字がびっしり書かれていた。

 隊員:
 「・・・これは?」

 大和:
 「檻の上を見てみろ。」

 隊員:
 「?上ですか?」

隊員が上を見ると『遊技場』と彫られたタグが付いていた。

 隊員:
 「待ってください。『遊技場』ってまさか!」

 大和:
 「それ以上は口にするなすでに腸煮えくり返りそうなんだ。」

隊員からは大和の顔は見えなかったが、背中から怒りがひしひしと伝わってきた。

 隊員:
 「はい、とりあえず師団長に報告しましょう。」

 大和:
 「そうだな。」
 

 大和:
 「以上が詳しい報告っす。」

 悠:
 「そうか、ありがとう。他2班も報告してくれ。」

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