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チューリップの解散(引退)に寄せて
このコラムを書いたのが2007年。
1989年の解散から数えて約4回の再結成をくりかえした35年目のラストツアーの事を書いている。
しかし、その後も5回の再結成を繰り返した。
再結成を繰り返す中、3期メンバーの高橋裕幸、初代メンバーの安部俊幸が亡くなり、つい先日初期メンバーの吉田彰が亡くなった。吉田彰は財津との確執からか再結成時には一切関わっていなかったが、ファンとしてみれば、非常に悲しいニュースだった。
現在もチューリップはツアーを続けている。
2024年2月22日
チューリップは今年結成35周年。そして、今年限りで活動を封印する。
何度かのメンバーチェンジを経て1989年に1度解散をしているが、1997年に再結成し、今まで走り続けてきた。現在のメンバーはオリジナルメンバーが4人、2期目のメンバーが1人。みんな50歳~60歳代。
最近のテレビでリーダーの財津和夫は、解散の理由をこう述べていた。
「チューリップの歌は青春ソングなんです。だから、60歳を迎えて演奏する側にとってみると・・・非常につらい。しかも、あの時のテンションで演奏しなければ、という気持ちにもなってしまう・・・。」
真面目に音楽に取り組んできたから言える言葉だ。
歳を取ればそれなりに力を抜いて、老練なサウンドで勝負するミュージシャンが多い中、チューリップはその道を選ばなかった。財津はまだ心の整理がついていない、と言葉を続けた後、こう言った。
「今後、自分に納得の行く形でチューリップに向き合えるなら、再結成もあるかもしれませんが、今の答えはNOです。」
白い髪が大半を占め、シワだらけの顔を時よりほころばせながら、それでも毅然と語っていた。
私がチューリップと出会った時、彼らはすでに大スターだった。テレビに出るアイドルではなかったが、小学生の私でもチューリップの名前は知っていたし、「心の旅」を意味もわからず、口ずさんでいた。
そして私がチューリップを本格的に意識し始めたのは「青春の影」からである。歌詞よりも曲の流れに惹かれた。中学生の頭ではあの歌詞の深さは理解できなかっただけなのだが、ドラムを叩いていた私にとって非常に叩きやすいリズムだったのだ。
時は流れ、18歳の時、彼女(家内)がチューリップファンということで、再度しっかりと聴きこむようになる。しかしその時、私が所有していたチューリップのアルバムは、初期メンバー時のものばかりだった。なぜなら、2期メンバーになってからのチューリップにはあまり興味が湧かなかったからだ。しかし家内は、1期も2期も関係なく応援していたので、再度聴くチャンスと思い、よく2人で中古盤屋を廻り、アルバムをそろえていった。
私が家内と浪人時代に行ったコンサートや箱根での野外コンサートなどは、財津が語るようにまさに私たちの青春の思い出となっている。
結婚をし、独身時代ほど音楽を聴かなくなった家内でも、今回のラスト・チューリップは当然参加。とても感慨深いものとなるだろう。
彼女は、最初の解散コンサートでは、オープニングから涙が止まらなかった。1997年の武道館では「おかえり」と心で呟いた。そして今回は、どのような気分で彼らを観るのだろう。ミュージシャンとして彼ら5人が引退するわけではないので、それぞれに聴く機会はあるだろうが、チューリップとして成立していなければ、進んで聴くとは思えない。
それは、思い出として封印をしてしまう、ということになるかもしれないが・・・。
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チューリップの最近の映像(テレビ)を観て思ったことは、ただ単に歳をとったという直接的なものではなく、みんなの思い出をしっかり、一生懸命歌い続けてきた重みを感じることだ。それは、大幅にアレンジを変えることなく、30年前の歌は30年前のアレンジでしっかりと演奏しているから。そこに照れなどなく、奇もてらいもせず、みんなの思い出を再現している強さがあるからだ。
チューリップの音源は、永遠に残る。私たちの曖昧な思い出よりも鮮明な音として残る。私はその音源をもとに、チューリップを素材として自分の思い出と向き合っていくのだろうな、漠然と思った。
2007年6月29日