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昨日のゴールドマンサックスのレポート読み解きに続き、セコイアのAIに関する記事の読み解きをしました。
昨日のゴールドマンサックスのレポート読み解きに続き、セコイアのAIに関する記事の読み解きをしました。
(概要を下記しますので、全文はコメント欄のリンクにて)
セコイアの衝撃的なレポート:「AIの900兆円(6000億ドル)の問い」を読み解く
(導入部、略)
セコイアのレポートが伝える主要メッセージ
1. AIの収益ギャップ:6000億ドルの問い
まず、セコイアが指摘しているのは、ずばり、AIによる収益が上がっていない、投資と収益の間に大きなギャップが発生しているという点だ。そして、このギャップをもとに、「AIブーム」が過熱しているとし指摘し、持続可能性に疑問を投げかけている。
「現在この分析を再度行うと、結果は次の通りです。AIの2000億ドルの問いは、今や6000億ドルの問いとなりました。この数値を計算するのは簡単です。Nvidiaの収益予測(ランレート)を基に、それを2倍にしてAIデータセンターの総コストを反映させます(GPUは総コストの半分を占めます。他の半分は、エネルギー、建物、バックアップ発電機などです)。さらに、その数値をもう一度2倍にして、GPUのエンドユーザー(Azure、AWS、GCPでAIコンピュートを購入するスタートアップや企業)の50%の粗利を反映させます。」
要するに、今、AIに対して行われている投資の総額2000億ドル(日本円で300兆円)に対して、AIクラウドサービス(要するにデータセンター)の利益や、AIソフトウェアの利益を考慮すると、本来3倍程度、6000億ドル(日本円で900兆円)のリターンがあるべきだと。そこが全然見えていないと指摘しているのだ。
このようにセコイアは、AIインフラ投資が膨大である一方で、その投資が実際の収益に結びついていない現状を鋭く批判している。
2. GPUの供給改善と価格調整の必要性
次にセコイアが指摘しているのは、GPUの供給不足の解消だ。2023年はGPUが大きな供給不足に陥ったが、現在は改善しており、むしろ、やや供給過剰気味になっているという。この供給過剰により、市場のバランスが崩れ、価格が下がる可能性を指摘している。
引用
“Late 2023 was the peak of the GPU supply shortage. Startups were calling VCs, calling anyone that would talk to them, asking for help getting access to GPUs. Today, that concern has been almost entirely eliminated. For most people I speak with, it’s relatively easy to get GPUs now with reasonable lead times.
…Stockpiling hardware is not a new phenomenon, and the catalyst for a reset will be once the stockpiles are large enough that demand decreases.”
「2023年後半はGPU供給不足のピークでした。スタートアップは、VCやあらゆる関係者に助けを求め、GPUを確保しようとしていました。しかし今日では、その懸念はほぼ完全に解消されています。私が話すほとんどの人にとって、合理的なリードタイムでGPUを入手することは比較的容易になっています。…ハードウェアの備蓄は新しい現象ではありませんが、需要が減少するほどストックが増加すれば、市場の調整が始まるきっかけとなるでしょう。」
要するに、いままで供給不足、需給ギャップが解消されることで、クラウドも、アプリケーションも含めた、AIサービス全体の供給が増え、値崩れが起きるのではないかと指摘しているのだ。
3. 投機的投資熱と「価値の焼却」
そして最後にセコイアが指摘しているのは、AIブームに伴って投下された資本は、実は、きわめて陳腐化しやすいものであるという指摘だ。例えば、過去に起きた鉄道の投資ブームなどと違って、AIは技術革新のペースが速い。今日投資されたハードウェアやソフトウェアは、数年後には無価値になっている可能性があると指摘しているのだ。
引用
“Nvidia announced their B100 chip, which will have 2.5x better performance for only 25% more cost. This will lead to more rapid depreciation of the last-gen chips. Because the market under-appreciates the B100 and the rate at which next-gen chips will improve, it overestimates the extent to which H100s purchased today will hold their value in 3–4 years.”
「Nvidiaは、性能が2.5倍向上し、コストがわずか25%増加するB100チップを発表しました。これにより、前世代のチップの価値がさらに急速に減少するでしょう。市場はB100と次世代チップの進化速度を過小評価しています。そして、現在購入されるH100が3~4年後にどの程度の価値を維持するかを過大評価しています。」
要するに、技術革新のスピードが速すぎて陳腐化していくと指摘している。ある種、このAIゲームに参入するために大枚をはたいているが、その実、その入場券は、どんどん安くなっているのであると指摘している。そして、さらに、過去の歴史を紐解いて次のように指摘している。
引用
“Speculative investment frenzies often lead to high rates of capital incineration. The Engines that Moves Markets is one of the best textbooks on technology investing, and the major takeaway—indeed, focused on railroads—is that a lot of people lose a lot of money during speculative technology waves.”
「投機的な投資熱は、多くの場合、高い資本の消失率を引き起こします。『The Engines that Moves Markets』は技術投資に関する最高の教科書の1つであり、その主な結論は—実際に鉄道産業に焦点を当てていますが—技術の投機的な波の中で多くの人々が多額の資金を失うということです。
(後略)
全文はコメント欄より。