連載恋愛小説 色づくはずなかったのに最終話 「感情の名 色づいた人生」
放課後、俺は白金を連れてある喫茶店へといった。
睦月:「俺はコーヒー飲むけど、白金は?」
梓:「私はカフェオレで。」
注文を済ませ、商品が来るまで少し待った。
そして、商品が届き一息ついてから 本題に入った。
睦月:「悪いな今日は付き合ってもらって。」
梓:「ううん、大丈夫だよ。私こそごめんね。あんなことになって、睦月君
に迷惑かけて。怒ってるよね。」
睦月:「別に怒ってないよ。」
梓:「でも、ここ最近目も合わせてくれなかったし、ちょっと避けて
たし。」
睦月:「それはごめん。でも、あんなことされたら流石に意識せざるを得な
かったしこんな感情は初めてだったからどうしたらいいか
わからなくて。」
梓:「え?」
睦月:「いままでこんなに俺に絡んでくれるのは親父や会社の人以外じゃ
白金が初めてだし、こんな気持ちになったのが初めてだったから
これがどんな感情かわからなかった。」
睦月:「それから何日も考えたよ、これがどんな感情かを。今日はその答え
を伝えるために付いてきてもらったの。」
白金は何も言わずに真剣な面持ちでこちらを見ていた。
睦月:「俺は白金・・いや、梓のことが好きだよ。梓と一緒にいると心地
よかった。だから、俺の隣にいてほしい。こんなめんどくさい俺で
よかったら付き合ってくれませんか?」
顔から火が出るほど恥ずかしかった。それでも、この気持ちを伝えるのが最優先だと思った。
梓のほうを見ると、大粒の涙を流していた。
梓:「も、もちろんだよ。よかった、嫌われてなくて心配だったんだよ。
睦月君、これからもよろしくお願いします。」
俺は思わず梓を抱きしめた。
その後、俺は白金社長に交際の報告と挨拶をしに白金家に行った。
白金社長:「ようこそいらっしゃいませ、神無社長。」
睦月:「お邪魔します。こちらをどうぞ、つまらないものですが。」
白金社長:「これはどうもありがとうございます。こちらへどうぞ。」
そして、白金社長の自室へと案内された。
白金社長:「して、今日はどのような要件ですか?」
睦月:「はい私、娘さんの梓さんと交際を始めました。その報告にまいり
ました。」
白金社長:「!本当ですか。それはよかったです。」
白金社長はずいぶん喜んだ様子で俺の手を握った。
白金社長:「ある日を境に梓がいつも以上に元気になっていましたがそう
いうことでしたか。ですが、最初は断っていましたがなぜ
また?」
睦月:「私はあの日を境に娘さんから猛アプローチを受けました。今までの
私なら鬱陶しく感じたでしょう。ですが、娘さんをいるときはその
ように感じず心地よく感じました。そして、私隣は彼女がいいと
思い、私は梓さんが好きなのだと自覚しました。そういう感じです
かね。」
白金社長は優しいまなざしで俺の話を聞いてくれた。
成り行きで梓を助けて白金社長ともつながったが、助けてよかったと心の底から思った。
そして、社長と話し込んでいると梓が帰ってきた。
梓:「ただいまって睦月君。どうしているの?」
睦月:「交際の報告と挨拶。」
白金社長:「梓、いい男捕まえたな。絶対手放すなよ。」
梓:「当たり前よ。せっかく実った恋だもの。」
白金社長:「ところで婚約の件はどうしますか?あの時は付き合って
なかったから断られましたが今は交際してますし、私として
は大歓迎ですよ。」
睦月:「ありがとうございます。ですが、やはり婚約はお断りさせて
ください。」
睦月:「私はまだ梓さんのことあまりわかっていません。私自身のことも
知ってもらいたいです。ですので、私たちのスピードで歩んで
いきたいです。婚約はそれからでも遅くないと思いますし、私も
手放す気はありませんので。」
白金社長はにっこり笑い
白金社長:「わかりました。でしたら、私が口を出すのは無粋ですね。
梓・神無社長。いや、睦月君おめでとう。これからの2人で
頑張りなさい。」
睦月・梓「「はい。」」
その日の会社にて
佐々木:「社長、なにやら機嫌がいいですね。何かあったんですか?」
睦月:「え?わかる?」
佐々木:「えぇ、他の社員もみんな気になってましたよ。」
そんなに顔に出てたことに恥ずかしく感じた。
睦月:「実は彼女ができたんだ。」
佐々木:「おめでとうございます。お父様には報告したのですか?」
睦月:「したよ。えらい泣いてた。『あの睦月に彼女なんて、幸せに
しろよ。』って。」
佐々木:「容易に想像できます。それで彼女はどういう人なのですか?」
睦月:「同じ学校のクラスメイトだよ。あの白根グループの社長令嬢。」
佐々木:「そうなんですか?楽しいですか?」
睦月:「うん、とっても。」
それから何度かぶつかり合いながらも俺と梓は交際を続け、高校を卒業したのちも続いていた。
俺は会社の経営に集中するために大学へは行かなかった。梓は父の会社を継ぐため大学で経営学を一から学んでいる。たまに俺の家に来て勉強している。
そして、梓が大学を卒業して5年後に親の会社を継いで、各自順調に会社を成長させていった。
そして、1年後に俺たちは結婚した。
今では双子の女の子が生まれ、家族4人で暮らしている。
梓:「睦月君、行くよー。」
双子の娘:「「パパ―、行こう。」」
何事にも無難に生きてきて無色だったはずの俺の人生がたった1人の女の子との出会いでとても鮮やかに色ずいた。
睦月:「今行くよ。」