10:ゲイのおじさんが40歳で女友達と結婚して子供を作り、ゲイを隠さないまま暮らしているという話・東京タワーは本当に赤いのか?
「私、NYで暮らすことにしたの」
「俺、沖縄に帰省する事にしたよ」
身の周りの環境が大きく変わることはない。
家族のようなコミュニティーができたことで、勝手にそう思い込んで安心していた。
でもそんなことがあるはずがない。
物凄いスピードで世の中は動いている。東京に住んでいる僕はそのスピードを肌で感じていた。だからかな?安心感を与えてくれる家族のようなコミュニティーで過ごす時間が本当に心地よかった。
そんな中、姉のように慕っていた友人マオ、そしていつも一緒にいた相棒のような同年代の友人カズ、10数年一緒に過ごしてきた友人達が東京を去ることになった。
2人とは定期的に会っていたので、そうなることは何となく分かっていた。
やんわり引き留めてみようかな?
東京で一緒に暮らせるようアイデアを提案してみようかな?
色々考えたりしてみたけれど、彼らの意思を尊重するとそんな事はできなかった。その反面、新しい事にチャレンジをする、新しい環境に飛び込んでいく友人達の決断をとても誇らしく思った。
永遠の別れではない!会おうと思えばいつでも会える!
現実はもう何年も会えなくなると分かっていながら、何度も何度も自分にそう言い聞かせて笑顔で2人を送り出した。
自分も何か大きなことにチャレンジする時期なのか?
環境を変える時期なのか?
いつも一緒にいた2人との別れは、自分の生き方を変えるターニングポイントのような気がして、ぼんやりと考えるようになった。
プライベートで大きな変化があったように、仕事の面でも大きな心境の変化があった。
20代から仕事第一に生きてきた。それは30代、そして40歳になった頃も変わりなしなかった。それどころか、まだ足りない!もっともっと!と更に自分に鞭打つようになっていた。
特に30代後半からは人の上に立つことが増えた。その分責任も重大になってくる。普段はあまり出ることのない“負けず嫌い”“ゲイとして舐められるわけにはいかない”という思いがどんどん表に出てくるようになっていた。
朝起きて会社に出社。
上司から命じられたミッションを自分なりに解釈し、部下に色々な指示を飛ばす。「このやり方が一番確実だから、指示した通りにやって」
ビジネスマンとして油がのってくる時期。
自分のキャリアやスキルに自信があったこの頃の僕は、“自分の考え方こそが正しい”そんな風に思っていたのかもしれません。
会社でイキリ倒した後、一人ぼっちで遅くまで残業。
深夜に帰宅し、BGM代わりにTVを付け、買ってきた夕食をとり就寝。
休日も仕事をしていたため、ほぼ毎日こんな生活を送っていた。
家族のような友人たちとは、深夜にあったり、家に泊まりにきてもらったり、珍しく日曜日休める時には集まったり、そんな頻度で会っていた。
しかし40歳を迎えた頃、ふと思った。
「今日仕事で指示した方法は、本当に最善の方法なのか?」
自問自答ってやつ。
「今日指示したデザイン、着丈は本当に正しいのか?」
「今日作ったビジュアルは本当に新しい最新にものなのか?」
初めは仕事に対しての自問自答だった。
もちろん職場ではそんな不安なそぶりを見せるわけにはいかない。
リーダーはいつも明確なビジョンを持っていて、揺るぎない存在でなければならない。(今はすぐに若い子に聞いちゃいうようになりました)そうしなければすぐに舐められる!足元すくわれる!!
誰に聞いたのか、どこで読んだのか?
自問自答をしながらいつも強くあろうとしていました。
しかし徐々に僕の思考がこの自問自答に蝕まれていく事になりました。
「今日食べた昼食は本当に美味しかったのか?」
「今日は本当に寒かったのか?」
・・・・・・・・・・・
「あらゆる僕の判断基準は正しいのか?」
身の回りの変化に加え、突如起きた心境の変化。
40歳になった今、僕こそ今生活スタイルや環境を変える必要があるのではないか?
揺るぎない自信を持っていた「仕事」と「プライベート」がぐらついたことで大きな不安を抱えていた僕に追い打ちをかけるように、この頃芸能界で大きな事件が起きた。
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