連載小説 奪われし者の強き刃 第3章12話 「峯風の一撃 中央南部の異変」
峯風と竜王らの戦いは峯風の優勢で進んでいたが、いまいち有効打が与えられず長期戦に突入した。すっかり日も暮れ、近くに街もなく月の光しか届かない山奥では暗闇に包まれていた。
峯風:
「さてどうするか。流石に体力も持たないし、これ以上の長期戦は不利だな。」
峯風は10キロ近くある大薙刀を数時間使用していた。ここまでの長時間戦ったことが今までなかったため、今はほとんどガス欠のような状態で戦っていた。
富單那:
「龍王殿。どうやらあやつはもうガス欠のようですな。」
竜王:
「あぁそのようだな。俺が奴をあぶりだすから出てきたところを仕留めろ。」
富單那:
「承知。」
竜王:
「おい!腰抜け!いつまでかくれんぼしてんだ。最初の勢いはどうした。」
竜王は辺り一帯の木々を尻尾で薙ぎ払っていった。
峯風:
「まずいな。このままじゃ見つかるし、なにより病原菌が町や村に広がってしまう。・・・しょうがない。」
峯風は竜王の前に姿を現した。
竜王:
「やっと現れたか。腰抜けが。・・・今だ!」
竜王の合図と同時に富單那は峯風の背後から近づき、拳を振り下ろした。峯風は富單那の攻撃を大薙刀で受け流し、竜王の方へ蹴り飛ばした。
富單那:
「すみません竜王殿。仕留めそこないました。」
竜王:
「まぁいい、どうせあいつはガス欠だ。時期にボロを出す。」
峯風は1度深呼吸し、気に飛び移りたかくジャンプした。
竜王:
「はっ、お前の力任せの攻撃なんて今更怖くないぜ。」
竜王は尻尾を体の前に出し、防御の体制をとった。富單那は防御後に攻撃をするため構えていた。
峯風:
『桜刃流双身術』
空中で構えた峯風を見た竜王らは防御の考えを一瞬にして変え、すぐさま回避の体制をとった。
峯風:
『石割桜(いしわりざくら)』
峯風の攻撃は最初の攻撃がかわいく思えるほど威力が桁違いに強く、攻撃が地面に当たった衝撃で辺りの木々が揺れていた。
『桜刃流双身術』は悠が『桜』を使用する際に用いられる剣術で並外れた洞察力と繊細な足運びが重要であり、10キロ近くある大薙刀を使う峯風には相性の悪い剣術でもある。
だが、この技だけは別である。『石割桜』は捌きや柳、連撃を主とする『桜刃流双身術』の技の中で唯一、一撃に力を籠める技だ。この技において峯風は悠より高い威力で放つことができる。
竜王:
「なんなのだあの人間は。バカ力にもほどがあるぞ。」
峯風:
「もう一発。」
再び攻撃しようと峯風が構えた時、1回琵琶の音が鳴り竜王らの背後に霧が発生した。
富單那:
「どうやら時間のようですね。撤退しますぞ龍王殿。」
竜王:
「あぁ、次は潰す。」
竜王らは捨て台詞を吐きながら 撤退していった。峯風は緊張の糸がほどけたのかその場に座り込んだ。
峯風:
「やっと終わった。危なかったもうちょっと続いてたら負けてたかもな。・・・おっと通信を繋がなきゃ。」
峯風はオペレーターに通信を繋いだ。
オペレーター:
「副師団長大丈夫ですか?」
峯風:
「あぁ大丈夫。今俺がいる位置から半径10キロ圏内を立ち入り禁止区域にして。敵の攻撃で病原菌が充満してるから。数日したら薄まると思うからそのタイミングで解毒作業に入って。俺はもう少しこのあたり調査しとくわ。」
オペレーター:
「わかりました。お気をつけて。」
峯風は通信を切り、一度深呼吸して体をクールダウンしていた。
峯風:
「はぁ~報告書大変だろうな。」
峯風と竜王らとの戦いから数日後。場所は変わって冥々のいる中央南部では不可解な出来事が起きていた。
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