🚗「脱炭素の救世主」電気自動車はなぜ失速したのか　フォルクスワーゲンの失速で分かった普及への高い壁（東京新聞）て本当？

フォルクスワーゲン（

VW）の失速について、電気自動車（EV）戦略の視点から分析する報道が注目されていますが、その原因と背景は多岐にわたる複雑な要因によるものです。特に、メディア報道が強調するEVへの過剰投資が原因であるとの見方が広がっていますが、実際の問題はそれだけではなく、主に中国市場での競争力低下やその他の経済的要因が絡み合っているようです。

1. メディアの報道状況
まず、欧州各国の主要紙や米国の大手メディアは、VWの工場閉鎖や業績悪化について報じているものの、それを電気自動車（EV）戦略と直接結びつけて論じている報道は少ないという点が指摘されています。特に、New York Timesなどの米紙では、EVに関する言及は数行にとどまり、欧州のメディアでも同様の扱いです。EVの過剰投資による影響を前面に出した報道は限定的です。  
一方で、Bloombergなどのビジネス関連メディアは、VWの苦境を電気自動車だけではなく、主に中国市場での販売不振や国内の空洞化に対する懸念とも関連付けて報じています。これにより、VWの問題は単なるEVへの過剰投資に限定されないことが明らかです。

2. 中国市場での失速
VWの最大市場である中国では、過去5年間で販売台数が大幅に減少しています。2018年の販売台数は432万台でしたが、2023年には323万台まで落ち込みました。これは100万台もの減少に相当し、中国市場での競争力低下が主要な原因とされています。中国市場では、特に地元の自動車メーカーが積極的にEV戦略を展開しており、VWはその競争に遅れを取っているとみられます。  
中国のEVメーカーは、バッテリー技術の進化や価格競争力、充電インフラの整備などで大きな優位性を持ち、政府の支援も相まって市場シェアを拡大してきました。VWはEV戦略への注力が不十分だったと批判されており、特に中国市場での競争力低下が痛手となっています。

3. 労働力の増加と効率の問題
VWは、販売台数が増加しない一方で、従業員数を増加させ続けてきました。これは、労働組合との関係もあり、なあなあのままにしてきた結果だと考えられます。写真や統計データを確認すると、VWが収益性の低下にもかかわらず、大規模な労働力を維持してきたことが明らかです。この「非効率な人員増加」が、長期的なコスト増加を招き、企業の競争力に影響を及ぼしたことは否定できません。

4. EV戦略の敗北か、力の入れ方の問題か
一般に、VWの失速はEVへの過剰投資が原因とされることが多いですが、実際には「EV戦略の敗北」というより、「EVへの力の入れ方が足りなかった」ことが原因だと見られています。中国市場では、地元メーカーが急速にEVシフトを進め、政府の強力な支援を受けながら市場シェアを拡大しました。これに対し、VWは従来の内燃機関車に依存し続け、中国市場でのEV競争に出遅れた結果、シェアを大きく失いました。

結論
VWの失速は、単なるEV投資の過剰や失敗という短絡的な理由に帰結するものではありません。むしろ、最大市場である中国における競争力低下や、国内の労働力問題が主要な要因として挙げられます。EVへの戦略的な取り組みが不十分であったことが結果的に失速の要因となっており、今後のEV市場において競争力を回復するためには、より一層の投資と技術開発、そして労働力の最適化が求められています。

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