映画「シモーヌ フランスに最も愛された政治家」から感じた、未来への思い
先日、Fan's Voiceのオンライン試写会で
「シモーヌ フランスに最も愛された政治家」を鑑賞した。
シモーヌという方を、全く知らなかった私は、映画のあらすじを読んで
とても興味が湧き、試写会へ応募した。
人口妊娠中絶の合法化を勝ち取った人。女性だけでなく、エイズ患者や囚人など、弱者たちの権利回復に務めた政治家。なんてスーパーヒーローな女性なのだろう。彼女がどんな人なのか、なぜ政治家になったのか。そんな興味から試写会に応募し、めでたく当選。
今回は、この映画で感じたことを、シモーヌという女性を紐解きながら、紹介する。
映画紹介とシモーヌの人気
あらすじ
7月28日(金)に公開される「シモーヌ フランスに最も愛された政治家」
まずは簡単に、あらすじを紹介する。
映画タイトルに「フランスに最も愛された政治家」とあるが、これは日本版の副題となる。彼女がなぜ、フランスに最も愛された人気者なのか。
彼女の人気を象徴する二つの出来事
彼女がフランスから支持を受けている、象徴的な出来事がある。
一つ目は、フランスの著名人・有名人ランキング(2016年)で第2位であること。フランスでは、知名度も人気度も抜群にあるという証拠だ。
そして二つ目は、パンテオンに埋葬された偉人であるということ。
では、パンテオンとは何なのか。
今日では、政治史や文化史に名を刻んだ人しか入られないお墓となっている。それだけでも、偉大なことを成し遂げた女性であることが分かる。
そんな偉大な女性、シモーヌについて、
彼女を物語る、三つのことを紹介する。
シモーヌを物語る三大要素
人口妊娠中絶を合法化
先でも述べたとおり、シモーヌは1974年、カトリック人口、そして男性議員ばかりのフランス国会において、人口妊娠中絶の合法化を勝ち取った。
映画でも、とても重要なシーンとして登場する。
圧倒的な反対意見が、シモーヌへ目紛しく浴びせられた。耐え難いであろう苦痛の中、勝ち取った合法化。可決後、多くの女性から感謝の言葉を浴びた彼女の表情に、私は胸を締め付けられた。
女性初の欧州議会議長
1979年には、女性初の欧州議会議長に就任した。議長就任後は、女性だけではなく、移民やエイズ患者、刑務所の囚人など、弱者の権利回復に務めた。
映画ではこれ以外にも、保育制度など、今のフランスに欠かせない制度を作った人であることが、随所に散りばめられている。
彼女のおかげで、今のフランスがあることを、この映画を通じて理解することができた。
ホロコーストの生存者
この映画を単なる、政治家を目指す女性の人生のお話だと、私は思っていた。しかし、この映画の中核は、まさにこの物語ではないかと思う。
政治家として有名になった彼女は、自分がホロコーストの生還者であることを公表し、当時の状況を語り始めたのだ。
映画の流れは、主に政治家時代の彼女だが、その随所に、ホロコースト時代の彼女が登場する。政治家として、さまざまなことを成し遂げた彼女の根源にあるのは、ホロコースト時代の経験だ。
正直、ホロコースト時代の回想シーンは、目を覆いたくなる瞬間もある。
しかし、目を背けてはならない。彼女が政治家として走り続けられたのは、ホロコースト時代の思いがあるからだ。
追体験した、シモーヌの人生
過去から学び、未来へ繋げる
映画は、娯楽だけではない。
誰かの人生を追体験することで、生きる術を教えてくれる。
私はこの映画で、特に印象的なセリフがある。
「過去から学び、未来へ繋げる」
日本語字幕の台詞ではあるが、私が常日頃から思っていることと、全く同じだった。
日本も第二次世界大戦時は、誰かを傷つけたり、傷つけられたりした。そして、敗戦国となった。たくさんの苦しみの中、今日まで多くの人が生き続けた。これ以上、悲しい思いをしないためには、過去に起きた出来事を真正面から受け止め、学ばなければならない。そうでないと平和は訪れない、と私は思っているのだ。
シモーヌは、ホロコーストの経験から、女性や弱者の権利、尊厳を守ろうとした。欧州議会の場では、かつての敵であるドイツの方とともに、欧州の平和を守ろうとした。
彼女の知性とカリスマ性、そして愛が、たくさんの人たちを救ったに違いない。彼女のようにはなれないが、過去の出来事から学び、今、そして未来へ繋げればならないと、この映画を観て、強く感じた。
世界にはまだ、戦争がたくさん起こっている。
日本社会には、もっと弱者に寄り添うための法律が必要だと感じる。
シモーヌのような政治家がいれば、世界や社会は、さらに大きく変わるだろう。そんな未来を願いたくなる映画だ。
今週末は、ぜひ映画館へ足を運び、彼女の人生を追体験してほしい。
そして、その体験をシェアしてほしい。これからの未来を、一緒に考えていきたい。
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