TSMC決算、BYD目標株価引き上げ、サムスンの第9世代V-NAND技術についての情報
台湾積体電路製造(TSMC)は、2024年第2四半期に売上高が40%増となり、予想を上回る結果を達成
しました。この増加は、AIインフラに対する世界的な需要の高まりによるものです。特に、NVIDIAとAppleからの最先端チップの注文が多く、TSMCの6月の売上高は2079億台湾ドルに達しました1。
AIを支援するインフラの構築に向けたハードウェアの購入が急増しており、これがTSMCの売上増加に寄与しています。ウォール街の証券会社は、この動きを受けてTSMCの目標株価を引き上げており、TSMCは2025年に顧客に請求する代金を引き上げることで、さらなる利益拡大が見込まれています1。
このような市場の動向は、AI技術の進展とそれを支える半導体産業の成長が相互に関連していることを示しています。TSMCのような企業の成功は、AIとデータセンターの需要が今後も増加することを示唆しており、半導体業界全体にとって前向きな兆候と言えるでしょう。
JPモルガンは、中国の電気自動車メーカーBYDの目標株価を大幅に引き上げ
ました。これは、BYDの世界販売台数が2026年までに年間600万台に達するという予測に基づいています。BYDの香港上場株と深圳上場株の目標株価はそれぞれ475香港ドル、440元に設定され、「オーバーウエート」の投資判断が維持されています。
BYDは、国内市場での激しい価格競争を展開しつつ、海外市場での販売拡大とローカライゼーションに注力しており、香港市場でEV関連銘柄が下落する中で、BYD株は約12%上昇しました。JPモルガンのアナリストは、BYDがグローバル展開とプラグインハイブリッド車の機会拡大を追い風に、今後1〜2年で再評価される可能性があると分析しています。
BYDの株価上昇は、同社の強力な販売戦略と市場でのポジションの強化によるもので、投資家にとって注目すべき動向です。株価の動きは、企業の業績や市場の期待値を反映するため、BYDのような企業の戦略や成長予測は、投資判断において重要な要素となります。
Samsungの第9世代V-NAND技術についての情報
は、以下の通りです:
Samsungは、第9世代V-NANDでセルサイズの縮小などにより前世代比でビット密度を約50%向上させることに成功しました。また、セル干渉の回避やセル寿命の延長などの新しいイノベーションの採用により、製品の品質と信頼性を向上させつつ、ダミーチャネルホールの排除によりメモリセルの平面面積の縮小を実現しています
2024年後半には、QLCの量産も開始する予定であり、データの入出力速度を33%向上させ、最大3.2Gbpsまでサポートする次世代NANDフラッシュインタフェース「Toggle 5.1」を採用するほか、PCIe 5.0のサポートを拡大することで、高性能SSD市場における地位をさらに高めていくとしています1。
2030年には、1,000層の「超高層セル」を実現する目標を掲げており、その過程で200層以上の積層がある場合、配線にモリブデンを適用する必要があるとされています。これは、600℃以上の高温に耐える必要があるためで、Lam Researchの特殊な装置を使用しています。
第10世代以降については、タングステンがフェードアウトし、モリブデンが主要な材料になると予測されています。これは、モリブデンが高温に強い特性を持っているためで、より多層の積層を実現するためには、このような材料の変更が必要になると考えられています2。
これらの技術革新は、記憶密度の向上と製造コストの削減に寄与し、将来のデータストレージの需要に応えるための重要なステップとなっています。Samsungは、これらの進歩を通じて、AI時代のニーズに応える高性能、高密度のSSD市場をリードし続けることを目指しています
補足1)
ダミーチャネルホールとは、3D NANDフラッシュメモリの製造過程で使用される技術的な要素の一つです。具体的には、3D NANDでは「チャネルホール」と呼ばれる柱を用意し、その柱にドーナツ形のセルを積み重ねていく構造になっています。このチャネルホールを作る過程で、実際にはメモリセルとして機能しない「ダミー」のチャネルホールが設けられることがあります。
ダミーチャネルホールの主な目的は、製造プロセス中に生じる様々な物理的な制約を克服するためです。例えば、チャネルホール間の均一な間隔を保つことで、エッチングや成膜などのプロセスの均一性を向上させることができます。また、ダミーチャネルホールは、メモリセルアレイの構造的な強度を高める役割も果たします。
しかし、ダミーチャネルホールはメモリセルとしての機能を持たないため、メモリの記憶容量には直接貢献しません。そのため、ダミーチャネルホールの数を減らすことで、より多くの実際のメモリセルを配置し、記憶密度を向上させることが可能になります。Samsungは第9世代V-NAND技術において、ダミーチャネルホールの排除によりメモリセルの平面面積の縮小を実現し、ビット密度を約50%向上させることに成功しています。
このように、ダミーチャネルホールは3D NANDフラッシュメモリの製造技術において重要な役割を果たしており、技術革新によってその数や配置が最適化されています。
補足2)
QLC(Quad-Level Cell)とは、NAND型フラッシュメモリの記憶素子(メモリセル)の一種で、1つのセルに4ビットのデータを格納できる技術です1。これにより、各セルは16値(0000から1111まで)を識別できます。QLCは、記録密度が高く、大容量のSSD製品などで用いられていますが、耐久性や読み書き速度ではSLC(Single Level Cell)、MLC(Multiple Level Cell)、TLC(Triple Level Cell)などの他の方式に比べて劣る場合があります2。
QLCは、大容量のデータストレージが求められる市場において、コスト効率の良い選択肢として注目されています。例えば、QLCを使用したSSDは、同じサイズのTLC SSDに比べてより多くのデータを保存できるため、データセンターやエンドユーザーのストレージニーズに応えることができます。ただし、QLCは書き込みや消去のサイクル数が少ないため、書き込みが頻繁に行われる用途には不向きであり、その点でTLCや他のNAND型フラッシュメモリに比べて耐久性が低いとされています
このように、QLCは大容量ストレージを提供する一方で、特定の性能や耐久性の要件を満たす必要がある場合は、他のNAND型フラッシュメモリ技術を検討することが推奨されます。Samsungが2024年後半に量産を開始する予定のQLC V-NANDは、データの入出力速度を33%向上させるなど、性能面でも改善が図られています
補足3)SSD(Solid State Drive、ソリッド・ステート・ドライブ)とは、データを保存するための記憶装置で、フラッシュメモリを使用しています。HDD(Hard Disk Drive、ハード・ディスク・ドライブ)と比較して、SSDは物理的な動きがないため、読み書き速度が非常に速く、耐衝撃性に優れ、動作音が静かで、サイズが小さく軽量です1。
SSDの主な特徴は以下の通りです:
高速な読み書き:物理的なディスクやモーターがないため、データのアクセス速度が速い。
耐衝撃性:動く部品がないので、衝撃に強く、データの損失リスクが低い。
静音性:駆動部分がないため、動作音がほとんどない。
省エネルギー:HDDに比べて消費電力が少ない。
コンパクト:小型で軽量なため、ポータブルデバイスに適している。
ただし、SSDはフラッシュメモリを使用しているため、書き込みを行うごとに素子が劣化し、同じ容量のHDDに比べて書き換え寿命が短いという欠点があります。この問題を解決するために、多くのSSDではウェアレベリングという技術を使用して、書き込み動作が全てのメモリセルに均等に分散されるようにしています
SSDは、パソコンやサーバーのデータ保存、テレビの録画など、様々な用途で使用されており、その高速な性能と信頼性から、多くのデバイスでHDDを置き換える形で普及しています。また、SSDとHDDを併用して、システムファイルや頻繁にアクセスされるデータをSSDに保存し、それ以外のデータをHDDに保存するという使い分けも一般的です
補足3)Samsungが目指している1,000層の「超高層セル」は、3D NANDフラッシュメモリ技術の一環として、2030年までに実現を目標としています。この技術は、記憶密度を大幅に向上させることを可能にし、データストレージの需要に応えるための重要なステップです
現在の技術では、3D NANDフラッシュメモリの積層数は数百層に達していますが、1,000層を超える超高層セルを実現するためには、新たな材料と製造技術が必要です。200層以上の積層がある場合、配線には従来のタングステンではなく、モリブデンを適用する必要があります。これは、モリブデンが600℃以上の高温に耐えることができるためで、この特性はメモリセルの製造過程で非常に重要です
Lam Researchの特殊な装置は、このような高温環境での製造プロセスに対応するために使用されています。エッチング工程では、原子レベルの精度でパターンを加工する必要があり、Lam Researchのプラズマ・エッチング装置は、深く狭い、または短く広いなど、わずか数nmの加工形状を正確に仕上げる高性能、高生産性を提供しています。これにより、高アスペクト比のエッチングや成膜が可能になり、超高層セルの製造に不可欠な技術です
このように、Samsungは1,000層の超高層セルの実現に向けて、モリブデンの使用やLam Researchの装置を活用するなど、先進的な材料と製造技術を駆使しています。これらの技術革新は、将来のデータストレージのニーズに応えるために非常に重要であり、記憶密度の向上と製造コストの削減に寄与すると期待されています
補足4)Lam Researchは、1980年にデイビット・ラムによって設立された半導体製造装置メーカーです。カリフォルニア州フリーモントに本社を置き、半導体エッチング装置の分野ではトップシェアを誇る企業として知られています
同社は、半導体の製造における前工程である基板の洗浄、成膜、フォトマスク転写、エッチング、研磨などを行う装置を製造・販売しており、特に電子部品の小型化・高性能化が進む現在、原子レベルでの非常に細かい精度が求められる工程において、その技術力が高く評価されています
Lam Researchは、成膜装置、エッチング装置、洗浄装置などを取り扱い、装置の設置や生産立ち上げだけでなく、新技術のアップグレードや生産性・歩止り向上のためのソリューション提供、寿命到来資産管理、装置技術トレーニングの提供など、幅広いサービスを提供しています
また、Lam Researchは、微細化技術が求められる半導体製造の課題に対応するため、原子レベルでの製造技術を提供し、全ての革新的な製品について先を見越した技術開発を行っていることで知られています。このように、Lam Researchは半導体製造装置の分野で重要な役割を果たしており、世界中の半導体製造において欠かせない存在です。
説明1)基板の洗浄とは、電子基板からフラックス残渣や樹脂、その他生産工程中に発生する残渣を除去するプロセスです。この洗浄は、基板上に残渣があると、マイグレーションやコーティング不良などが発生し、故障の原因になる可能性があるため、高信頼性を確保する上で非常に重要です。
洗浄剤と洗浄方式の組み合わせによって、様々な方法があります。例えば、水系洗浄剤や溶剤系洗浄剤を使用し、スプレー、超音波、噴流などの方式で洗浄することができます。また、洗浄後は基板を乾燥させることが重要で、スピン乾燥、真空乾燥、温風乾燥などの方法があります
日本では無洗浄ペーストを採用しているケースが多いですが、基板洗浄を行うことで、ワイヤボンディングやコーティングなどの後工程の品質が向上するというメリットもあります。基板洗浄は、製造工程の一環として、製品の品質と信頼性を高めるために不可欠なステップです
説明2)成膜とは、物体の表面に特定の材料を用いて薄い膜を形成するプロセスです。半導体チップ製造においては、基板(ウェハ)の表面に素子や配線の材料となる物質の薄膜を形成する工程を指します1。
成膜にはいくつかの方法があり、それぞれ異なる特性や用途があります。主に以下の2つの方法が知られています:
CVD(Chemical Vapor Deposition/化学蒸着/化学気相成長法):化学反応を利用して物体表面に薄膜を形成する方法です。真空が不要なため、装置がコンパクトで短時間で処理できる利点があります。
PVD(Physical Vapor Deposition/物理蒸着/物理気相成長法):化学反応以外の物理的な現象を利用して物体表面に薄膜を形成する方法です。反応に真空を要するため装置が大掛かりですが、多種多様な基材と薄膜物質の組み合わせに対応できるという利点があります1。
成膜技術は、半導体チップの製造だけでなく、太陽電池、ディスプレイ、センサーなど多岐にわたる分野で重要な役割を果たしています。このプロセスにより、電子デバイスの性能を向上させたり、新しい機能を持たせたりすることが可能になります。成膜は、微細化が進む現代の電子部品製造において、欠かせない技術の一つです。
説明3)フォトマスク転写とは、半導体や電子部品の製造工程で使用される重要なプロセスの一つです。このプロセスでは、フォトマスクと呼ばれる透明な板に描かれた微細な回路パターンを、光リソグラフィ(フォトリソグラフィ)技術を用いてシリコンウェハー上に正確に転写します
フォトマスクは、ガラスや石英などの透明な基板の上に、特定の回路パターンを薄い金属膜(一般的にはクロム)で描いたものです。このパターンは、半導体の心臓部分となる微細な回路を形成するための「型」のような役割を果たします
リソグラフィプロセスの中心部分であるフォトマスク転写では、フォトマスクに描かれたパターンが光を通してウェハーに投影され、感光材(フォトレジスト)が塗られたウェハー上に同じパターンが形成されます。露光によりフォトレジストの現像液への溶解性が変化し、光の当たった部分が除去されるか残存することにより、次のエッチング工程での被加工対象への溶解、除去処理に対するマスクとなります。
このプロセスを通じて、半導体チップの各層が正確に重ねられ、最終的な半導体デバイスが完成します。フォトマスク転写は、半導体デバイスの微細化が進むにつれて、より高精度なフォトマスクが求められる非常に重要な工程です。
フォトマスク転写の具体的な工程を教えてください。
フォトマスク転写の工程は、半導体製造におけるリソグラフィプロセスの中心部分であり、以下のステップで構成されています:
デザイン:コンピュータ支援設計(CAD)システムを使用して、ウェハに描く回路パターンを設計します。
フォトマスクの作成:設計された回路パターンは、純度が高い石英を加工して作った基板の上にクロムで微細回路を形成し、フォトマスクを作成します
感光液の塗布:ウェハ表面に光に敏感な物質である感光液(フォトレジスト)を均一に塗布します。
露光:露光装置(ステッパー)を使用して、フォトマスクに描かれた回路パターンに光を通過させ、ウェハにパターンを転写します。
現像:露光されたウェハに現像液をかけ、光が当たった領域と当たらない領域を選択的に除去し、回路パターンを形成します
このプロセスを通じて、ウェハ表面に細かい回路パターンが焼き付けられ、それが後の半導体製造に使用されます。フォトマスク転写は、半導体デバイスの微細化が進むにつれて、より高精度なフォトマスクが求められる非常に重要な工程です
リソグラフィとは、半導体製造プロセスにおいて核心的な技術で、微細構造をウェハー上に転写するための方法です。この技術は、トランジスタの微細化、回路の高密度化、性能の向上に欠かせません
リソグラフィ工程では、「レジスト」という光に反応する材料を用いて、写真と同様の要領で、シリコン上に微細なパターンを形成します。主に以下の3つの工程から成り立っています:
レジスト塗布:ウェハ全面にレジストを塗布し、露光できる状態にします。
露光:光でレジストを感光させる工程です。
現像:光で反応した部分のレジストを現像する工程です。
リソグラフィ技術には、光リソグラフィ、電子ビームリソグラフィ(EBL)、ナノインプリントリソグラフィ(NIL)など、さまざまな種類があります。光リソグラフィは最も一般的なリソグラフィ技術で、光を利用してパターンを転写します。遠紫外線リソグラフィ(DUV)や極端紫外線リソグラフィ(EUV)などがあり、それぞれ異なる波長を使用しています2。
リソグラフィは、マイクロプロセッサ、メモリーデバイス、CMOSイメージセンサーなど、半導体製造における多くの応用例があります。また、最新技術として、マルチパターン技術やイマージョンリソグラフィがあり、光源の進化も進んでいます。これらの技術は、さらなる微細化、新材料の導入、次世代リソグラフィ技術の研究が進んでいることを示しています
説明4)エッチングは、化学薬品やガスなどの腐食作用を利用して、素材表面を加工する技法です。半導体製造においては、ウェハ上に設計通りの寸法や形状を持つ電路を作るために使用されます
エッチングには主に2つの方法があります:
ウェットエッチング:酸性またはアルカリ性の液体薬剤を使用して、不要な部分を化学反応によって溶解し除去します。この方法はコストが低く、複数の基板を同時に処理できるため、生産性が高いですが、薬剤の取り扱いには注意が必要です。
ドライエッチング:真空環境下でガスをプラズマ化し、イオンを使って不要な部分を物理的に削り取ります。この方法は非常に精密な加工が可能で、微細なパターンの形成に適していますが、コストが高く、装置が複雑です
エッチングは、非接触加工であるため、バリや歪みが発生せず、非常に精密な加工が可能です。これにより、半導体製造においては、微細なトランジスタや回路を正確に形成することができます。また、版画や印刷など他の分野でも活用されています。エッチングは、現代の電子機器製造において不可欠な技術です。
説明5)研磨(けんま)とは、物の表面を滑らかにするために行う加工プロセスです。具体的には、砥粒(とぎりゅう)と呼ばれる硬度が高く微細な粒子を含んだ研磨材を用いて、製品の表面を削り滑らかにしていきます1。このプロセスは、製品の外観を向上させるだけでなく、表面の微細な調整にも効果的で、マイクロメートル単位での精度調整が可能です2。
研磨は、金属製品の仕上げ工程としてよく用いられますが、レンズや石材などの仕上げにも使われることがあります。また、研磨加工は、製品の表面粗さを改善し、真円度や寸法精度を向上させるために、他の加工方法(例えば研削加工)の後工程で行われることが多いです
研磨には様々な種類があり、粗研磨、細研磨、超細研磨などがあります。加工工程には、研磨前処理、研磨本体、研磨後処理などが含まれます。これらの工程を通じて、製品は最終的な仕上がりを得ることができます2。研磨は、製品の品質を高め、長期的な耐久性を確保するために重要な工程です。
補足4)V-NAND(Vertical NAND)は、サムスンが開発した3D NAND型フラッシュメモリの一種で、従来の2D NAND型フラッシュメモリの微細化プロセス技術の限界を克服するために開発されました。この技術は、セルを垂直方向に積み重ねることで、平面上にセル数を増やす従来の方法に比べて、記憶容量を大幅に増加させることができます。
具体的には、V-NANDでは「チャネルホール」と呼ばれる柱を用意し、その柱にドーナツ形のセルを積み重ねていく構造になっています。これにより、セル同士の間隔を広く取り、電気的な干渉を回避しながら大容量化を実現しています。
また、V-NANDは耐久性も向上しており、CTF(Charge Trap Flash)方式のセルを採用しています。これは従来の浮遊ゲート方式のセルと比べて2~10倍の耐久性があるとされています。さらに、エラーを訂正するプロセスが不要になるため、書き換え速度が従来のNANDフラッシュメモリに比べて約2倍にまで向上するというメリットもあります。
このように、V-NANDは大容量、高速性、低消費電力を実現し、SSDなどの記憶装置に広く利用されています。サムスンはこの技術を用いて、今後もデータストレージの需要に応える高性能、高密度の製品を提供していくことを目指しています。
補足5)NANDとは、フラッシュメモリの一種で、データの保存に使用される半導体技術です。NAND型フラッシュメモリは、電源が切れてもデータを保持する不揮発性の特性を持ち、SSDやUSBメモリ、SDカードなどの記憶装置に広く利用されています
NAND型フラッシュメモリは、セルの構成によって「SLC(Single-Level Cell)」、「MLC(Multi-Level Cell)」、「TLC(Triple-Level Cell)」、「QLC(Quad-Level Cell)」といった異なるタイプに分けられます。これらは、1つのセルに保存できるビット数が異なり、それぞれ1ビット、2ビット、3ビット、4ビットを保存できることを意味しています。セルに保存できるビット数が多いほど、記憶密度が高くなりますが、耐久性や書き込み速度に影響を与える可能性があります
NAND型フラッシュメモリは、データの書き込みが高速で、大容量化しやすいという特長があります。また、近年では、メモリセルを縦に積み重ねる3D NAND技術が主流となっており、さらに大容量化が進んでいます
このように、NAND型フラッシュメモリは、現代のデジタルデバイスにおけるデータストレージの中心的な役割を果たしており、その技術は今後も進化し続けることが予想されます。