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🦄2/20モーサテ🦄隠れた🇺🇸優良企業 フィンテックの静かな逆修

Chime: フィンテック界の静かな逆転劇

1. Chimeの概要と成長の軌跡

Chimeは2013年にクリス・ブリット(Chris Britt)とライアン・キング(Ryan King)によって設立された、サンフランシスコ発のネオバンク(デジタルバンク)である。伝統的な銀行の物理的な支店を持たず、モバイルアプリを通じた銀行サービスを提供する点が特徴だ。特に、手数料無料のサービスを中心に展開し、ミレニアル世代やZ世代をターゲットにして急成長を遂げた【9】。

2. Chimeの資金調達と企業価値

Chimeは設立以来、多くの資金調達ラウンドを成功させてきた。
• シリーズA(2014年): Crosslink Capitalなどから800万ドル調達
• シリーズB(2017年): 1,800万ドル調達
• シリーズC(2018年): Menlo Venturesなどから7,000万ドル調達
• シリーズD(2019年): DST Globalなどから2億ドル調達
• シリーズE(2020年): 5億ドル調達
• シリーズF(2020年): Whale Rock Capital Managementなどから4.85億ドル調達


2021年には企業価値が145億ドルに達し、ユニコーン企業としての地位を確立した【9】。

3. Chimeの主なサービスとビジネスモデル

Chimeは、伝統的な銀行とは異なるアプローチでユーザーを獲得している。主なサービスには以下がある。

(1) 手数料無料の銀行サービス
• 月額手数料なしの当座預金口座(Checking Account)
• 最低残高なしの貯蓄口座(Savings Account)
• ATM手数料無料(一定のネットワーク内)

従来の銀行が手数料で収益を上げるのに対し、Chimeはインターチェンジ手数料(カード決済手数料)の一部を受け取ることで収益を確保している。

(2) クレジットビルダー(Credit Builder)
• 担保付きのクレジットカードを提供し、利用者がクレジットスコアを向上させることを支援
• 「Safer Credit Building」機能により、自動引き落としで支払い遅延を防ぐ【11】

この仕組みにより、クレジットスコアの低いユーザーや新たに信用履歴を構築したい若年層に支持されている。

(3) 当座貸越(SpotMe)
• 200ドルまで手数料なしで当座貸越を利用可能
• 友人からの「ブースト」で利用可能額を増やせる仕組みを導入【11】

(4) 早期給与支払い(MyPay)
• 最大2日前に給与を受け取ることができる
• 即時払いの場合は2ドルの手数料が発生するが、24時間以内なら無料【11】

4. 競争環境とChimeの戦略

Chimeは米国のメガバンクとは異なる戦略を取っており、従来の銀行が手数料で利益を上げるのに対し、手数料無料のビジネスモデルを採用している。特に、JPMorgan Chaseが展開した「Finn」の失敗は、伝統的な銀行がネオバンク市場に適応することの難しさを示している【12】。

Chimeの成功の鍵は、
1. 物理的な店舗を持たないことで運営コストを削減
2. ユーザー中心の手数料無料サービスで顧客満足度を向上
3. ミレニアル世代やZ世代向けの金融教育・信用構築ツールを提供

これにより、他のネオバンクと比べても着実な成長を遂げている。

5. 2025年のIPOと将来展望

Chimeは2025年のIPOを視野に入れており、既に準備を進めている。FinTech企業が上場することで、さらなる資金調達や市場での認知度向上が期待されるが、競争の激化や規制強化などの課題もある【10】。

まとめ

Chimeは、伝統的な銀行のビジネスモデルに挑戦し、手数料無料のサービスを武器に急成長したフィンテック企業である。クレジットビルダーやSpotMeなど、従来の銀行にはないユニークなサービスを提供し、特に若年層からの支持を得ている。2025年のIPOに向けた動きも活発であり、今後のフィンテック業界において重要なプレイヤーであり続けるだろう。

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