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10/29 モーサテ プロの眼 🇺🇸大統領選挙後の10年金利の居場所は❓

以下は剱崎仁氏が指摘する経済指標と市場への影響についての解説です。

1. 米求人率と利下げの予測

ソシエテ・ジェネラル証券の剱崎氏によると、9月の米求人率は前月よりも低下し、約4.7%と予測されています。この数値は依然として高水準とされていますが、徐々に低下傾向にあると考えられています。求人率の低下は、米国の労働市場が供給過剰から需給均衡へと向かうことを示唆しており、これがFRB(連邦準備制度理事会)の金融政策に影響を与える可能性があります。

剱崎氏は、この求人率の動向に基づき、FRBが利下げに動く可能性があると予測しています。彼の見立てでは、0.25%の利下げが見込まれます。求人率の低下は、インフレ圧力の抑制にも繋がるため、景気過熱のリスクが低下し、利下げの可能性が高まるとされています。この予測が的中するかどうかは今後の米経済の動向に依存しますが、労働市場の冷却が進むことで利下げが実施されれば、米国株式市場や金利市場にも影響を及ぼすでしょう。

2. 大統領選後の米10年債利回り

剱崎氏は、2024年の米大統領選挙後の米10年債利回りの動向についても注目しています。米10年債の利回りは、将来の政策金利予想やタームプレミアム(債券を長期保有するリスクに応じた上乗せ金利)によって変動します。ここで重要となるのが、政策金利の期待上昇率とタームプレミアムの動向です。

(1) 期待政策金利

米10年債利回りにおいて、政策金利の期待上昇は利回りに影響します。10月4日の米雇用統計発表以降、雇用が強く、期待政策金利はわずかに0.2%の上昇にとどまっています。これは、米国経済が堅調な雇用環境を維持しているものの、金融政策の急激な引き締めには慎重な姿勢を示していることを反映しています。

(2) タームプレミアム

タームプレミアムは、長期債を保有するリスクに対するプレミアムとして0.5%上昇しています。この上昇の背景には、ドナルド・トランプ前大統領の支持率の上昇が影響しているとされています。トランプ氏が再び大統領に選出される可能性が高まると、市場は彼の財政拡大政策によって財政赤字が拡大することを懸念し、タームプレミアムが上昇する傾向が見られます。

3. 大統領選後の政策シナリオと影響

剱崎氏は、大統領選挙後の政策シナリオと、それに伴う米10年債利回りや株式市場への影響について、いくつかのシナリオを挙げています。

(1) トランプ+共和党が両院を支配

このシナリオでは、トランプ氏が大統領に再選し、両院も共和党が支配する状況です。この場合、財政赤字の拡大が予想され、10年債利回りが上昇する可能性が高まります。財政拡大政策による経済成長が期待される一方で、インフレリスクも高まり、利回り上昇が引き起こされるとされています。

(2) ハリス+ねじれ議会

カマラ・ハリス副大統領が大統領に選出され、議会がねじれ状態(民主党と共和党が両院を分け合う状態)になる場合、このシナリオでは財政赤字の改善が予想されます。政府の政策が財政再建にシフトし、債券市場ではリスクが抑えられるため、10年債利回りが相対的に低く推移する可能性があります。剱崎氏は、このシナリオが株式市場にとっても最も有利であると述べており、安定した成長が見込まれる環境下で株式市場のパフォーマンスが良好になる可能性が高いとしています。

(3) トランプ+ねじれ議会

トランプ氏が大統領に再選される一方で議会がねじれ状態になる場合、このシナリオは株式市場にとって最悪の状況とされています。財政赤字が一段と増加する可能性が高く、政治の不安定さがリスクとなり、株式市場にはネガティブな影響が予想されます。政府の予算における合意形成が難航し、政策の停滞や経済への悪影響が懸念されます。

まとめ

剱崎氏の分析は、米求人率の低下による利下げの可能性から、大統領選後の米10年債利回りと株式市場の動向まで多岐にわたっています。特に大統領選挙の結果が政策に与える影響を注視し、各シナリオが市場に与えるリスクや成長期待を評価することは、投資戦略の策定において重要な視点です。

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