ベッドに素肌で眠る夜
Webライターラボのコラム!
今月も参加させていただきます。
わたしにはふたりの娘がいます。
8歳と4歳。
子育ての経験がある方なら年齢を見て「そろそろ育てるのが楽な時期だな」と思われる年頃ではないでしょうか。
実際、上の子は親が手を出さなくても大体のことはできます。
下の子も言葉で言って我慢したり理解したりができるようになりました。
でもうちの子たちにはたったひとつ弱点があります。
それは夜泣き。
就寝中にいきなりギャン泣きする時限爆弾です。
上の子は5歳まで。下の子は今もたまに……
ある日のこと、夕食の途中で眠ってしまった下の子。
ぐっすりすやすや眠っていて朝までイケそうだなとほくそ笑む母。
母を独り占めできるとニヤける上の子。
ジムに行って戻らない夫。
すべてが完璧な夜でした。
家事を片付け、上の子に夜おやつを食べさせ、わたしの時間。
たまにはゆっくりお風呂に入りたくてお気に入りの入浴剤を用意!
上の子には「妹が起きたら教えて。たぶんないと思うけど」と言い置いて、浴室へ。
誰にも邪魔されない至福。
いいぞいいぞ幸せだ。
そのとき……
「おかーさん妹起きた! 泣いてる!」
まさかの夜泣き。
このタイミング。
あわてて浴槽を飛び出すと上の子がギャン泣きしている妹をかついで現れたのです。
取るものも取らず、とはまさにこの状態。
体の水分もそのままに泣きじゃくる我が子を抱き上げあやすしかありません。
夫も不在で抱っこを代わってくれるひともいないなか、揺らしながら泣き止むのをひたすら待つだけ。
夜泣きは脳が寝たまま泣いていることが多く、問いかけや説明も通じません。
拭きそこねた体の水分が下の子のパジャマをじんわりと湿らせて、ただただ不快感だけが広がっていくなか、やっと寝てくれた下の子。
服を着ようにも抱っこのままではなにもできず、仕方なく寝室へ。
ベッドに寝かせてもしばらくはむずかる娘の背中を撫でつづける時間、わたしは当たり前のように全裸。パンツさえもない。
素肌にシーツの柔らかさと、なにも身につけていない心もとなさを感じながらわたしはじっと寝付くまで待っていました。
解放されて全裸でコソコソ浴室へもどったときには体はすっかり冷えきり、至福のバスタイムは夢幻にさえ感じます。
次の朝、おままごとの動画を見ていた下の子が言いました。
「おかあさん見て、この子育てめっちゃリアルだよ」
いやいや娘よ。
子育てはライブに限る。
動画では体験できない有象無象のあれこれを味わえるのだから。
子育てはその極地。
想像だにしないことが次から次に押し寄せてくる。
四十路を目前にして素肌でシーツに横たわる心もとなさを教えてくれたし、風呂上がりの多幸感も一瞬でかき消された。
ぜひ子育てはアーカイブではなくライブで体験してくれ、娘よ……
Discord 綾瀬そら
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