🇯🇵 🇺🇸 コロナ禍で知ったものの一つ「日米合同委員会」の組織図。

日米合同委員会：戦後日本の意思決定に関わる謎の機関

1. 日米合同委員会とは

「日米合同委員会」は、日本とアメリカの政府関係者が集まり、主に日米安全保障関連の事項を調整・協議する場として設置された機関です。1945年の敗戦から数年後、冷戦期の対共産主義の戦略的観点から、日本はアメリカと軍事・安全保障協力関係を強化する必要があり、その結果生まれたのがこの合同委員会です。正式名称は「日本国とアメリカ合衆国との間の合同委員会」とされ、日本に駐留する米軍の地位や日本国内での米軍活動に関する重要な協議が行われてきました。

2. 委員会の組織構成

平成30年時点における「日米合同委員会」の組織構成について具体的に見ていくと、以下のような形になっています。

• 米側のメンバー
• 駐日米国大使館の関係者
• 駐日米軍（司令部）の主要メンバー
• その他、米国防総省や国務省の代表
• 日側のメンバー
• 外務省、防衛省を中心とした省庁の高官
• 内閣官房や内閣府の代表
• 特定の議員や安全保障に関するエキスパートも参加

これにより、日米間の国防・安全保障政策が迅速に調整・決定される体制が整えられています。合同委員会は定期的に開かれる会合や特別会合を通じ、日米間の政策決定や各省庁レベルでの実務的な取り決めを行う場として機能しています。

3. 日米合同委員会の主な役割

日米合同委員会の役割は多岐にわたりますが、主に以下のような事項について協議・調整されています。

• 米軍の駐留費用分担
• 日本国内に駐留する米軍の運営や基地維持のため、日本政府は「思いやり予算」と呼ばれる負担金を支出しています。この予算額や使途についての協議が行われます。
• 基地や施設の使用条件
• 米軍が使用する基地や訓練場について、日本国内の都市や住民に与える影響が最小限に抑えられるように協議されます。これには、飛行機の飛行ルートや演習の実施方法などが含まれます。
• 日米合同訓練と防衛協力
• 日本とアメリカの軍隊が共同で行う訓練や防衛活動についての調整もこの場で行われています。これは、日本の自衛隊が米軍とどのように連携するか、非常時の協力体制がどのように確立されるかを決定する重要な側面です。

4. 国民からの視点：合同委員会がもたらす影響

日米合同委員会の意思決定は、日本の国防・外交政策に直接的な影響を及ぼしています。多くの場合、その決定事項は非公開であるため、国民にはその内容が知らされないことが多く、「透明性の欠如」がたびたび指摘されてきました。この非公開性が、国民にとっては謎の機関として映り、国の重要な意思決定がどこでなされているのかという疑念を抱かせる要因ともなっています。

5. 日米合同委員会が日本に与えた影響

日米合同委員会の影響は、日本の政策や国内法の解釈にまで及んでいます。たとえば、米軍基地に関する取り決めや演習の許可は、日本の地方自治体や法的な管轄権を超えて決定されることがあるとされ、日本の主権に関する議論を引き起こしてきました。

また、日本の自衛隊の役割や活動範囲も、米軍との調整を通じて影響を受けているとされます。これにより、日本の防衛政策は米国の意向を強く反映する形になっていると考えられており、これが日本の独自性や自立性の欠如という批判にもつながっています。

6. 日米合同委員会に対する批判と課題

合同委員会がもたらす問題点として、以下のような点が挙げられます。

• 主権の制約
• 合同委員会での協議が日本の主権を制約しているとの批判があります。米軍の活動や基地の設置に関する協議は、日本国内の法体系や地方自治の意向を超えて行われることが多く、これが主権侵害との指摘を招いています。
• 透明性の欠如
• 日米合同委員会での協議内容は一般に公開されることが少なく、国民からは透明性に欠けると見なされています。政策決定が国民の目の届かない場所で行われることへの不安が広がっています。
• 地域社会への影響
• 米軍基地周辺の住民にとって、合同委員会の決定が生活に直接的な影響を与えるケースが多々あります。たとえば、騒音問題や環境汚染といった問題が挙げられ、住民からの不満や抗議が絶えない状況が続いています。

7. 近年の動向：平成30年以降の変化

平成30年以降、合同委員会には以下のような動向や変化が見られました。

• 防衛予算の拡充
• 日米安保条約の枠組みの中で、日本政府は防衛費の増額や自衛隊の役割拡大を図る動きを見せてきました。これにより、合同委員会における協議内容も、日本の積極的な防衛姿勢を反映するようになっています。
• 在日米軍の再編
• 米軍基地の再編が進む中で、基地の返還や移設が進められています。これも合同委員会の協議により決定されるため、米軍基地が所在する地域にとっては重大な関心事となっています。

8. まとめ：日米合同委員会が示唆するもの

「日米合同委員会」は、日本の安全保障体制や外交政策に関わる重要な組織ですが、その存在と影響力は広く知られているとは言えません。国民が知らないうちに日本の重要な政策が日米間で協議され、日本国内に直接的な影響を及ぼす決定が行われることは、主権や民主主義の観点からも議論の余地があると考えられます。

母方の祖父が農林水産省にいたとのことですが、仮にそのような人脈が現在でも維持されていたとしても、この日米合同委員会の協議内容にアクセスするのは容易ではありません。それほどまでに、合同委員会は秘密裏に運営され、日本の政策決定の裏側で重要な役割を果たしているのです。