エピソード1 『出向制度』の蜜と罠
30年も同じ会社に勤めている私は、3度の出向経験がある。「出向」に対してはネガティブなイメージもあるかもしれないが、同じ会社にいながら、3回も転職したかのような企業風土の違いや職種を経験し、より多くの人たちとのつながりができたことは、とても大きな財産である。今でもそれぞれの会社での集まりに声をかけていただけることは本当にありがたい。
原籍と同じ職種でも、会社の成り立ちが違うと全く違う仕事になり、もたらされる効果も結果も全然違う。自分にとっても会社にとっても、新しい発想や新しい取り組みが生まれやすくなる。人事部が定義する「出向の目的」にある通り、グループ間の交流と豊かな経験、生まれるイノベーション、スキルアップが達成できる素晴らしい制度である。出向しないなんてもったいない!!
しかし、、、、 ここにはちょっとした秘密の罠があるらしい。
出向するとき、又は原籍に戻る時、役割が上下する。最初に出向したとき役員部長になり、経営を担うものとして一生懸命頑張るものの、異動の一声で原籍に戻り一担当者になる。これが嫌で、役員の出向者は原籍に戻りたがらない、、、みたい。
次に出向したとき、今までの経験を活かした仕事でそこそこ新しい取り組みを続けて重宝がられる。と思いきや、今までに見たこともない低い評価・・・。プロパー部長よりも私の方が給料が高かったのが面白くなかったらしい。最終評価者の上司が、出向者かプロパー社員かで大きく変わる。
3度目の出向では、原籍の時と同じ部長でもグループ会社の部長は1ランク下の役割と決まっているので、、、。ってそんな説明あるんかい?!この仕事、ほぼ私が会社を回している状態のようですが、これは会社の役割が下、ということですか?私が何か失敗したのでしょうか?
一度出向の経験があると、次も名前があがりやすいらしい。そのたびに役割が上下して、結局一度も出向していない人とは大きく差がついているこの現実。出向は回り道???
出向制度の蜜と罠。 出向って、人の価値を上げるもの?さげるもの?