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bluewaters
ふりかえるとよみがえる。~鳥居をくぐるな!~
鳥居をくぐったところで「おーい!」と呼ばれた。振り返ると幸太郎が走って来た。「なんだ、お前また願掛けか?」「いいだろ、人事を尽くして天命を待つ。最後は運なんだよ。」「受験もうんざりだよな。」「ああ。早く終わらねえかな。」
手水舎で手を洗うと、絵馬のかかっている方へ向かった。「ふぇ~、みんな結構良いとこ目指してんなあ。見ろよ、東大合格だってよ!」「いいんだよ、欲張らなくて。大学なんて身の丈に合ったところ行けば。」「お前、身の丈に合った大学行くのに神頼みかよ!ハハハ。」
賽銭箱に十円玉を放り手を合わせた。幸太郎には黙っているが俺は東大を目指している。模試の判定はギリギリだった。その先に司法試験もあるんだ。青春も高校で終わり。最後の夏休み、幸太郎と行った房総半島一周自転車旅行をふと思い出した。
熱心に手を合わせている幸太郎をおいて拝殿を降りた。「幸太郎、先行くぞ!」。
帰ろうと鳥居をくぐったところで「おーい!」と呼ばれた。振り返ると幸太郎が走って来た。「なんだ、お前、また願掛けか?」「いいだろ、人事を、、、あれ?」
おわり