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おかしな先輩。
…僕は山野〇〇 高校一年生
年齢=彼女いない歴な僕。
そんな僕に最近先輩が出来た。
それは一週間前のこと。
……推しのCDを買った帰りのこと。
〇〇:〜♪
(CDの入った袋を見る)
…袋を見つめながら歩く僕は…
つまづいてしまい転倒する……
〇〇:痛ッ……せ、セーフ
(体を犠牲にCDを守る)
…CDの無事に安堵すると…
??:おっ!〇〇じゃん!…って
何してんの?
![](https://assets.st-note.com/img/1730555762-qhejmptMwQyAC6Wdlg9iTZBx.png?width=1200)
…僕の前には学校一のイケメン女性
若月佑美さん…高校三年生。
なぜそんな人が僕のことを
知っているのかと言うと…
若月:今日の放課後に〇〇が図書室に
いなかったからなんだと思ったら
そういうことだったのね?
……図書委員の僕は毎週…
月曜日と金曜日に放課後図書室で
図書委員の仕事をしている…その僕に
何故か毎週話しかけてくるのが
若月先輩である。
〇〇:そのぉ…えっと。
若月:とりあえず立てよ(笑)
〇〇:で、ですね。
(立ち上がる)
若月:うわ…ひじ怪我してるよ?
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…転んだ時に出来たかすり傷……
〇〇:こ、このぐらいならd((
若月:ダメだ。放って置いたら
なんて迷信ないんだっ!とりあえず
ウチに来い。
〇〇:へぇ?!な、何言って…
若月:すぐそこだから着いて来い。
(そう言って歩き出す)
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〇〇:ち、ちょっと!
勝手すぎますって!
(文句を言いながらも着いて行く)
……若月宅にて。
若月:染みるぞ〜
(傷跡を消毒する)
ジワッ……
〇〇:っ"っ"……(顔を歪める)
若月:っし。終わり!
(絆創膏を貼り終える)
〇〇:あ、ありがとうございます…
若月:まぁ、〇〇は俺の一番気に入ってる
後輩だし?こんぐらい朝飯前だっ!
〇〇:あはは…ありがとうございます。
若月:ふっ。ワシャワシャ…
(〇〇の頭を雑に撫でる)
……それから若月先輩は…
若月:よっ。
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…休日や放課後に僕を呼び出して…
遊びに出かける…
…そんな日々を続け夏休み…
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若月:よしっ。行くか!
……この日は海へ。前日にお店で
若月先輩に選んでもらい買ってもらった水着を持って駅に集合し海に向かう。
若月:おぉ!気持ちいい!
バシャーン!
…海に向かって走り飛び込む僕…
〇〇:ぷはぁ!最っ高ぅ!!
…この日は珍しくはしゃいだ…
若月:ふふっ…
〇〇:あれ、どうかしました?
若月:いや、なんでもないよ?
俺も飛び込むかっ!!
バシャーン!
…僕に向かって飛び込んでくる……
ゴボゴボッ……
…二人して潜水し…
ジャパーンッ!!
……二人して水面に出る…
若月:はぁはぁ……
〇〇:ちょっと…(笑)
若月:ははっ!最っ高ぅ!!
〇〇:ふふっ……最っ高ぅ!!
…散々、海で遊び帰る……
〇〇:…コクッ…zZ
…若月先輩の方に頭を置き…
それに気づかずに寝てしまう……
若月:…ふふっ。
…俺はさ〇〇のことが好きだよ?
早く気づいてくれよな…。ヨシヨシ…
(〇〇の頭を優しく撫でる)
…季節は過ぎ…二学期…
ある日の放課後……
先生から頼まれたものを職員室へ…
運んでいる時のこと……
『俺と付き合わね?』
…その声は三年生の教室…
若月先輩の教室から聞こえてきた…
〇〇:っ……
…少し気になり覗く……
若月:あーえっと。
『いいじゃん、佑美の好きな人』
『一向に振り向いてくんねんだろ?』
若月:そ、それは……
『もう良くね?俺と付き合った方が』
『待ち続けるより幸せになるぜ?』
若月:っ……
『答えはハッキリしてんだろ?』
『俺と付き合おうぜ?』
若月:はぁ…わかった。
"付き合おっか"……
〇〇:っ……
…僕はその場から逃げた…
胸が苦しくて…息が出来ない……
涙が出そうで…油断したら溢れる…
知らない感情が僕の頭を覆った……
〇〇:はぁはぁ……なんだ。なんなんだ。
…そして、しばらく時間が流れ…
学校は文化祭へ向けて準備する……
〇〇:……っ。
澄んだ秋の空気が漂う帰り道…
見たくないものを見てしまう……
若月:ははっ!
『マジオモロくね?!』
〇〇:……スタスタッ
…僕は何も言わずに横を通り過ぎる…
若月:お!〇〇じゃん!
(〇〇に声をかける)
〇〇:あ、すみません…急いでるので。
…逃げるように会話を切り立ち去る…
『なんだアイツ、愛想無っ』
若月:っ………
『ん?どうかしたか?』
若月:ん?あ、あぁ…別に?
なんでもないよ?(苦笑)
……その日僕は夜…
部活、軽音部のみんなにメールを送る。
…軽音部でベースを弾く僕が…
グループL〇NEである事を頼み込んだ…
その事にみんな驚きながらも承諾。
…そして、時間は過ぎ…文化祭へ。
〇〇:ちゃんとするんだっ!
(自分の頬を叩く)
文化祭の最終日の閉会式にて。
うちの高校は…後夜祭がない高校で…
…閉会式が行われれば文化祭も終わり
だが、今年は違う。
校長:え〜、それでは。
文化祭の最後を締め括るに相応しい
演奏をしてもらいましょう!
軽音部の皆さんどうぞ!
…校長の合図で体育館上ステージ
幕が上がる……
〇〇:えぇっと…軽音部です。
最後に一曲僕のわがままにみなさん
付き合ってください…
『おぉ〜!!』
『うぇ〜い!!』
『はぁ…もう帰りてぇよ…』
…みんな、各々の気持ちを呟く…
〇〇:っ…
僕の一番好きな人へ向けて…歌います!
クリープ▒イプさんで
"おやすみ泣き声、さよなら歌姫"。
…〜♪
…僕が曲名を言い終わると…
すぐさまギターがイロントロを奏でる…
〇〇:さよなら、歌姫…
最後の曲だね……
…僕は若月先輩が告白されて
付き合ったあの日の夜に……
軽音部のみんなに…閉会式で
最後に歌いたいと言う節を伝えた。
〇〇:歌声…歌声…
でも、君は泣いていたんだね…
…みんなに"好きな人に向けて…"
"全力で歌いたい…協力して欲しい"
そう伝えるとみんな快く承諾してくれた
〇〇:泣き声…泣き声…
僕は気づけなかった……
…色々な先生に頭を下げ…
頼み込んだ…そこまでやるのは…
〇〇:今なら歌姫やり直せるかな…
君はいつも勝手だ…
…僕も好きだったって…
あの時…海の帰りに言えなかった…
あの帰り道の後悔を…晴らすため…
〇〇:歌声…歌声……
でも君は泣いていたんだね……
泣き声…泣き声……
僕は気づけなかった……
…ただの自己満足…そう言われれたら
何も言えない…そう受け止めるしかない
けど…伝えたかった…あの時の僕じゃ
伝えられなかったことを……
歌に乗せて伝えたかった……
〇〇:最後の4小節君の口が動く…
最後の4小節君が歌う……
最後の4小節君の気持ちが動く…
さよなら"っ"……!!
…最初は勝手な人だと思ってた…
けど次第に…この時間が好きになって
先輩のことが好きになっていった……
帰り道の言葉嬉しかったけど…
何故か、この心地いい関係が…
壊れる気がした…
始まった関係は必ず終わる…
恋人関係になっても…直ぐに先輩は
進学してしまい離れ離れ。
そこできっと関係は終わっていく…
ならこのまま…心地いい関係でいい。
そう思っていた矢先のことだった…
落ち込んだが…直ぐにやるべきことが
わかった…これしか無かった。
〇〇:歌声…歌声…
でも君は泣いていたんだね…
無き声…無き声…
僕は気づけなかった……
……寂しく切なく終わる…演奏。
〇〇:っ…。ありがとうございました。
『おぉ〜!!!』
『かっけぇ!!!』
『最っ高ぅ!!』
…拍手喝采だった。
幕が下りてくる…ふと僕は…
若月先輩を見てみる……
若月:うぐっ…うぅ…グスッ
…号泣してる…泣きすぎでしょ…
本当におかしな先輩。
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……終わり。