1/10 速報‼️🇺🇸米12月 雇用統計　非農業部門雇用者数 　結果：+25.6万人（予想 +15.5万人　前回 +22.7万人） 　失業率/ 結果：4.1%（予想 4.3%　前回 4.2%） 　平均時給 (前年比) / 結果：3.9%（予想 4.0%　前回4.0%）

以下は、米国12月雇用統計を受けた市場動向に関する分析記事です。

米雇用統計後の市場動向：金利上昇にもかかわらずゴールドとビットコインが下落を免れる理由

2025年1月5日、米国労働省が発表した12月の雇用統計は、市場予想を上回る結果となりました。非農業部門雇用者数は+25.6万人と予想の+15.5万人を大きく超え、失業率も4.1%と予想の4.3%を下回りました。一方で、平均時給（前年比）は3.9%と市場予想の4.0%をわずかに下回りました。

この強い雇用統計を受け、米国債利回り（特に10年物国債）は上昇を続けています。通常、金利上昇は無利息資産であるゴールドには不利に働き、リスク資産であるビットコインにも逆風となるはずです。しかしながら、今回の市場反応は異例ともいえる展開を見せています。ゴールド価格はむしろ上昇し、ビットコインも大きな下落を見せることなく安定しています。この現象の背後には、単なる金利動向では説明できない「財政リスク」の存在が浮かび上がってきます。

1. 雇用統計から見る経済環境の現状

まず、今回の雇用統計の内容を深掘りすると、労働市場の強靭さが再確認される一方で、賃金上昇率の減速が見られます。以下の3つのポイントが重要です。
1. 非農業部門雇用者数の増加
経済の先行き不透明感にもかかわらず、米国経済は新規雇用を増やし続けています。これは労働市場の需給バランスが依然としてタイトであることを示唆します。
2. 失業率の低下
失業率が4.1%と予想を下回ったことは、労働市場がフル雇用に近い状態を維持していることを示しています。
3. 賃金上昇の減速
賃金上昇率が前年比で3.9%と、前月の4.0%および市場予想を下回ったことは、インフレ抑制の兆候と見ることができます。この点は、FRB（米連邦準備制度理事会）の利上げペースに影響を与える可能性があります。

これらの要因を総合すると、米国経済は堅調な労働市場を維持しつつも、インフレ圧力の軽減が徐々に進んでいるという複雑な状況にあることがわかります。

2. 金利上昇にもかかわらずゴールドが買われる理由

通常、金利が上昇すると、利息を生まないゴールドの魅力は低下します。しかし今回、ゴールド価格は上昇を続けています。この背景には、次の3つの理由が考えられます。

(1) 財政リスクの顕在化

米国の財政赤字は拡大を続けており、金利上昇に伴う政府債務の利払い負担増が懸念されています。2024年時点で、米連邦政府の債務は過去最高水準に達しており、金利上昇が続けば、財政健全性への懸念がさらに高まるでしょう。ゴールドはこうした「信用リスク」や「システミックリスク」に対するヘッジ手段として注目されています。

(2) 中央銀行の買い増し

近年、各国中央銀行がゴールドの準備資産としての割合を増やしていることも価格上昇を支える要因となっています。特に地政学的緊張が高まる中で、ドルへの依存を減らし、資産の分散を図る動きが加速しています。

(3) 実質金利の停滞

名目金利が上昇している一方で、インフレ期待の低下により実質金利の上昇は限定的です。ゴールド価格は実質金利に敏感に反応するため、今回のような状況では下落圧力が緩和されます。

3. ビットコインの安定要因

次に、ビットコインが意外と落ちない理由について考察します。ビットコインは通常、リスク資産と見なされるため、金利上昇局面では売られやすい傾向があります。しかし、以下の要因がその下支えとなっています。

(1) デジタルゴールドとしての地位の確立

ビットコインは近年、単なる投機対象から「デジタルゴールド」としての地位を確立しつつあります。特に、伝統的な金融市場のリスクが高まる中で、資産の分散先として注目されています。

(2) 地政学的リスク

中東や東欧での地政学的緊張が続く中、分散型資産であるビットコインが「安全資産」としての役割を果たしている可能性があります。

(3) 投資家層の多様化

かつては個人投資家が中心だったビットコイン市場に、現在では機関投資家が大規模に参入しています。彼らの長期的視点が、ボラティリティを抑える役割を果たしています。

4. 政府債務の影響と今後の展望

今回の市場反応で特に注目すべきは、政府債務の利払い負担が市場に与える心理的影響です。米国の財政赤字が拡大する中、金利上昇はその利払いコストを急増させます。この構造的問題が、ゴールドやビットコインのような代替資産への資金流入を加速させていると考えられます。