マーケット インテルの復活のポイント

23日のダウ平均は、米経済のソフトランディングへの期待から続伸し、過去最高値を更新しました。高値警戒感から主力銘柄には売りが出て上値が重くなっていますが、複数の連銀総裁が連続利下げに前向きな発言をしており、下値を支えています。
個別銘柄では、クアルコムがインテルを買収すると伝えられたことで、インテルが一時4%上昇しました。また、マイクロン・テクノロジーやアームも高く、テスラは出荷台数増の見通しで4.9%上昇しました

ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は、年内にさらに0.5ポイントの利下げを支持していると述べました。具体的には、11月と12月の連邦公開市場委員会(FOMC)でそれぞれ0.25ポイントずつの利下げが「妥当な出発点」と考えています
カシュカリ総裁は、インフレ率が著しく低下し、労働市場に弱さの兆しが見られることから、リスクバランスが高インフレから労働市場のさらなる軟化の恐れへとシフトしていると指摘しています。そのため、フェデラルファンド(FF)金利の引き下げが正当化されると述べました

インテルのファウンドリー事業分社化は、同社の経営再建と半導体業界における競争力回復に向けた重要な戦略的転換点となります。この決定は、いくつかの重要な側面から分析することができます。

## 経営再建への道筋

インテルは近年、業績不振に直面しており、2024年第1四半期には11億ドルの損失を計上しました。ファウンドリー事業部門だけでも2023年に70億ドルの営業損失を出しており、この状況を打開するための大胆な施策が必要でした。

分社化によって期待される効果は以下の通りです:

1. **財務の透明性向上**: ファウンドリー事業の独立した財務報告により、投資家はより詳細な業績評価が可能になります

2. **資金調達の柔軟性**: 独立子会社となることで、将来的に独自の資金調達が可能になり、事業の成長を促進できます

3. **顧客との関係強化**: 外部顧客やサプライヤーに対して、インテルの他事業との独立性を示すことができます

## TSMCとの競争力

現在、ファウンドリー市場はTSMCが圧倒的なシェアを持っています。インテルがこの市場で競争力を高めるためには、以下の点が重要となります:

1. **技術革新**: Intel 18Aプロセスの成功が鍵となります。この先端プロセスが予定通り進展すれば、TSMCに対抗できる可能性があります

2. **顧客基盤の拡大**: 既にMicrosoftやAmazonとのパートナーシップを発表しており、今後さらなる顧客獲得が期待されます

3. **政府支援**: 米国政府からの30億ドルの資金提供は、インテルの競争力強化に寄与します

## 課題と展望

インテルのファウンドリー事業が成功を収めるためには、いくつかの課題を克服する必要があります:

1. **製造能力の最適化**: ドイツとポーランドの工場建設計画の一時中断は、需要予測に基づく慎重な判断ですが、将来の生産能力に影響を与える可能性があります

2. **技術の信頼性**: 18Aプロセスの初期テストで一部の問題が報告されており、これらの課題を迅速に解決する必要があります

3. **人材確保**: 全従業員の15%削減計画の中で、重要な技術者や人材の流出を防ぐことが重要です

インテルのファウンドリー事業分社化は、TSMCの1強体制に風穴を開ける可能性を秘めています。しかし、その成功は技術革新、顧客獲得、そして効率的な経営にかかっています。今後の展開が、半導体業界全体に大きな影響を与えることは間違いありません。

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