「東京エレクトロン:半導体業界における革新とAI市場の成長への貢献」

東京エレクトロンは、EUVリソグラフィ技術を含む半導体製造の重要な工程をカバーする装置を提供することで、半導体業界において重要な役割を果たしています。EUVリソグラフィは、7nm以降の微細回路パターンをシリコンウェーハ上に転写するための技術として、2019年にTSMCによって初めて量産投入されました。東京エレクトロンは、EUVリソグラフィに必要な成膜、塗布/現像、エッチング、洗浄の各工程の装置を保有しており、これにより半導体の微細化が進む中で大きな恩恵を受けています。
また、HBM(High Bandwidth Memory)用ウェハを積層するボンディング装置に関しても、東京エレクトロンは大きな市場シェアを持っています。HBMは、AI用GPUの周辺に必ず置かれる特殊メモリであり、AI半導体の性能向上に不可欠です。HBMの増産がAI半導体の増産に直結しており、東京エレクトロンの業績はAI市場の成長と密接に関連しています
さらに、AI市場の拡大は、最先端のAI用GPU、CPU、先端DRAM、HBMなどに半導体製造装置の事業機会をもたらしており、東京エレクトロンはこれらの需要に応えるための製造装置の増産を進めています。これにより、AI市場の成長に伴い、東京エレクトロンの業績も拡大していくと考えられます
このように、東京エレクトロンは半導体製造の各工程において重要な装置を提供し、AI市場の成長と共にその影響力を拡大していることがわかります。EUVリソグラフィ技術やHBM用ボンディング装置の提供により、半導体ノードの進化とAI市場の拡大に貢献しているのです。

EUVリソグラフィ(極端紫外線リソグラフィ)は、半導体チップの製造において、非常に微細な回路パターンをシリコンウェーハ上に転写するための先進的な露光技術です。この技術は、波長が13.5nmの極端紫外線(EUV)を使用しており、7nmノード以下の微細な回路パターンの露光に適しています
EUVリソグラフィは、従来の光リソグラフィ技術と比較して、より短い波長を使用することで高い解像度を実現します。これにより、チップ上のトランジスタ集積率を高め、性能や機能の向上に寄与しています。また、EUV光は物質によって強く吸収されるため、露光プロセスは真空中で行われ、特殊な光学系が必要となります。
EUVリソグラフィの導入は、半導体産業における微細加工技術の進歩を大きく前進させ、最先端の半導体チップの製造に不可欠な技術となっています。この技術により、デジタル社会の発展や安全保障面での国際競争力にも大きな影響を及ぼしていると言えるでしょう
東京エレクトロンは、EUVリソグラフィ技術の開発と普及において重要な役割を果たしています。同社は、EUVリソグラフィに必要な装置・部材を供給することで、次世代半導体微細加工技術の進歩に貢献しており、特に以下の点でその影響力が顕著です:
技術開発のリーダーシップ: 東京エレクトロンは、EUVリソグラフィ技術の研究開発において業界をリードしています。この技術は、従来の光リソグラフィ技術を超える微細なパターンを半導体ウェーハー上に描くことができ、チップの小型化と性能向上を実現します。
装置の供給: 同社は、EUVリソグラフィ向けのコータ・デベロッパ(塗布現像装置)で市場シェア100%を誇ります。これにより、EUVリソグラフィ技術の普及と半導体製造の効率化に大きく寄与しています
工程全般への影響: EUVリソグラフィの導入は、半導体製造の工程全般に技術革新をもたらし、各装置の性能向上にもつながっています。東京エレクトロンは、成膜装置やエッチング装置などの工程への波及効果も見込んでいます
次世代半導体技術への貢献: 東京エレクトロンは、EUVリソグラフィと3D積層技術の開発において、半導体製造業界の技術革新を牽引しています。これにより、より高性能でエネルギー効率の良い半導体の製造が可能になり、スマートデバイスや次世代コンピュータの開発に不可欠な基盤を提供しています
これらの点から、東京エレクトロンはEUVリソグラフィ技術の発展において中心的な役割を担い、半導体産業の新たな地平を切り拓いていると言えるでしょう。EUVリソグラフィ技術の進展は、デジタル社会の発展や安全保障面での国際競争力にも大きな影響を及ぼしています。

東京エレクトロン以外にもEUV技術を提供している企業はあります。現在、EUV露光装置はオランダのASML社がほぼ独占的に供給しており、2023年時点での市場シェアは100%です1。EUV露光装置を使用している主要な半導体メーカーには、TSMC、Samsung Electronics、Intelの3社があります
また、日本企業の中では、ニコンがEUV関連コンポーネントの成長が著しいとされており、特にEUV露光装置向けのマスク検査装置用・光学部品の販売増加が見込まれています。他にも、レーザーテックやアドバンテスト、JSRなどがEUVに付随する事業で収益拡大が期待されています。
これらの企業は、EUV技術の発展とともに、半導体産業の新たな地平を切り拓いており、デジタル社会の発展や安全保障面での国際競争力にも大きな影響を及ぼしています。EUV技術の進展は、今後も注目される分野です。
東京エレクトロンは、台湾に研究開発センターを設立し、クリーンルーム施設の拡張を計画しています。これにより、最先端のプロセスメーカーとの協業が可能になります。エッチング技術の進化は、3D NANDフラッシュメモリなどの3D化が進む半導体デバイスの製造に不可欠です。積層層数が増えると、それに応じて成膜サイクル数とエッチング時間も増加し、結果として必要な装置の台数も増加します。
EUV(極端紫外線)露光装置は、半導体の微細化が進む中で重要な役割を果たしており、その出荷台数が増加することは、東京エレクトロンのような半導体製造装置メーカーにとって大きな恩恵となります。EUV露光装置は、より微細な回路パターンの露光が可能で、半導体の性能向上とコスト削減に貢献します。ASMLなどの企業がEUV露光装置の出荷台数を増やしており、これにより関連する装置・材料メーカーの業績拡大が期待されています
簡単にまとめると、東京エレクトロンは台湾での研究開発センターの拡張により、3D化が進む半導体製造におけるエッチング技術の進化に対応し、EUV露光装置の需要増加から恩恵を受けるトレンドに乗っていると言えます。東京エレクトロンは、半導体製造装置の分野で幅広い製品を提供しています。その製品ラインナップには、以下のようなものが含まれています:
熱処理成膜装置: 半導体ウェハーの表面に薄膜を形成するための装置です。
枚葉成膜装置: 個々のウェハーに対して成膜処理を行う装置です。
ガスケミカルエッチング装置: ウェハーの表面から特定の部分を化学的に除去する装置です。
プラズマエッチング/アッシング装置: ウェハーの表面をプラズマを使ってエッチングする装置です。
テストシステム: 半導体デバイスの性能を試験するための装置です。
また、東京エレクトロンはリソグラフィー装置や洗浄装置、テスト装置など、半導体製造のあらゆる工程をカバーする製品を提供しており、物理気相成長(PVD)、化学気相成長(CVD)、分子ビームエピタキシー(MBE)装置なども含まれています
これらの製品は、半導体デバイスの微細化が進む中で、より高性能で効率的な製造プロセスを実現するために不可欠です。東京エレクトロンは、その革新的な技術と製品で、グローバル市場において重要な役割を果たしています

補足1)エッチング
エッチングは、半導体製造において非常に重要な工程の一つで、ウェハー表面の不要な部分を取り除き、必要な回路パターンを形成するために使用される技術です。具体的には、以下の二つの主要な手法があります:
ウェットエッチング: これは化学薬品を使用してウェハー表面の材料を溶解する方法です。この手法はコストが低く、大量生産に適していますが、精密な加工が難しいという欠点があります
ドライエッチング: こちらはプラズマを使用してウェハー表面の材料を除去する方法で、非常に精密な加工が可能です。ドライエッチングは、ウェットエッチングよりも高いコストがかかりますが、微細なパターンの形成に適しており、現代の半導体製造では主流の手法となっています
エッチングには「等方性エッチング」と「異方性エッチング」という二つの異なる特性があります。等方性エッチングはすべての方向に均等に材料を除去するのに対し、異方性エッチングは特定の方向にのみ材料を除去します。異方性エッチングは、より複雑で精密な半導体デバイスの製造に不可欠です
エッチングは、半導体デバイスの性能を向上させるために必要な微細な構造を作り出すために使用され、その精度と効率は半導体産業における技術革新の鍵となっています。特に、3D NANDフラッシュメモリのような高密度記憶デバイスの製造において、エッチング技術の進歩は非常に重要です。
補足2)シリコンウェーハ


シリコンウェーハは、半導体デバイスの製造に不可欠な基板材料です。これは高純度の珪素(シリコン)から作られた円形の薄い板で、以下の特徴を持っています
高純度: シリコンウェーハは非常に高い純度のシリコンで作られており、不純物が極めて少ないです。
平坦性: 表面は鏡面仕上げがされており、微細な凹凸や微粒子を排除して超平坦に保たれています。
サイズ: 一般的なサイズは150 mm(6インチ)、200 mm(8インチ)、300 mm(12インチ)で、大口径化が進んでいます。
用途: シリコンウェーハは集積回路(IC、またはLSI)の製造に最も多く使用されています。
製造プロセスは、シリコンのインゴットを厚さ1 mm程度にスライスし、その表面を丁寧に研磨、洗浄することで完成します。このウェーハにアクセプターやドナーとなる不純物導入や絶縁膜形成、配線形成をすることにより、半導体素子を形成することができます
シリコンウェーハは、私たちの日常生活で目にすることはありませんが、スマートフォン、パソコン、タブレット、家電製品、自動車など、あらゆる電子機器に搭載されている半導体の製造に欠かせない材料であり、技術革新の進展に伴い、その重要性はますます高まっています

補足3)先端DRAM
先端DRAM(Dynamic Random Access Memory)は、高速で大容量のデータアクセスを可能にする半導体メモリの一種です。DRAMは、データを一時的に保存するために使用され、コンピュータやスマートフォンなどの電子機器に広く利用されています。先端DRAMは、以下のような特徴を持っています
高密度: 先端DRAMは、微細化技術の進歓により、より多くのデータを小さなチップ上に保存できます。例えば、Micron Technologyは1β(ベータ)プロセス製造のDRAMを量産し、容量密度を35%向上させました5。
高速アクセス: 新しいプロセス技術により、データの読み書き速度が向上しています。例えば、Micronの1βプロセス製造のDRAMは、転送速度が8.5Gbpsに達しています
低消費電力: 先端DRAMは、従来のDRAMに比べて電力効率が良く、バッテリー駆動時間の延長に貢献します。Micronの1βプロセス製造のDRAMは、電力効率が15%向上しています。
3次元積層: TSV(Through-Silicon Via)技術を使用して、複数のDRAMチップを3次元的に積層することで、性能を向上させ、さらに低消費電力と小型化を実現しています
これらの進歓は、エッジからクラウドに至るまでのインテリジェント化の普及とともに、大量のデータを消費するスマート機器やシステム、アプリケーション間でより消費電力効率の高いデータフローを実現するために重要です。先端DRAMは、技術革新の最前線であり、今後もその進歓が期待されています。
半導体ドラムメーカーは?
トップのSamsung、Hynix、Micronのそれぞれのシェアは、43.6%、27.7%、22.8%となっており、その他は5.9%しかない。 2021年におけるSamsungのDRAM売上額は419億ドルで、プロセス的にも先頭を行く

DRAM(Dynamic Random Access Memory)は、パソコンのメインメモリとして使用される揮発性の半導体メモリです。電源がオンの間だけデータを保持し、パソコンが実行中のプログラムや現在処理しているデータを一時的に保存する役割を果たします。DRAMは、トランジスタとコンデンサーを組み合わせてデータを記録し、定期的なリフレッシュを必要とする特性があります。
パソコンでは、DRAMは以下のような箇所で使用されます:
メインメモリ: オペレーティングシステム(OS)やアプリケーションが動作する際の作業スペースとして機能します。
キャッシュメモリ: CPU近くに配置され、プロセッサの高速アクセスを可能にするために使用されることもありますが、この場合は通常SRAM(Static Random Access Memory)が使用されます。
DRAMとSRAMの違いは、DRAMがデータのリフレッシュが必要なのに対し、SRAMはリフレッシュ不要でデータを保持する点です。SRAMはより高速で消費電力が少ないため、CPUのキャッシュメモリとして好まれますが、コストが高く、大容量化が難しいため、メインメモリにはDRAMが一般的に使用されます。
DRAMの規格には、SDRAM、DDR SDRAM、DDR2 SDRAMなどがあり、それぞれデータ転送速度や性能が異なります。現在主流の規格はDDR4 SDRAMで、これは「Double Data Rate」の略で、クロック信号1周期あたり2回のデータ伝送が可能です。異なる規格のDRAM間には互換性がないため、アップグレード時にはマザーボードの交換が必要になることがあります。
要するに、DRAMはパソコンのメインメモリとして重要な役割を担い、プログラムの実行やデータ処理の速度と効率を大きく左右する部品です。そのため、パソコンの性能向上には、高速で大容量のDRAMが不可欠となります。また、新しい規格のDRAMへのアップグレードは、パソコンの全体的なパフォーマンス向上に寄与するため、適切な規格と容量の選択が重要です。

補足)NANDフラッシュメモリ
NANDフラッシュメモリは、電源がなくてもデータを保持できる不揮発性の半導体メモリです。主にデータストレージデバイスに使用され、以下の特徴を持っています123:
大容量: 高集積化により、大容量のデータを保存できます。
高速書き込み・消去: データの書き込みや消去が高速に行えます。
コンパクト: 回路規模が小さく、コンパクトな設計が可能です。
コスト効率: 容量あたりの単価が安く、大量生産に適しています。
NAND型フラッシュメモリは、USBメモリやSDカード、SSD(ソリッドステートドライブ)などの記憶媒体に広く利用されています。また、スマートフォンやデジタルカメラ、ナビゲーションシステム、ドライブレコーダーなど、多岐にわたるデバイスに搭載されています。
さらに、クラウドストレージやIoTデバイス、自動運転システム、5G通信対応機器など、新しい技術領域での需要も高まっており、市場での拡大が期待されています1。
NAND型フラッシュメモリの進化形として、3D NANDがあります。これはメモリセルを垂直に積層することで、さらに大容量化を実現し、コストを削減する技術です。この技術により、今後のフラッシュメモリ市場をけん引する存在として注目されています


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