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僕の恋人

〜愛しい人よ、泣かないで〜②


「私、ファンタジーが描きたいの、読んでくれた人が温かい気持ちになれるような、、、」
美沙子はそう言うと僕の頭を優しく撫でた。


「でもダメね、、、なかなか描けないの。ねぇユウタどう思う?才能ないのかな、、、私」

ユウタとは、美沙子がつけてくれた僕の名前。

夕暮れ時に出会ったから、と単純、、、。

だけど僕は好きだな。美沙子が描く物語。

あの、なんだっけ?人魚姫のひかる?あれ僕好きだよ。
美沙子の頭の中は、ファンタジーに溢れてる。
でも美沙子自分じゃ気づいてないんだよ。


いっぱい傷ついてきたから見える世界が、他の人間とはちょっと違うんだな。
美沙子は消極すぎるからなかなか認められないけど、僕はいつも思うんだ。

美沙子ならすごい小説家になるよ!
僕が言ってるんだから間違いない。


「迷子の迷子の子猫ちゃん、あなたのお家はどこですか?」いつも僕に歌ってくれるんだ。

迷子の子猫ちゃんはどうなったの?
僕は美沙子の頬に肉球を当てて聞くんだ。

「迷子の子猫ちゃんはね、犬のおまわりさんのおかげでママに会えたんだよ」嬉しそうに
美沙子は言う。

その顔が見たくて僕は何度も言わせてるんだよ。

でも、ちょっと違うな。
ママに会えたんだよって、僕は美沙子に会えたんだよ。


わかってるけど、わざと僕聞くんだ。
美沙子の嬉しい顔が見たいから。


僕は知ってるんだ。

美沙子のいろんな顔。
怒ったり笑ったり、泣いたり僕に見られてないって思ってるけど、全部僕にはお見通しなんだよ。


だって美沙子って、僕の前でしかいろんな顔見せてないからね。
きっと会社では黙々と仕事をしてるんだろな。


でも帰ってくると「ユウタただいま!寂しかったでしょう?大好きだよ❤️」って、僕をぎゅーってしてくれるんだ。


僕もそんないじらしい美沙子が大好きだー❣️

続く。


kaoruko_days
僕の恋人
〜愛しい人よ泣かないで〜

今日もお疲れ様でした。
ゆっくりおやすみください。





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