ドラム価格上昇は韓国2強に追い風?MLCC

NAND価格も企業向けSSDを中心に長い低迷から脱し、上昇傾向を維持する見通しです。 台湾の市場調査機関TrendForceは、全体のNANDの平均販売価格(ASP)が今年第3・4四半期に5〜10%の上昇にとどまると予測している一方で、企業向けSSD価格は需要が拡大し、15〜20%上昇すると予想しています。先にNAND価格は昨年10月から今年2月まで5ヶ月連続で上昇していました。DigiTimesは、「NAND ASPに短期的な変動が生じる可能性はあるが、AI技術の進展が主導する需要増加と価格上昇の流れは今後逆行することは難しい」と見ています。
■企業向けSSD、'第2のHBM’として台頭
企業向けSSDの拡大が、サムスン電子やSKハイニックスなど国内メモリ産業の業績拡大に大きく貢献すると期待されています。サムスン電子とSKハイニックスは、共に昨年赤字を記録していたNAND部門で、今年第1・4四半期にAIデータセンター発の企業向けSSD販売好調により黒字転換に成功しました。
企業間SSDにおいては、第2のHBM戦争が起こるとの予測も出ています。企業向けクアッドレベルセル(QLC)SSDのビット販売量が上半期比で下半期に3倍の水準に急増すると予想されているためです。市場調査会社TrendForceによると、第1・4四半期基準でサムスン電子とSKハイニックス(ソリダイムを含む)は、それぞれ企業向けSSD市場で47.4%、30.4%の市場占有率を記録しています。
DigiTimesは、サプライチェーン関係者の話を引用して、「サムスン電子が最近、中国西安工場の3次元(3D)NAND製造プロセスを第6世代から第8世代に設備アップグレードし、現在主要顧客に対して2025年(サムスン電子の3D NANDである)V-NANDが供給不足になると通知した」と報じました。最近、サムスン電子はデータセンターの顧客やスマートフォンメーカーに対してサンプル検証を相次いで実施し、量を確保していると伝えられています。
続いて、サムスン電子はQLCベースの最新第9世代V-NANDを今年第3・4四半期に量産すると発表し、主導権を固めるために動き出しました。QLC NANDは、データ保存単位であるセル1つに2進数4桁のデータを格納できる技術で、従来のトリプルレベルセル(TLC)NANDと比較して同じチップサイズで保存容量を劇的に増やすことができる利点があります。
SKハイニックスも業界最高水準の製品を年内に量産するために動き出しています。最近、SKハイニックスは企業向けSSD「PCB01」の開発を完了しました。PCB01の連続読み取りと書き込み速度は、それぞれ秒間14GB(ギガバイト)、12GBで、PC用SSD製品中で業界最高水準とされています。
業界関係者は、「現在のNAND業績の転換は、前方産業の需要拡大に起因するものではなく、減産努力とデータセンター発の需要が背景にある」と述べ、「データセンター関連の企業向けSSD市場は急速に拡大し、それに伴う競争も現在のHBMに劣らず激しくなるだろう」と見ています。
クアッドレベルセル(QLC)SSDは、NAND型フラッシュメモリの一種で、1つのセルに4ビットの情報を格納できる技術です。これにより、大容量のデータストレージが可能になります。QLCは、トリプルレベルセル(TLC)よりもさらに多くのデータを同じスペースに保存できるため、より高密度のストレージソリューションを提供します
QLC SSDは、特に読み取りが多いワークロードに適しており、データセンターなどでの使用に最適です。しかし、QLCテクノロジーはTLCやその他のフラッシュメモリタイプと比較して書き込み回数が少ないため、耐久性においては劣る可能性があります。QLC SSDの書き換え可能回数は500〜1,000回程度とされています
QLC SSDの主な利点は、大容量を実現しつつもコストを抑えることができる点です。これにより、大量のデータを効率的に保存することが可能になり、コストパフォーマンスに優れたストレージソリューションとして注目されています

MLCC(積層セラミックコンデンサー)は、電子機器の小型化と高機能化に伴い、その需要が増加しています。特に自動車の電装化やスマートフォンの高機能化、IoT(モノのインターネット)の普及が進む中で、MLCCの重要性が高まっています。株価に関しては、大和証券の木野内栄治氏によると、エヌビディアの株価が一服した後、3か月リズムでMLCCに期待が集まっているとのことです。村田製作所やTDK、太陽誘電などの企業がMLCCを製造しており、経済安保関連銘柄としても注目されています。

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