国家資格 キャリアコンサルタント試験体験&試験対策(JCDA 第23回受験) 5. 学科試験対策 4 (すべてではないが、ひっかけ問題の解き方)
ここからの話は本質ではありませんが、学科試験では、不適切なものを選ぶ問題が出題されます。第23回試験結果を見てみると、「正しい、適切」なものを選ぶ問題が24問、「不適切」なものを選ぶのが23問、「誤っている」ものを選ぶ問題が3問ありました。
個人的には、「不適切」なものを選ぶ問題は、正しいものを選ぶよりも簡単に解けるような気がしていました。その理由は、明らかに断定的な言い方をしているものや普通に働いていれば常識的におかしいと感じられるものが多いからです。ただし、これらの中には理論家と理論そのものの組み合わせが異なるものなども含まれるなど、暗記しないと解けない問題もありますので、すべてに当てはまるわけではありません。
また、「不適切」なものを選ぶ問題の一部と「誤っている」ものを選ぶ問題は調査結果や法律を問うものが多いので、ここでは、調査結果、法律の把握が必要なため、暗記しないと正答にたどり着きません。
以下、第23回学科試験より例を記載し解説しますが、以下のふたつの視点で考えてるだけで15問の正解が確保できる可能性が生まれます。
1. 常識で考えれば判断できる(学生の立場では難しいものもあるが、仕事をしていれば、違和感を持つ)
問11(「第 11 次職業能力開発基本計画」 厚生労働省、令和 3 年 3 月)
わが国の人材育成において、実践的な職業能力開発の促進を図るうえで企業の果たすべき役割は小さくなっている。
⇒企業の果たすべき役割が小さくなっているとは考えにくい。
問13(「職場における学び・学び直し促進ガイドライン」(厚生労働省、令和 4年)で述べられた、キャリアコンサルタントの活用をベースとした推奨される取組み例)
キャリアコンサルタントは、労働者が学び・学び直しで身に付けた能力・スキルを仕事上で実践して成果が得られた場合に、企業に代わって昇進や希望する部署への配置転換、処遇への反映を行う。
⇒企業内で判断すべきことを、「企業に代わって・・・」外部のキャリアコンサルタントには担えない。
問15(CDP Career Development Program)
CDP は企業(使用者)が主体となって作成するものであり、労働者本人の意向を取り入れる必要はない。
⇒CDPは明らかに、企業ではなく労働者本人が意思をもって作成するものである。
問16(採用に関して留意すべき事項)
すべての中途採用にあたり、何歳以上、あるいは何歳以下などと応募者の年齢を制限すること。
⇒「差別」につながるような採用方式を法律が認めるとは思えない。
問28(うつ病に関する記述)
うつ病の人にとって、仕事を辞めるかどうかなどの重要な決断は、症状が悪化した時に行うとよい。
⇒「症状が悪化した時」に重要な決断ができるとは到底考えられない。
問39:相談場面の設定
キャリアコンサルティングは問題解決が重要であり、最初の関係構築の段階から意識して指示や助言を行うことが必要である。
⇒関係構築段階で、指示や助言をすることが最初の一歩とは常識的に思えない。
問43:(自己啓発の支援)
インターンシップ先の選定支援にあたっては、早期の就職内定を獲得することが第一の目的であることから、専攻に関連する分野に絞って紹介することが求められる。
⇒一般的にインターンシップは対象が学生であり、自己理解を進めながら就職活動を行うという前提に立つと、専攻に絞ることは可能性を狭めることになるので、判断として違和感がある。
問:47(キャリアコンサルタントの姿勢とその効果)
キャリアコンサルタントには相談を通して個人の本音の情報が集約されてくることから、守秘義務で閉じ込めずに情報を全て経営者に伝えることで、キャリアコンサルティングの理解促進が期待できる。
⇒外部から個人をサポートする立場で、「守秘義務」を守らずに、業務を行うことには違和感がある。
問48(キャリアコンサルタントの自己研鑽)
事例記録を作成するのは手間がかかり、かつ情報収集不足による自分の偏った見方や相談者の背景等を捉えることに限界があり、効果は薄い。
⇒個人を継続的に支援するキャリアコンサルタントが作成する記録に、時系列での効果が薄いとは考えにくい。
問49(職業能力開発促進法におけるキャリアコンサルタント登録制度の記述)
キャリアコンサルタントは、その業務に関して知り得た秘密を漏らし又は盗用してはならないが、キャリアコンサルタントでなくなった後はこの義務を負わない。
⇒そもそもこの考え方では、「守秘義務」は成り立たない。
問50(職業倫理)
職業倫理は、道徳的原則や社会規範を前提とした行動規範であることから、キャリアコンサルタント等の特定集団全体にアンケートを行い、その多数意見を基に定めるのが最も妥当性が高い。
⇒倫理を扱う行動規範が、多数決や特定集団(この場合はキャリアコンサルタント)の立場を反映するような決め方をするとは考えにくい。
2. 比較的、断定的な言い方をしている
問25(中学校で職場体験を実施する場合に配慮すべき事柄)
キャリア・カウンセリングは、子どもたち一人一人の生き方や進路を対象とするものであり、教科・科目等の選択に関する悩みや迷いは教科指導で行う。
⇒そもそも切り離せないものを、断定的に切り離している。
問33:(リハビリテーションカウンセリングの問題)
障害を持つ人が職業につけるよう、その人の病気や障害に焦点を当ててサポートする。
⇒個人の価値観や強み等が反映されない病気や障害にサポートを当てることに焦点を当てている。
問35:(カウンセリングの特徴)
カウンセリングの理論や手法はあくまでも来談者中心療法であり、どうしても対応できないときにのみ他の理論や手法を用いる。
⇒「あくまでも来談者中心療法」と断定しており、他の手法が無視されている。相談者への個別対応の多様性や柔軟性が損なわれる可能性がある。
問38 (「厚生労働省履歴書様式例」(厚生労働省、令和3年4月)に関する記述)
ハローワークを通して求人に応募する場合は、「厚生労働省履歴書様式例」を使用することが義務化された。
⇒履歴書の一般流通状況を考えて見ると、「義務化」という断定的な表現は的確ではない。
学科試験は、明らかに暗記していないと答えられない問題がある反面、常識やひっかけの傾向の理解により回答できるものなどが多くあります。
試験範囲はかなり広いですが、総合的な結果を見ると、合格率80%程度の試験ですので、さまざまな視点で正答率を高める方法を考えてみてはいかがでしょうか。