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国家資格 キャリアコンサルタント試験体験&試験対策(JCDA 第23回受験) 11. JCDA論述・面接試験対策 6 (論述問題対策 第23回試験の回答方法と回答例、80%以上の点数を取る方法)

ここでは、実際の第23回試験での問題をもとに解説をしていきます。私の場合、これから紹介する内容で80%以上の得点を取ることができました。ただこれは逆に言うとまだ改善の余地が20%弱あるということにもなります。ただ、論述試験の足切りが20点/50点であることを考えると、80%以上を獲得すると、十分に面接試験でのリスク回避につながる点数ですので、内容を確認いただき、さらに自分で足りない点を補っていただければと思っております。
 
[問い 1]
事例ⅠとⅡはキャリアコンサルタントの対応の違いにより展開が変わっている。事例ⅠとⅡの違いを下記の 5 つの語句(指定語句)を使用して解答欄に記述せよ(同じ語句を何度使用しても可。また語句の使用順は自由。解答用紙に記述する際には、使用した指定語句の下に必ずアンダーラインを引くこと)。(15 点)
 
指定語句  励まし(もしくは励ます)   助言   問題解決   内省   客観視
 
(回答)
事例1は、介護職をやっていけるのだろうかというCLの不安を受容せず、CCt6で他のサービス業界を見ては、と「問題解決」を急ぎ、CCt7でいろいろな業界を経験してみては、とCCtの価値観で「助言」し、CCt9でそれは皆さんもわかっている、 CCt10で1回の失敗で夢をあきらめないで頑張りましょうと「励まし」ていることから、CLとの信頼関係構築ができないと思われる。事例2は、CCt6とCCt7でどんな対応で不安になったのか、主任にどんなことを言われたのかという経験を問い、CCt8でその言葉の受け止め、CCt9、CCt10でCLにとっての意味や感情を問い、「客観視」させることで、CLの「内省」を促し、利用者さんのためと言いながら自分のためですよねと気づいたと思われる。

 
(解説)
まず事例Ⅰの共通逐語録の最後のCLの発言の最後に注目し冒頭の入りを決定します。これは私が見たところ、すべての過去問、模試ともに共通しています。基本は「〇〇という不安を受容せずに/寄り添わずに・・・」というように展開します。以下が、実際の逐語録になります。

【逐語録の共通部分の最後のCLのコメント】
CCt5:嬉しいと思われたのにモヤモヤが残った?
CL6:実はお手伝いしている途中で、「別の仕事があるので、あとはご自分で食べていただけませんか」とお願いしたのですが、その方は急に怖い顔になって機嫌が悪くなってしまったのです。
それで慌てて「いえいえ、大丈夫です。」と言って、そのままお手伝いさせていただきました。お手伝いが終わってから、こんな対応していて、介護職をやっていけるのだろうかと不安が湧いてきました。
 
【事例Ⅰへ】
CCt6:介護職が向いていない、やっていけるか不安ということなら、これまで勉強してきたことが他のどんな分野で活かせるのか一緒に考えてみましょうか。視野を広げて他のサービス業界を見てみるのはどうですか
 
続いてのポイントは、すべてCCtの発言を使用し、それぞれの解説を加えながら、「~CLとの信頼関係構築ができないと思われる。」で締めます。

また事例Ⅱも同様にすべてCCtの発言を使用し、事例Ⅱの最後に登場する、CLの今まで気づいていなかったがカウンセリングのやりとりで内省により気づいた文言を利用して、「CLの内省を促し、利用者さんのためと言いながら自分のためですよねという気づいたと思われる。」で締めくくります。これも過去問、模試ともに、高い確率で同じパターンで回答が可能です。事例Ⅱの逐語録で言うと以下の部分になります。
 
【事例Ⅱの最後の部分】
CL10: う〜ん、そうですね・・・途中からは、利用者さんの顔色ばかり気にして、嫌われないようにしんどい要求に応えていた気がします。昔、祖母は母のことを、陰で「気が利かない」といつも不満や悪口を言っていました。それを聞いて私はそう言われないように祖母に気に入られようとすることが身についてしまったのかもしれません。
CCt10:嫌われないために、しんどいことを我慢している自分をどう思いますか。
CL11:う〜〜ん。それって利用者さんのためと言いながら自分のためですよね。何やってるんだろう。
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また、余談ですが、回答の中で、「受容、経験、価値観、感情」など、過去問や他の模試などでは指定語句として指定される可能性の高い語句を使用しています。問1に関しては、こういった問題では、過去の指定語句w練習することで、本番の回答を作成するのが容易になりますので、その点も押さえておきましょう。特に事例Ⅱでは、「まず経験を問い、その経験をした際の感情を問う」という点も重要なポイントです。
 
[問い2]
事例Ⅰの CCt10 と事例Ⅱの CCt10 のキャリアコンサルタントの応答が、相応しいか、相応しくないかを考え、「相応しい」あるいは「相応しくない」のいずれかに○をつけ、その理由も解答欄に記述せよ。(10 点)
 
(回答)
事例Ⅰ:
利用者さんのやる気をうまく引き出している他のスタッフに比べて、ただ言いなりになっていたというCLの気持ちを受容せず、1回の失敗で夢をあきらめてはいけないというCCtの価値観で励ましており、CLの自己理解が深まらないと思われるため。
事例Ⅱ:
嫌われないためにしんどいことを我慢している自分をどう思いますかと問うことで、CLの内省を促し、利用者さんのためと言いながら自分のためですよねとCLが気づいたと思われるため。

 
(解説)
問2は事例Ⅰ、事例Ⅱともに「相応しい」か「相応しくない」かをまずは回答します。これは過去問を見るとすべての問題で、事例Ⅰが相応しくない、事例Ⅱが相応しいとなっていますので、まずはそこを押さえます。

事例Ⅰ、事例Ⅱともに記述するスペースが少なく、文字数が限られるため、一定のパターンで回答が可能です。

事例Ⅰは、CCtの下線部のある部分の前のCLの発言を要約した上で、CCtがCLにかけた発言の一部を利用した上で、「~CCtの価値観で励ましており、CLの自己理解が深まらないと思われるため。」で締めます。
構造は非常に単純で、<直前の要約⇒CCtの発言の一部を使用⇒それがもたらした結果を「~自己理解が深まらないと思われるため」といった標準語句で締める>ということになります。
 
【事例Ⅰの下線部分】
CL10:そうかもしれないですが、本当に利用者さんのためになっていたのかな。う~ん、なんというか・・・食事のお手伝いをしている時は、我慢して一生懸命やりましたが、ただ言いなりになっていたような気がします。他のスタッフさんたちは上手に利用者さんのやる気を引き出して、自分でできることを増やしていくように関わっておられたように思うのですが・・・
CCt10:たった 1 回の失敗で夢をあきらめないで。A さんはこれまで介護職目指して頑張ってきたのですから、頑張りましょう。
CL11:はい・・・でも・・・
 
l  事例Ⅱは、事例Ⅰよりも単純で、まず、下線部のCCtの発言を使用し、「~~と問うことで」で冒頭を作成し、その結果、次のCLの発言での気づいた部分(この場合は、「利用者さんのためと言いながら自分のため」)を使用した上で、「~とCLが気づいたと思われるため」で締める。事例Ⅱは正直なところ、ほとんど考える必要がありません。
 
【事例Ⅱの最後の部分】
CL10: う〜ん、そうですね・・・途中からは、利用者さんの顔色ばかり気にして、嫌われないようにしんどい要求に応えていた気がします。昔、祖母は母のことを、陰で「気が利かない」といつも不満や悪口を言っていました。それを聞いて私はそう言われないように祖母に気に入られようとすることが身についてしまったのかもしれません。
CCt10:嫌われないために、しんどいことを我慢している自分をどう思いますか。
CL11:う〜〜ん。それって利用者さんのためと言いながら自分のためですよね。何やってるんだろう。
 
[問い 3]
全体の相談者の語りを通して、キャリアコンサルタントとして、あなたの考える相談者の問題と思われる点を、具体的な例をあげて解答欄に記述せよ。(15 点)
 
(回答)
CLの問題は、CLがCL2で困っている人を助けたいという思いを持っているが、CL3で他のスタッフに迷惑をかけ、主任に注意されたことで、事例2のCL9で本当に利用者さんの役に立とうとしていたのかとの発言があったことから、介護の現場における仕事に対する理解不足および利用者にとってより良いサービスとは何かという視点での理解不足があると思われる。また、CL11で利用者さんのためと言いながら自分のためですよねとの発言から、介護現場で働くためのCL自身の価値観の理解不足があると思われる。

 
(解説)
問3は、問題の中では最も注意が必要な設問になります。理由は、キャリアコンサルタント視点での相談者の問題を正しく指摘する必要があるからです。また、問2までとは異なり、CLの発言を起点として、相談者の問題を推察し、挙げていくことが重要になります。

パターンとしては、CLがもともとどのような思い(やりたいこと、大切にしていることなど)を持っているのかという点を挙げ、それに対して、CLがある経験を通して、そこに揺らぎが出てくるような状態になっている点を指摘します。その「こうありたい/こうしたいけど、(   )の経験があり、心の中にざわつきがありできない」という中での心の揺らぎが、どんな原因から生まれたのかを問題点として指摘します。この際に、回答欄には、①自己理解不足、②仕事理解不足、③コミュニケーション不足、④思い込みの4つの領域から問題の逐語録に最もふさわしい表現で記入するようにします。

またここで使用するCLの発言は、共通部分からやりたいこと、大切にしていることなどを抽出し、それ以外の部分は、事例Ⅱを使用するのが効果的です。つまり、問3を解く際には事例Ⅰは無視することで時間の短縮が図れます。

今回の回答で言うと、CL2の困っている人を助けたいという発言を相談者のやりたいこととして設定し、CL3で主任さんから注意されたことを経験のきっかけとして、利用者の役に立とうとしていたのだろうかと感じている発言より、その原因を「介護の現場における仕事に対する理解不足および利用者にとってより良いサービスとは何かという視点での理解不足」としました(CL3とCL3は共通部分)。さらに、ふたつ目の問題は、簡潔に示すために、CL11の「利用者さんのためと言いながら自分のため」という発言を引用し、「介護現場で働くためのCL自身の価値観の理解不足」としました(CL11は事例Ⅱ)。問題点は外すリスクを低減させるために、少し広い範囲でとらえるようにしました。
 
【共通部分】
CL2:はい。私は幼い頃、足の不自由な祖母と一緒に暮らしていて、その介護を手伝っていました。祖母は私が何か手伝うと、とても喜んでくれました。祖母が喜ぶ顔を見ると嬉しくて。将来は「おばあちゃんのように困っている人を、助ける人になりたい」と思うようになって、介護職員を目指すようになりました。今、社会福祉学部で介護について学んでいます。
CCt2:そうでしたか。でも、子供の頃から介護職員を目指していたのに、今になって、それに向いていないと思うようなことが何かあったのですか。
CL3:はい。少しでも多く現場を体験しようと思って、2 週間前に、私の住んでいる市が主催する5 日間の高齢者施設の職場体験会に参加しました。その体験会の食事介助の時に一人の利用者さんに時間をかけすぎてしまい、他のスタッフさんに迷惑をかけました。その施設の主任さんからも注意を受けてしまいました。

【事例Ⅱへ】
CCt8:その言葉を A さんはどのように受け止めたのですか。
CL9: ショックでした。主任さんに言われたことは頭ではわかっていたはずなのに、我慢をしながらお手伝いを続けたなんて、本当に私は利用者さんの役に立とうとしてたのだろうかと思い、情けなかったです。
 
CL11:う〜〜ん。それって利用者さんのためと言いながら自分のためですよね。何やってるんだろう。
 
[問い 4]
事例Ⅱのやりとりの後、あなたならどのようなやりとりを面談で展開していくか、その理由も含めて具体的に解答欄に記述せよ。(10 点)
 
(回答)
まず、現場体験会で頑張ったことをねぎらい、利用者さんのためと言いながら自分のためですよねとの気づきを丁寧に傾聴し、介護現場における仕事理解、利用者視点での仕事のあり方、介護現場におけるCL自身の価値観の整理をするための支援を行う。具体的には、相談者の合意が得られれば、現場体験会で出会った主任や他のスタッフと話す機会をつくる、さらに可能であれば実際にサービスを提供した方とも話す機会を持つ支援をすることで、介護現場での仕事理解、受益者視点でのサービスの在り方の理解を深めるようにサポートする。最後に対話を通じてCL自身の価値観を整理する支援を行い、CLが介護職を本人のキャリアとして選択する力をつけるサポートをしたい。

 
(解説)
問4は、問3の問題指摘がしっかりできれば、あとはその流れに乗り、回答を考えるだけなので、少し機械的になります。

まず「現場体験会で頑張ったことをねぎらい、利用者さんのためと言いながら自分のためですよねとの気づきを丁寧に傾聴し」と記載することで、キャリアコインサルタンとしてのかかわり行動(聞く姿勢、実際の傾聴など)を示し、問3で挙げた問題点(「介護現場における仕事理解、受益者視点での仕事のあり方、介護現場におけるCL自身の価値観の整理」)を繰り返し、それらを支援することを少ししつこいですが明確にします。

次に、「相談者の合意が得られれば~」という表現を使い、相手の意思を尊重する姿勢を示します。

さらに今回の場合は、「関係者と話すこと」を解決策を導く方法として支援することで、問3で掲げた問題点が解決できるという流れで回答を作成し、最後は、本人の意思を尊重できるサポートを行うことを示すために、「~CLが介護職を本人のキャリアとして選択する力をつけるサポートをしたい」としました。
 
第23回の実際の試験に際しては、すでに述べてきたテンプレートをきれいに使用できたわけではないのですが、頭の整理をしっかりすることで、50分という時間で焦ることなく対応ができたと考えています。
 
勉強をしてきた感想を言うと、そもそもJCDAの論述試験50分は非常に短く、準備なしには最後まで書き切ることはできません。一つひとつの問題を解くコツを把握し、時間をかけるところ・かけないところ、考えるところ・考えずに書き進めるところを事前に決めて、時間内で書き切れるようにするのがベターだと思います。
 
<添付>:第23回論述試験
https://www.jcda-careerex.org/files/past/499practical-q.pdf

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