ゴールデンカムイ聖地巡礼バスツアー旅2022.6(2日目)
2日目。早朝。
札幌駅前のルートインホテルで目覚める。
昨日は、程よい疲れで、ぐっすり眠れた。
本日から、ゴールデンカムイ聖地巡礼バスツアーに参加する。
気になる本日のお天気は、北海道各地の天気予報は、あいにくの雨☔️マーク。
それも、かなりの大雨らしく、道内各地で厳重な警戒を呼びかけてますが・・・大丈夫かなあ。
ホテルを出たら、もう雨降ってた。
傘さして札幌駅内の集合場所へ。山猫少尉と、ツアーの方の点呼を受ける。
ツアーバスは、なかなか立派なバスだ。
ツアー客は全員で16人ほど。
コロナ対策で、1列空けても余裕のスペースがある。隣も空けてるし。
ゆったりできて、ええわあ。
体格の大きな羊好大尉は、狭いバスがタイヘン苦手だ。
山猫少尉は、私の後方席に陣取り、のびのびした顔で座ってる。
「それでは、出発しまーす。これから新千歳空港に寄り、残りのツアーの方々と合流して、本日の最初の目的地、『二風谷コタン』に向かいます。」
ツアー添乗員のアナウンスと共に、ツアーバスが発車する。
と、同時にかなりの雨がザーザー降り出し、高速道路は水びたしだ。
バフォーー!
ブゴゴゴーー!!
とかいう物騒な音を響かせて、バスは雨中を突き進む。
雨水をかきわけ、水たまりをザンザンかき分けて、ツアーバスは何処へ行かん。
大丈夫なの?今日のツアー?
道路が水没しそうなんですが・・・。
新千歳空港で残りのツアー客と合流し、苫小牧方面にバスは南下する。
雨風は、さらに勢いを増してるようだ。
「えー、皆さま、ご覧のとおり本日の天気は、なかなか厳しいものがあります。せめて、明日は晴れるよう、皆さん、天気を司るカムイにお願いしましょう」
と、最初からカムイ頼みの、ツアー添乗員さん。
明日というか、今日の無事を祈った方がよさそうなんですけど!?
横なぐりの雨風が、ブォンブォンいうてるよ?
道路も、ヤバめの洪水みたいになっとんよ?
バスごと転倒とかせんやろな・・・。
お昼前。
我らが水陸両用ツアーバスは、最初の目的地、平取町『二風谷コタン』に無事、到着した。
コタン、とはアイヌの集落のこと。
二風谷コタンでは、アイヌの文化博物館や、民芸工房、復元されたチセ(家)等がたくさん集まっている。
『ゴールデンカムイ』の背景となる、アイヌの文化や伝統について、ここで見聞できるらしい。
「まずは、皆さんでアイヌ伝統の食を体験しますー。お昼ごはんは、ここでいただきます。」
添乗員さんに導かれ、皆で施設内に入る。
「皆さん、アレでしょ、ゴールデンカムイって漫画が好きなひとたちなんでしょー?そしたらねー、マンガにでてくる『チタタプ』を実際に皆さんで作ってみようねー」
と、現代に生きるアイヌおばあちゃん先生が、『チタタプ』の材料を出してきた。
「マンガと現実はねー、ちがうからねー。」
と、カムイ聖地巡礼ツアーの一行に、身も蓋もないことを言う、おばあちゃん先生。
「今の季節は、なーんもないからねー、豚足と豚タンで代用するからねー。」
と、肉を取り出して、包丁でネギとか塩と混ぜて、細かく叩きだす。
「やってみたいーってヒト、やりなさいよー」
と、おばあちゃん先生。
「ハイ!アタシ、やりたい!」
と、元気よく手を上げる、山猫少尉。
両手に包丁を構え、ズドドド!と具材を叩き、粉砕斬りしていく。
おー、うまいうまい。
みんなで作った豚足の『チタタプ』とアイヌ伝統料理のお弁当を、先生の丁寧、かつ大胆な説明を受けながら、美味しくいただく。
不思議な優しい味のお茶も美味しくいただく。
外の大雨を忘れて、貴重な食体験をしたのでした。
お昼ごはんをいただいた後は、コタン内を自由に散策。
とは言え、大雨なので、行動範囲も限られてくる。
とりあえずは、文化博物館を観ましょう。
外は大雨なので、施設内の展示はありがたい。
「このマキリは、キロランケニシパの持ってたのと似てますよねー。こっちの木船も、作品に出てたカモ!」
狩猟採集で生活してたアイヌの人々が、和人と交易して鉄製の道具を使いだしたんやなー。
山猫少尉と2人で、あーだこーだとじっくり展示説明を読んだり見たりしてたら、他の連中はサッサと見終わり、誰もおらんくなった。
「ここでナンボでも見てられますけど、時間も限られてるから、次行きましょ」
そうしましょ。
傘をさして屋外展示を見に行く。
こっちにもチセ、あっちもチセ。
こっちのチセは、入れるのかな?入らないのかな?
チセとチセを結ぶ道路も、大雨で水たまりだらけだ。
私も山猫少尉も、気をつけながらそーっと歩く。
『北の工房つとむ』という工房土産屋さんに入る。
「工房主の貝澤さんは、キロランケニシパのマキリをデザインした凄腕工芸家なのです!この店には、ゴールデンカムイの作者野田先生直筆のサイン入りイラストもあるし、ぜひいかないと!!」
と、山猫少尉が言うてるので、サインを求めて店内をウロウロする。
「おー、あんたたち、どっから来たの?えっ!?京都と大阪から!?そりゃあ、また遠いとこから。ゴールデンカムイのファンなのかい?じゃあ、裏の本棚に、野田先生のサイン入りイラスト本あるからさ、撮影してきな」
と、店主貝澤徹さんが、親切に店の奥の本棚を見せてくれた。
「し、写真撮ってええんですかっ!?」
と、興奮のあまり鼻の穴をパンパンに膨らませた山猫少尉は、ニャーニャー言いながら、単行本の裏に描かれたイラストを、スマホで撮影しだした。
そのうち、同じツアーの客が、我も我もと集まってきて、単行本をグルリと取り囲み、撮影大会がはじまってしまった。
ひえーー!みなの熱気が怖いよ!
直筆イラストサイン撮影会は、まだまだ続きそう。
「さあ、次は12巻いきますよー!ハイ、皆さん大丈夫?それじゃ、13巻いきますよー!」
と、仕切っとる常連ファンの方に導かれ、全員目をランランと輝かせながら、あーでもない、こーでもないと大騒ぎして、撮影に夢中だ。
ちなみに、山猫少尉も含め、全員女性ファン。
そこまでサイン本にも撮影にも興味がない私。店の方に戻って、お土産を選んでおこう。
あ、このアイヌ柄っぽいガマグチ財布👛は、姪っ子のお土産に買ってあげよっと。
「なんだねー、ああいうのって、女性のファンは熱心だねー。」
と、店主の貝澤さんが、お会計しながら肩をすくめていた。
ホントですね。
えらい盛り上がってるけど、そろそろバスの出発時間なんですけどねえ。
案の定、撮影大会から戻ってきた山猫少尉も、他の面々も、店内のステキなお土産工芸品を目の前にして、アレか?コレか?と悩みはじめた。
出発の時間はもうすぐなのに。
名残惜しい気持ちでいっぱいだが、昼過ぎにツアーバスは、二風谷コタンを発車。
アイヌ料理のおばあちゃん先生こと、貝沢美和子先生、他のスタッフの方々に手を振って見送っていただく。
雨の中、ホントに良くしていただいたので、感謝の気持ちでいっぱい。
ありがとうございます!
また、必ず来ます!
できるなら、ちゃんと晴れてる日に!!
サヨナラー!行ってきまーす!
そしてツアーバスは、大雨の中、二風谷から道東の阿寒湖へと爆進する。
バスの中はクーラーが効いて、ジメジメだった服もいい感じに乾いてきた。
吹き荒れる大雨と曇天のおかげで、車窓の外は滲んでなーんも見えんし。
ホントは、北海道の大自然パノラマを見ながら、長距離バス旅を楽しみたかった。
でもなーんも見えんのだから、仕方ない。
・・・寝よっと。
お休みなさーい。ZZz・・・。
夕方、阿寒湖温泉街に到着。
本日のお宿は、『ニュー阿寒ホテル』。
展望大浴場もある、歴史あるホテルだ。
部屋の窓からは阿寒湖が一望できるが、今日は雨曇りでよく見えん。
設備は多少古めかしいが、部屋は広いし、大浴場があれば、私は大満足。
タオル一丁引っ提げて、温泉大浴場でひとっ風呂。
ふはーーーー!
きんもちいーーー。
サイコー!!
長距離バス移動の疲労も、どこかへ吹き飛ぶ。
汗も流れる!!スッキリ爽やか!!
お風呂上がりで、ホコホコ湯気をたてながら、夕食ビッフェ会場に向かう。
入口で、山猫少尉と合流。
我々は、ビッフェ会場へと突撃した。
羊好大尉と山猫少尉の2人は、魔神のようにビッフェメシを食いまくる。
今日の悪天候のウサを晴らすべく。
ニュー阿寒湖ホテルのビッフェは広く、お料理も豊富。
和洋中なんでもあり、北海道名物もズラリと取り揃えている。
ビッフェ・レストラン天国やーー!
ジンギスカン!ビーフシチュー!
サラダ!チキンのクリーム煮!
カレーライス!
ソフトクリーム(バニラ)!
同チョコレート!
「羊好大尉のチョイスって、あんまり北海道感はないですねー。カレーとシチューの量、ヤバくないですか?」
と、ご当地名物小鉢やらカニの脚を山ほどトレイに並べた山猫少尉に、指摘される。
道産子系列の関西人である私は、今さら北海道名物食べたいー!とはならんねん。
毎年のように北海道にやってきて、アレコレ食い散らかしてるからね。
「ふーん(聞いてない)。あ、釜飯や!!これも食べたい!よし、食べよう!」
と、欲望に忠実な山猫少尉。
2人でおしゃべりしながら、食いたいモンをパクパク食い、アイスやスイーツをペロペロしてたら、おなかいっぱいになる。
しあわせー。食いすぎー。
とても食いすぎたので、腹ごなしに、夜散策することにした。
少し先の、阿寒湖アイヌコタンへ。
「あれ?なんかの催しがもうすぐはじまるって、放送してますよ?どーします?行きます?」
ん?よし、おもろそうやし、行こ!
何の催しかわからんまま、テキトーに列の最後尾に並んでみる。
え?入場料2200円すんの?
なかなかやなー。
やがて舞台で、アイヌの古式・現代舞踊がはじまった。
一瞬で引き込まれる。
和人が北海道にやってきて、アイヌと共存してきたホロケウカムイ(エゾオオカミ)は駆逐され、絶滅してしまう。
失われたカムイを思い、継がれてきたアイヌの文化を失わないよう、文字伝承のないアイヌは歌い踊って伝えていく。
その迫力に圧倒される。
すばらしかった。
魂が震える感動。
この感情は、なんやねん?
とても良い体験ができた!
その勢い余ってか、帰り道の民芸お土産屋で、山猫少尉がアクセサリーやら小物を、ニャーニャー言いながら買っている。
お買い物に付き合いながら、さっき見たアイヌ古式舞踏の余韻に浸る、羊好大尉なのでした。
ええもん見れたなーー。
【つづく】